有名ユーチューバーの笑いと涙。本当に小学生が目指すべき仕事か

有名ユーチューバーの笑いと涙。本当に小学生が目指すべき仕事か

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2018年度の日本FP協会が発表した、小学生の将来なりたい職業のうち、小学生男子憧れの職業ランキングには2017年度に続き、ユーチューバーが6位にランクイン。また2018年9月に学研教育総合研究所が全国の小学1~6年の男女1,200名を対象にアンケートを行ったところ、つきたい職業として、ユーチューバーが3位に入りました。

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今やパティシエやサッカー選手と並び、ネット動画に親しむ子供たちはユーチューバーに憧れを抱いているのです。これはインターネットの普及により、YouTubeが年齢性別を問わず受け入れられた結果といえましょう。

アメリカでは8歳で年収28億円も稼ぐユーチューバーがいるほど。動画を作成して公開できたら、誰でも人気者になれる可能性があるのです。

2022年の国内ユーチューバー市場は、579億円規模に達すると予想されているとのことですが、実はトップユーチューバーがこの先いつまでやっていけるのか、今まさに悩み始めています。

一体ユーチューバーの世界に何が起こったのでしょうか、検証していきましょう。

ユーチューバー(Youtuber)とは

ユーチューバーとは

YouTubeの投稿サイトに自作の動画を公開し、閲覧者を獲得し、広告収入を得ることで生活しようとする人がユーチューバーと呼ばれます。今では日本にもその養成学校ができるほど超人気です。

YouTubeパートナープログラムへの申し込みプロセスが開始できるのは、チャンネル登録者数が 1,000 人、かつ、有効な公開動画の総再生時間が、過去12ヶ月で4,000時間に到達してから。つまりこのハードルを超えないことには、ユーチューバーとしてのスタートラインに立てないのです。

ユーチューバーとして生活するには

月額30万円稼ぐためには、どのくらいの再生数が必要なのでしょうか。YouTubeの広告報酬額は、ユーチューバーによっても違いますが、1再生数につき、0.05円~0.1円と言われています。

0.05円の単価で計算してみると、月間600万回の再生を得てようやく30万円なので、かなり敷居が高く、ほとんどのユーチューバーはここまでいきつけないために、専業ではなく副業で運営しているケースが多いのです。

YouTubeサービスを提供するGoogleから表彰された、優秀ユーチューバーの平均年収は800万円と言われますが、さらにトップクラスのユーチューバー50人から算出した年収の平均は驚くなかれ、1億938万円でした。

ユーチューバーの分野別年収

次に分野ごとの年収を、比較してみましょう:

  • ゲーム実況ユーチューバー:数万円~5000万円以上
  • KIDSユーチューバー:数万円~7000万円
  • ガジェット・製品を紹介するユーチューバー:数万円~4000万円以上
  • コーラの一気飲みなど、面白いことをやるユーチューバー:数万円~4000万円以上

役立つ動画を配信しているユーチューバーのほうが、年収が高いようですね。

TOPユーチューバーの人となり

日本一のユーチューバーといわれるHIKAKIN氏が、家賃300万円ほどの家へ引っ越したというニュースが、ネットに流れたことがありました。彼の2018年の年収は11億7,000万円で、ユーチューバーとしての収入は、そのうちの8億円ほどだったようです。

これだけ儲かったなら、さっさと引退してあとは遊んで暮らしたいと凡人である我々は思いますが、そこがトップユーチューバーとの違い。HIKAKIN 氏にとって、お金だけの問題ではないのです。

トップユーチューバーとしての才覚があるだけではなくて、日々の努力と強烈な「動画愛」があるからこそ、現在のポジションをキープできるわけだし、動画愛が人一倍強いHIKAKIN氏がユーチューバーを簡単に辞めることはないのです。

職業としてのユーチューバーに限ることではありませんが、好きな事を仕事にする為には、楽しさと同時に、徹底的にこだわる姿勢が必要といえますね。

ユーチューバー台頭の背景にあるもの

ユーチューバー台頭の背景にあるもの

ユーチューバーや、Facebookが提供するInstagramに動画を投稿して稼ぐインスタグラマーなどは、総称してインフルエンサーと呼ばれます。彼らの知名度が急速に上がった理由とは、彼らを活用した企業が、自然な形でインフルエンサーのフォロワーへアプローチする、インフルエンサーマーケティングがブレークしたことでしょう。

2020年にはユーザーの多くが自分と価値観の近い人を基準に、消費や行動を選ぶようになる傾向が高くなると想定されているため、インフルエンサー活用の流れはさらに加速していくと考えられるのです。

つまり名だたる大企業であっても、人気インフルエンサーを起用できないなら、今後ユーザーからの共感や支持を失うことすら考えられます。

ナノインフルエンサーも

最近はフォロワー数10万人規模から、マイクロインフルエンサーまで、実に様々なタイプが出てきました。特に今企業から注目されているのが、フォロワー数500~5,000人規模のインフルエンサーであるナノインフルエンサーです。

「あれ、この人一般人?」と思われがちですが、よりニッチな層に確実に届くインフルエンサーなので、スモールマスやXSマス市場を狙う場合は断然こちらといえます。

迎えた試練の時

迎えた試練の時

トップユーチューバーでさえ、再生数が1千万を超える動画の多くが、2~3年以上前のもの。最近のものは実験系、ゲーム実況といった定番もので飽和状態のため、飽きられてきている傾向も否めず、かつてのような爆発的ヒットが生まれにくくなってきたのです。それに加え、TVから芸能人がぞくぞく参入してきたのですからたまりません。トップユーチューバーも、芸能人の知名度には太刀打ちできず。

