スマートロック無しはもうありえない。海外企業が日本の消費者を動かした。

スマートロック無しはもうありえない。海外企業が日本の消費者を動かした。

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会の同僚と食事をしていたとき、自宅の鍵を会社に忘れ、会社に取りに戻るといった経験のある方が意外と多いのをご存知でしょうか。ですからスマートフォンで自宅が開けられると良いと思う人も多いはず。

スマートロックとはドアに取り付け、スマートフォンの専用アプリを鍵代わりにして、ドアの解除・施錠できるIoTデバイスの一つです。スマートロックの導入で、実物の鍵を持ち歩く必要がなくなります。

日本ではスマートロック製品が相次いで発売された、2015年がスマートロック元年とされているのですが、中国や欧米に比べたらその普及率は「もっとばんばろう」レベルです。

現金主義の日本でもキャッシュレス化が進み、それを後押しする日本政府の政策により、スマホ決済が全速力で浸透しつつあります。電車や自動販売機、コンビニではスマートフォンやICカード一枚で決済ができ、現金なしで外出やショッピングができるようになるとは、10年前に想定できなかったですよね。

スマートロック元年から4年、キャッシュレスの次にやってくるのはキーレス社会、つまりスマートロックがいよいよブレイクすると考えられています。今回はスマートロックについてお話ししたいと思います。

スマートロックのメリット

スマートロックの最大のメリットは「管理」の部分。誰がいつ入退室したかのログが残るので、人的ミスもなく管理ができます。またセキュリティの点でも、強い安心感を得られるのです。

年々利用者が増加するコワーキングスペースやシェアオフィス、正式に市民権を得た民泊やインバウンド対応が急速に増えた小規模のビジネスホテルは、スマートロックのメリットを大いに生かした活躍の場といえます。

受付人員が不要に

スマートロックでは、鍵となるURLをメールで送るだけで、受け渡しが完了します。実物の鍵の受け渡しがありませんので、入口に受付が待機することは不要です。加えて外国語対応に苦労している民泊やホテルでは、鍵の受け渡し対応で外国語の受け答えが必要なくなるのは、心強いのではないでしょうか。

近づくだけで解除できるスマートロック製品もあり、それであればスマートフォンを取り出す必要もなく、雨の日や荷物が多い日でも簡単に開閉できるので、顧客満足度も上がりますね。

鍵の盗難ゼロに、不正利用の心配が減る

スマートロックでは、開閉できる期間と使用回数の制限などの設定ができるため、鍵の管理が楽になりますし、鍵が不正利用される可能性が低いのです。

また実物の鍵がないので、鍵が盗難されることもありません。万一部屋の鍵を閉め忘れても、一定時間を過ぎると自動で施錠される設定をすることにより、セキュリティの点からも安心です。

万一スマートフォンを紛失しても

しかしいくら便利でもスマホを紛失してしまったら、スマートロックが使えなくなるのでは?と何だか心配になるのですが、スマートロックはスマートフォンを紛失した、あるいは忘れた場合でも、IDとパスワードがわかっていさえすれば、iPadなど別の端末からでも鍵を開けることができます。

またスマートフォンの電池が切れてしまっても、別端末からのログインで対応可能なのも、利用する上での安心材料といえますね。

残念ながらデメリットもある

残念ながらデメリットもある

活用するメリットが多いスマートロックですが、どんな場合でも万能というわけではありません。

システムのトラブルでは万事休す

スマートロックは通信機器ですから、突然次のような不具合が起こる可能性があります。

  • システムのアップデートによるもの
  • Wi-Fiなど通信環境によるもの

早急なシステム回復のためには、実績のあるものや、サポート体制が万全な製品を選ぶ必要があります。

スマートロック本体の電池切れ

予期せずスマートフォンやスマートロック本体の電池切れが起きる可能性はゼロではありません。電池切れになるとスマートロックは使用できなくなるので、部屋に入室できないケースも起こりますので、念のためマニュアル対応の用意(実物の鍵を保管)があると安心でしょう。

ハッキングされる可能性も否めない

スマートロックには他の通信機器同様に、ハッキングされる危険があります。オーナーが留守中である民泊のスマートロックがハッキングされて、お客さまが入室できず、オーナーが帰宅するまで何時間も外で待たされたトラブルなども少なくないのです。その対策としては、通信内容を暗号化することができるBluetoothを使ったスマートロックを導入するのがよいでしょう。

スマートロックで変わる生活

スマートロックで変わる生活

スマートロックが多くの場面で、我々の生活に変化をもたらし始めています。いくつか紹介したいと思います。

不動産業界の取り組み

不動産業はスマートロック導入の効果が大きい業界の1つといえます。そのうちのひとつである東急グループでは、賃貸物件の空室内覧業務を効率化するために、スマートロックを活用する実証実験が始まっています。

これまでの賃貸物件の空室内覧は、不動産仲介会社が管理会社か物件の大家に内覧する旨を伝え、物件の鍵を借りた上で入居希望者に同行し、内覧が終わったら鍵を返却するといった流れで行っていました。内覧のたびに同じことを繰り返すための人件費の負担が大きいだけでなく、時間的制約もあるため、内覧希望者を待たせることもしばしば。

東急グループの関連会社3社合同でおこなったこの実証実験では、空室物件にスマートロックを設置して、鍵の開け閉めをはじめとする入室管理を全てセンターで行うもの。ゴールは無人内覧の実現であり、顧客を待たせず、なおかつ業務効率化をも同時に果たすことです。

