これから益々「ナノインフルエンサー」が躍進することになる。
SNSの流行により、ソーシャルメディアで影響力を持つインフルエンサーに商品やサービスのPRを依頼するインフルエンサーマーケティングが盛り上がりを見せています。
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インフルエンサーマーケティングの市場規模の概算は、ある調査会社の発表によれば2020年までに5〜10億ドルの市場規模となり、今後5年程度で50〜100億ドルにまで成長を見せる可能性があるとされています。
アメリカのインフルエンサーマーケティング支援企業のTomosonは、インフルエンサーマーケティング1ドルの投資に対して、企業は概ね6.5ドルの収益を得ていると述べています。
このデータからも明らかなのは、インフルエンサーマーケティングが、それまでのPR費用を最小限に抑えながら、高い効果が見込めるマーケティング手法であることです。日本ではBtoCビジネスでの活用がメインですが、アメリカではBtoBビジネスでも成功事例が生まれているようです。
目次
インフルエンサーマーケティングのおさらい
インフルエンサーマーケティングをきちんと説明ができますか。あっという間に広まったので今更人に聞けない感がありますよね。
企業や製品、サービスの情報を、社会的に影響力を持つ人物(インフルエンサー)を介して拡散することで、市場における認知度や、消費者の興味・関心を向上させることを目的としたマーケティング手法が、インフルエンサーマーケティングです。
インフルエンサーとは
著名なブロガー、ユーチューバー、著名人、芸能人が主になりますが、オンライン上のメディアやSNSで膨大なフォロワーを持つ人物のことを、インフルエンサーと定義することができます。
インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーが自己の持つメディアを通し、PRしたい商品やサービス、ブランドに関する情報を拡散し、成果に応じた報酬やインセンティブを企業から受け取る仕組みです。インフルエンサーは自分のコメントが企業のPR活動であることを明示しています。
10万人以上のフォロワーを持つメガインフルエンサー、2,000人から10万人のフォロワーを持つマイクロインフルエンサーと、現在インフルエンサーは大きく2つのグループに分けられ、企業名や製品の認知度を高めることを目的とした場合にはメガインフルエンサーの起用が効果的とされており、一方マイクロインフルエンサーのフォロワーは、特定のトピックに興味・関心がある人が集まっている傾向が大きいことから、ある分野に特化した製品やサービスのPRにはマイクロインフルエンサーが向いていると考えられるわけです。
ステルスマーケティングとの違い
インフルエンサーマーケティングは、実はステルスマーケティングのことではないかと、疑問を持つ人も少なくありません。
ステルスマーケティングとは、企業とインフルエンサーが本当は金銭契約を交わしていて、シナリオも決まっているのに、あたかも単なる1ユーザーのようにインフルエンサーが口コミを投稿することで「ユーザーを騙す」手法とも言え、以前ステルスマーケティングを行ったことが明るみになり、信用を失った企業がありました。
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーとして自分が投稿した情報にはPR活動であることを明らかにしますので、それを目にしたユーザーはPR活動でのコメントであると理解した上で、その情報を参考にする点がステルスマーケティングとは一線を画しているのです。
なぜブレイクしたのか
ブログ利用者が急増した2007年頃から認識されたインフルエンサーマーケティングですが、どうしてブレイクできたのでしょうか。
ユーザーの購買行動や検索方法が変化した
最近の傾向ではCMや広告ではなく、友人や家族の口コミや、インターネット上の製品レビューが消費者の購買動機に大きく影響していることが明らかです。さらに情報収集は以前の「ググって調べる」(Googleなどの検索エンジンでリサーチすること)ことから、SNSやハッシュタグを使った検索方法へ変化しています。
こういった消費者の行動変化に合わせ、企業側のマーケティング戦略は見直しをせまられ、見込み客の目に触れやすいウェブやSNSへの露出対策としてインフルエンサーの存在が欠かせなくなってきたのです。
コストの削減と費用対効果が見込める
インフルエンサーマーケティングではPRや宣伝コストが抑えられ、かつ高い効果が挙げられると考えられます。しかもインフルエンサーのコメントは、企業が独自に作成するものよりエンゲージメント率が高い傾向があるので、企業ではコンテンツ制作費用を削減しながら、高い費用対効果が期待できるのです。
正しいターゲットにアプローチできる
