ウェルネストラベルで世界中が長寿国日本へ!コロナ後に注目される観光資源は「幸福」

ウェルネストラベルで世界中が長寿国日本へ!コロナ後に注目される観光資源は「幸福」

 後で見る

2020年5月、新型コロナウイルスにより打撃を受けた日本経済への対策について、日本政府は1兆7000億円という前例のない予算を確保して国内旅行や訪日外国人への旅行代金の半額を補助するなどの復興支援策を企画中とのこと。

日本人だけでなく世界中から「ようやく旅行ができる!」という声が聞こえてきそうですが、こんなにもストレスを受けた体と心を癒すウェルネストラベルに注目が集まるのは当然のはこびと言えそうです。

Wellness(ウェルネス)はWellbeing(ウェルビーイング)と同義語で、直訳だと「健康、幸福」です。

現在世界的な健康志向ブームの真っ只中。欧米では暮らしにヨガを取り入れるライフスタイルがかなり定着しており、宗教上の縛りがないのにビーガンの人が増えているのも、それが影響していると考えられます。

ウェルネスブームが加速しています。各分野でもウェルネスがキラーワードとして知られてきました。まだ日本では定着していませんが、世界市場では「ウェルネスビジネス」が2010年頃から注目され、今ではその市場規模は4兆米ドルといわれているのです。

【合わせて読む】

インバウンドマーケティングで外国人観光客に伝える本当の日本とは?
AI同時通訳技術が一般解放された時にできること/できないこと
休み方改革|出張に休暇をつける「ブリージャー」が最高。

ウェルネスビジネスの代表格は次の10分野です。

  1. パーソナルケア、美容、アンチエイジング
  2. 健康食関連、ダイエット
  3. フィットネス、マインドフルネス
  4. 予防医学、公衆衛生
  5. 東洋医学などの伝統医学、代替医療
  6. ウェルネス不動産
  7. スパ関連
  8. 温泉開発
  9. ウェルネストラベル
  10. 職場ウェルネス活動

その中でも「ウェルネストラベル(ウェルネスツーリズム)」が注目を集め、今後日本でもあるいは日本人にとっても、ブレークスルーしそうな旅行形態となりそうです。

今回はウェルネストラベルについて、理解を深めたいと思います。

ウェルネストラベルとは

ウェルネストラベルとは

旅行中においてもジョギングや瞑想といった健康的な習慣を続けることや、食事療法などで心と体の健康を保ち、より豊かな人生を送るための旅がウェルネストラベルであり、旅先で用意される健康食、ヨガ、瞑想、フィットネス、温泉などのアクティビティを通じて、健康効果を得られるというスタイルが提供されるべきもの。具体的にはどを体験できる旅行のことで、ウェルネスツーリズムとも呼ばれます。

何と機内食から健康志向が求められる場合も。ウェルネストラベルを行う旅行者は、更に踏み込んだサービスを追求し、健康的な滞在を求めるのです。

こうした人々の意識の高まりを背景に、大手ホテルではジョギングシューズやヨガマットのレンタルや瞑想アプリの提供、スムージーやヘルシーミールのメニュー化など、様々な手法でゲストの要望に対応し始めており、ウェルネストラベルを一歩リードしているといえます。

少し古いデータですが、The Global Wellness Instituteが2018年11月に発表したレポートによると、2015年には6億9,000万人がスパやヨガなどを目的とした海外旅行をしており、5,630億ドルの観光収益が生まれました。 同レポートではまた、健康増進を目的に海外旅行をする人の数が、今後急速に増加するとみなしており、2022年のウェルネストラベルが、9,190億米ドル規模の市場になると予測されています。

旅行業界やホテル業界では、ウェルネスに関連したアクティビティが必須となったのは、間違いありません。今や欧米のウェルネストラベラーの多くが、旅先としてアジアをめざすようになりました。

アジアでの取り組み例

元々東南アジア各国は、欧米人ツーリストに人気のある旅行先ですが、だからこそウェルネストラベルにいち早く対応した国が多いのです。例を挙げてみましょう。

インド

インドのアナンダではインド古来の伝統的な治療法である、アーユルヴェーダ体験ができる旅行プランが海外からの観光客に人気です。

世界的に知られているスパリゾートのAnanda in the Himalayasでは、経験豊富なヨガ講師がゲストそれぞれの目的に沿ったヨガのプログラムを組み立てるなど、パーソナライズされた支援が受けられるという、ウェルネストラベラーにとって夢のようなプランが用意されています。インド発祥とされるヨガやアーユルヴェーダをうまく組み込んだ、ウェルネストラベルの成功事例です。

タイ

タイの王族の保養地であるホアヒンにある、安寧の隠れ家を意味するチバソム(Chiva Som) の宿泊初日は、自然療法士の資格を持つ、ヘルス&ウェルネス・アドバイザーによる問診から始まります。各ゲストの目指すゴールに合わせて、滞在プログラムをカスタムメイドするためです。東洋の自然療法と西洋の現代医学を掛け合わせたヘルスケアプログラムを提供し、ゲストに最高の時間を提供するリゾート。ワールドベストディスティネーションスパ受賞をはじめとし、世界の著名なスパアワード受賞の常連です。

ヨガの呼吸法やストレッチ、健康な食事の提供で、デトックス、体重管理に効き、ストレスフリーになれるとして、このリゾートは大変人気があります。またチバソム滞在中の活動記録のデータが保存されるので、次回訪れたときには、前回の自分の健康状態と比較することができるのです。このような手法で一元客のみならず、リピーターの獲得にも成功しています。