東急グループではまた、オートロックのマンション物件も無人内覧ができるよう、エントランス専用のスマートロックを活用した取り組みも同時に始めています。

オフィス利用

元々ビルがカードキーで物件管理をしている場合は別ですが、大規模クラスでも実物の鍵で管理をしている企業がまだ多くあると考えられます。そしてオフィスの入退室管理で、次のような課題を抱えてしまうのです。

  • 合鍵作成や管理の手間、それにかかるコスト
  • 鍵紛失などによるリスク
  • 手動による入退室管理の限界

オフィスにスマートロックを導入することで、鍵はシステムがスマートフォンに割り当てるので、合鍵を購入する必要がなく、万一従業員などがスマートフォンを紛失してしまっても、そのスマートフォンの権限を破棄することでセキュリティを守ることができるようになります。入退室の記録も自動で保存されるので、セキュリティのために今まで手動で入退室記録を管理していた企業では、工数削減がかなうわけです。

海外のスタートアップが日本の消費者を動かした

海外のスタートアップが日本の消費者を動かした

アメリカのスマートロックのスタートアップである、Candy HouseがAmazonのスマートスピーカーAlexaにも認定済みのスマートロックである、SESAME (セサミ)で2017年に日本に参入しました。その後2018年8月には重さ107gの、日本仕様の小型軽量版であるSESAME mini(セサミミニ)の販売を開始しました。ネットショッピングで購入すれば15,000円前後と、誰でも手に届く価格も魅惑的なので、発売後熱狂的なSESAME miniファンが増えたのです。

お手軽価格だから、セキュリティが危ないのではとうがった見方をしがちですが、セサミでは軍事レベルとも言える強固な暗号化システムを採用しているので、それを突破することはほぼ不可能とのことです。

顧客の7割が個人客であった同社ですが、2018年の年末には中国南京市から依頼を受けて、新築マンションの全室で、内蔵型セサミが導入されたとのこと。日本や台湾のOEMメーカーとのタイアップも複数進んでいるので、今後同社の動きにも注目です。

Candy HouseではセサミスマートロックのAPIを公開はもちろんのこと、 興味があるけどどうやって始めたらいいか迷っている方向けに、チュートリアル(英語)も無料提供しています。そういった行動は、いかにもスタートアップらしいです。

日本のスタートアップも活躍の場を広げ始めた

日本のスタートアップも活躍の場を広げ始めた

日本のスマートロックのスタートアップも、人手不足や働き方改革などの、社会的な課題に対し商機を見出し始めました。

ビットキーでは、課題解決のためのサービスをビジネスの成長につなげていこうとしています。その一つの取り組みとして、2019年8月に食品などを配送するココネット、食材のインターネット通販会社ポケットマルシェと提携し、同年10月より3社で実証実験を開始しているのが、「置き荷」プロジェクトです。

まず顧客がポケットマルシェで商品を注文すると、ココネットが配送日時を教えてくれるので、配達日時にだけ開けられる、電子上の鍵を顧客がビットキーを用いて自分で発行。配達員はこれを受け取って顧客宅の玄関を開け、荷物を置く。配達員がいつ来て、いつ出て行ったか、つまり玄関の解錠と施錠の時刻については、ビットキーのアプリで確認できるというのが一連の業務プロセスです。これが実用化すれば再配達の時間が大幅に削減できます。

ビットキーではまた、日本政府のお墨付きである、次世代移動サービスのMaaS(マース)でトヨタ自動車やソフトバンクが旗振り役を務める、MONETコンソーシアムに参加しています。今後はMONETコンソーシアムの加盟企業ともタイアップして、自動車などの乗り物の鍵の電子化にも注力する予定。

米ゴールドマン・サックスや投資会社マーキュリアインベストメントから新たに22億円の出資を受けたビットキーは、2019年4月に住宅のスマートロックを発売しすでに5万台を受注。年内に20万台を出荷する計画です。

働き方改革に勝算を見出しているのは、Qrio(キュリオ)。2019年度の販売台数の計画は前年度と比べ5割増に見込みです。働き方改革の一環で、時間外労働の上限規制が、2020年4月から中小企業にも適用されることから、小規模企業や個人事業主からの受注拡大を期待しています。

Qrioでは2019年9月に企業向けサービスのカギカンに、人の出入りを管理者にメールで通知できる機能を加えました。大企業では入退室の管理にスマートキーを使用することが一般的になりましたが、まだ合鍵を使う企業も多く残ります。そのような企業では、タイムカードや従業員が働いた時間を自分で申告することで勤怠管理を行っていることが多いですが、それでは土日にこっそり働く、いわゆる隠れ残業を防ぐことはできません。働き方改革を推進する企業では、カギカンの需要が大いにあると同社では見ています。

日本の今後

日本の今後

日本のスマートロック市場は伸びるとみなされています。富士キメラ総研では2025年の国内住宅用スマートロック市場は、2017年の2倍を超す8万3千台になると予測しました。

スマートロック事業はセキュリティー性能を高めるために、技術的な高いハードルがある反面、機器やアプリの開発で参入は比較的しやすいといわれています。今後日本でも付加価値を生み出すための、他社との連携やM&Aが増えると考えられます。

今後もスマートロックのトレンドに注目していきたいですね。

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OFFCOMPANY スタッフ

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