漫才コンビ、オリエンタルラジオの中田敦彦氏が、ホワイトボードと軽妙な語り口で歴史や政治・経済を解説する、2019年4月開設のYouTube大学の再生回数は、1億6千万回を超えています。

その後2019年10月に国民的人気グループの嵐がARASHIを開設した1日後には、チャンネル登録者数が100万人、その後も伸び続け、すでに登録者数は253万人に達しています。そして2020年2月の芸能人ユーチューバーランキングでは、堂々1位に輝きました。知名度だけによるものではなく、既存ファンを大事にしながら、新規層にもアプローチする戦略が成功したようです。

芸能人が参入してきたわけ

芸能人にとってYouTube活用の最大のメリットは、時間が自由に使える点でしょう。テレビと違って、時間や出演枠の限りがないので自由に活動できますし、ライブやコンサートなどの会場に来られない人にも、ライブ配信を届けられるのですから、ファンサービスにも一役買うのです。

早い段階からユーチューバー「カジサック」としても活動している漫才コンビ、キングコングの梶原雄太氏も、時間が自由に使えることがユーチューバーとして活動する魅力と述べています。1時間枠TVのお笑い番組で、1芸人(1グループ)に割り当てられる時間は、長くても5分なので、いまのTV番組ではスターが生まれにくいのです。

カジサックは自らの番組の中で、他の芸人と共演したり、過去に出演した人気バラエティー番組の再現するなど、TV視聴者をも引きつける企画を次々に打ち出し、ほぼ連日投稿する動画は数十万単位で再生され、登録者は160万人に達してます。まさにTVでの知名度を有効活用している成功事例ですね。

時間の自由だけではありません。その市場規模の巨大なことも芸能人には大変魅力なのです。YouTubeの月間ログイン視聴者数は、世界で20億人。若者のTV離れが進む一方で、YouTubeは成長しているので、活動の場としてYouTubeに目を付ける芸能人が急増しているのは、不思議なことではありません。

努力の賜物の独自動画を日々発信し続け、少しつづフォロワーを増やしてきたユーチューバーにとって、芸能人の参入は危機感の何者でもなく、同時に自らの戦略の仕切り直しが迫られるタイミングなのです。

ユーチューバーの未来は

ユーチューバーの未来は

芸能人ユーチューバーという強敵の登場もあり、巷では100万人近くの登録者がいるユーチューバーでさえ、10年後には9割が姿を消すだろうと言われていますが、ユーチューバーに未来はないのでしょうか。

同じことをやってる動画なら、素人より芸能人の方が見られるのは当然。ユーチューバー魂でネタや映像の内容で差別化をはかり、芸能人のネームバリューを超えるしか生き残りの道はないと、トップユーチューバーも決意を新たにしなければなりません。

スマホ世代の若者がシニアになっても、ヘビーユーザーのままでしょうし、幼少から動画に親しんできたデジタルネイティブが大人になるので、YouTubeの視聴者数は、少子高齢化の時代であっても増えると考えられますから、チャンスはあるのです。

ひょっとしたらYouTubeに取って代わるプラットフォームが突如出てくる可能性もなきにしもあらずなので、その時がきたらすぐに対応できるように、情報収集はセンシティブに行いつつ、自己の専門分野を確立させ、視聴者のニーズに応える企画力を発揮し、コンテンツの質を上げていことが必要でしょう。

マネジメント会社とともに生き残る手が

多くのトップユーチューバーが所属していることで知られている、ユーチューバーのマネジメント会社であるUUUMの主な収益源は、動画再生回数に応じて得る広告収入。8割をユーチューバーに配分し2割を受け取るしくみです。

ユーチューバーが再生回数を稼ぐほど売り上げは伸び、合計再生回数は月40億回を超えています。チャンネル登録者数トップ10のうち、9チャンネルを同社所属のユーチューバーが押さえ、国内では圧倒的な存在になりました。

同社ではまた若手の人材育成に力を入れています。スキルアップの一環として、ユーチューバーにボイストレーニングをさせたり、検索されやすいキーワードを指南するなど。現在300組強が所属しています。

そのUUUMが力を入れているのが、ユーチューバーを企業の顔として売り込むこと。成功例として知られているのが、日本コカ・コーラ。東京オリンピックの盛り上げ役として、女優の綾瀬はるか氏とともにUUUM所属のHIKAKIN氏など、6組のトップユーチューバーを選んだことで、素晴らしい効果を得られたのです。

HiKAKIN氏がコカ・コーラとのタイアップ動画を投稿すると、まもなくネット上拡散し、何と2週間で600万回も再生されました。さらに動画で言及したキャッシュレス決済に使える同社公式のスマホアプリは、1日で5万件以上ダウンロードされるという結果に。企画立案段階から、ユーチューバーの意見を全面的に取り入れたことで、コカ・コーラは成功を手にしたのです。

従来ユーチューバーは一匹狼で、自分の好きなように動画を作って、自由に公開してきました。
組織に所属することで、決められたテーマで動画を作らなければならない時や、時間の制約も生じますが、しかし個の力は所詮個なので、大きなことをやるには、マネジメント会社に所属し、力を借りることも、生き残り策としては有効だと考えられます。

 

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