日本はウェルネストラベルの資源満載

日本はウェルネストラベルの資源満載

他国のリゾートでは、ウェルネストラベル指向の観光客誘致に手応えを感じているといえますが、日本国内におけるウェルネストラベルは、まだ認知度が低い状態です。今後のTOKYO 2020(東京オリンピック&パラリンピック)に向けて拡大する外国人ゲストの中には、ウェルネストラベルの常連が多いと想定されます。つまり日本にとって今こそチャンス到来なのです。

しかし歴史がある日本伝統文化や、四季折々の自然風景、日本一の山である富士山を紹介するだけでは今後の発展はありません。ウェルネストラベルという文化を知り、いかに独自サービスを開発できるかが鍵になります。

観光庁ではこれまで気がつかなかった観光資源の活用を、近年の目標として掲げていますが(ニューツーリズム)、この中には、新たな観光方法としてウェルネストラベルも含まれているのです。政府でも注力したいプロジェクトなのですね。

まず他国との大きな差別化は、日本が他に例を見ないほどの温泉大国であること。温泉とひとことで言い切れないほど、日本には様々な温泉がありますよね。よくみかける掛け流しスタイルは、海外にはありません。

温泉には身体的のみならず精神的にも効能が期待されます。もちろん人前で裸になって、同じ湯につかることに抵抗があるゲストもいますが、日本の温泉の独特の作法にはまる海外ゲストが実は多く、「Onsen」ファンのリピーターが増えているのです。

二つ目は2013年に世界遺産に登録された、和食が挙げられます。和食は恒常的なブームですので、Sushi(寿司)を知らない人を見つけるのは、世界どこでもかなり難しい状況。言うまでもなく和食は概してヘルシーで低カロリー、しかも僧侶が食する精進料理は、ベジタリアンであっても食べられるものが多いので、ウェルネストラベル向きといえるのです。そして安全な原材料が用いられ品質管理が万全の点も、食の観点で忘れてはいけません。

座禅の瞑想体験には、欧米人が大好きなヨガに通じうるところがありますし、寺に宿泊できる宿坊も合わせて人気が出てきています。

以上の点からも、日本にはウェルネストラベルを展開する上での、ベースが整っているといえるのです。欧米からのゲストは概ね長期滞在するので、彼らを飽きさせないアクティビティをたくさん用意することが成功するためには必要であると考えられます。

長寿国であることも、ウェルネストラベルの目的地としてアピールポイントになり得る

2018年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で、ともに過去最高を更新しました。国民の平均寿命を 他国と比較すると男性が世界第3位、女性は世界第2位 。

日本人の三大死因であるがんや内臓疾患、脳血管疾患などの死亡率が低下したことや、ヘルシーな食事、シャワーではなく毎日入浴すること、医療制度の充実、国民一人一人の健康意識の高まりが、この平均寿命の長さを実現しているのです。

日本の「高い健康レベル」は、世界に誇るブランドといっても過言ではありません。この点をうまく海外に発信していくことで、ウェルネストラベル指向の外国人ゲストを呼び込めるはず。

ウェルネス・サードプレイス

ウェルネス・サードプレイス

アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグ氏は、現代人には自宅(ファーストプレイス)と、職場や学校(セカンドプレイス)の他に、サードプレイス(第三の場所)が必要であると提唱しています。

オフィスでは時間に追われ、ストレスいっぱいで落ち着かないし、本来リラックスできる場所であるはずの自宅もそう穏やかではない。それなら快適で静かに脱力できて癒され、しかもちょっと刺激的な場所で本来の自分を取り戻すべきで、その場所こそがサードプレイスなのです。

元来のサードプレイス理論は、身近な生活圏に自らのサードプレイスを求めるという考えですが、実際の生活とは離れた地(旅行地)に滞在しているが、そこは極端な非日常ではなく通常の日々の延長のような雰囲気で、心身ともに癒され、新しい発見と刺激があり、自己開発ができ、ひいては豊かな人生を手に入れることができる場が、ウェルネス・サードプレイス。

ウェルネストラベルの目的地イコールウェルネス・サードプレイスと言えるのではないでしょうか。

SDGsとのリンクも

世界を変えるための国連の持続可能な開発目標である、SDGs(Sustainable Development Goals) のゴール3の、健康、福祉に関しては、全ての人の心と体の健康や、ライフスタイルそのものまで含む取り組みを進めるべきと定められていますが、これを推進するにはまさにウェルネストラベルが一役買っているといえます。

ウェルネストラベルの勧め

ウェルネストラベルの勧め

働き方改革により、ノー残業や有給休暇取得の推奨、リモートワークなど、日本のビジネスパーソンの働き方が遂に変わります。しかし新しいビジネスプロセスに慣れるために、ストレスが湧き出てしまうかもしれません。

こんなときこそウェルネストラベルを実行するときです。旅行先で心身ともにリラックスし、パワーチャージできたら素晴らしいですよね。仕事の忙しい毎日にも、ポジティブな変化をもたらしてくれるかも。

日本を盛り立てる鍵となりそうなウェルネストラベル。まずは自ら経験するところから始めたいですね。

【合わせて読む】

インバウンドマーケティングで外国人観光客に伝える本当の日本とは?
AI同時通訳技術が一般解放された時にできること/できないこと
休み方改革|出張に休暇をつける「ブリージャー」が最高。

«

»

 後で見る
OFFCOMPANY スタッフ

この記事のライター

OFFCOMPANY スタッフ

 JOIN US
OFFCOMPANYへ参加する


もっと表示する