インフルエンサーのフォロワーは、インフルエンサーにシンパシーを感じており、すでに共有の興味や関心を持っています。つまり企業のPRしたい商品やサービスに対してインフルエンサー自らが興味・関心があるなら、そのフォロワーも同調しますので、企業が自力で見込み客を探し出す必要がなくなります。よってインフルエンサーマーケティングにより、企業は角度の高い見込客に、最短距離でリーチできるというわけです。
陥りやすい状況
インフルエンサーマーケティングを始める前に、理解すべきことがあります。たとえ1億人のフォロワーを抱えるインフルエンサーでも、高い投資対効果がコミットできるものではありません。つまりフォロワー数が多ければ、必ずしも影響力が大きいということではないのです。
最近ではインフルエンサーの数も増え、有名人と契約するなら報酬もそれなりですので「少ない費用で」という点が揺るぎつつあります。さらには有名なブロガーと契約して、丸投げするのでは失敗します。インフルエンサーが頑張って情報を拡散しようとしても、企業のコンテンツが面白くなければ、リアルには拡散しきれませんし、企業はインフルエンサーからの意見を都度聞いて、状況改善を繰り返していかなければ成功しません。
2019年のインフルエンサーマーケティング
ますます広まる予感がするインフルエンサーマーケティングですが、2019年はどのような傾向にになるか考えてみましょう。
Instagamが主要プラットフォームに
2018年のインフルエンサーマーケティングでのうち、企業案件の9割超がInstagram上で行われていたと言われ、インフルエンサーマーケティングの2大プラットフォームと言われていた、FacebookとYou Tube両方合わせたパーセンテージを初めて上回りました。
企業にとって重要なマーケティングツールとなったInstagramでは、マイクロインフルエンサーの影響力が大きく、最近のFacebookのスキャンダルから、Facebook傘下であるInstagramがFacebookが保有する個人情報を受け継ぐとまで言われています。Instagramが今後ますます重要になることは間違いありません。
動画の重要性が増す
アメリカでは2019年末までに全てのインターネットトラフィックの80%、2022年までには82%が動画になると予測しています。つまりインフルエンサーマーケティングにおいても動画の重要性が増すのです。よって動画によるインフルエンサーマーケティングを検討する企業では1つのSNSに集中するより、多くの動画プラットフォームで活動するインフルエンサーとタイアップする必要があるでしょう。
ナノインフルエンサー
2019年はマイクロインフルエンサーよりもっと小規模の、狭い範囲でフォロワー数千人単位のナノインフルエンサーに注目が高まりそうです。低予算で柔軟がきき、又規模が小さいことからリスクも少ないので、小さく始めたい企業も前向きに検討できます。
長期契約
今後は一回ポッキリの契約ではなくて、数回や長くて数年にわたる長期契約でのインフルエンサーマーケティングが一般的になると予想されます。ロングテールの要素も多いインフルエンサーマーケティングは企業とインフルエンサーが、一定の期間一緒にオーディエンスを集めていくことで、特定のオーディエンスを確実に掴めるはずです。
信頼性
2018年のインフルエンサーマーケティングでは、フォロワーを購入しフォロワーの数を偽り本来よりも高額な報酬をもらっていたインフルエンサーが話題になり、それぞれのプラットフォーマーがフェイクアカウントの消去に力を入れた年でもありました。
偽フォロワーのアカウントとは絶対にビジネスをしないと発表した企業もいましたし、さらにフォロワーを購入した可能性のあるインフルエンサーを識別できる機能が用意されました。今後はインフルエンサーの信頼性を計るしくみづくりがさらに進むと予想されます。
Amazonの取り組み
Amazonは以前から人気ブロガーのブログなどに宣伝やリンク、商品紹介を置き、そこからAmazonのサイトにジャンプして顧客が買い物をした場合、その売り上げの数パーセントをブロガーたちに還元するビジネスを行ってきました。
近年Amazonでは自社と契約したインフルエンサーがAmazon上に、大きなリスクも無く簡単に自分のセレクトショップをバーチャルに開くという、インフルエンサープログラムを立ちあげました。インフルエンサーのフォロワーは、オンラインでおすすめの製品をチェックし買い物をし、その売り上げの一部をインフルエンサーが受け取れるものです。売り上げの大部分をAmazonに渡すことになるとはいえ、起業して失敗するリスクや手間、ショップを始めるまでのお金を考えれば、安心・安全の面からアメリカのインフルエンサーの多くがこのプランを選んでいます。
今後の姿
SNSなどで消費者間の交流がさかんになって、クチコミの影響力が増してきた今に助けられ、インフルエンサーマーケティングは躍進し続けることが想定されます。
その一方でこのクチコミの強大なパワーを企業は今後どう利用していくのか、そしてその結果に何が待ち受けているのか、ゾッとしつつあるのも事実です。
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