ウィズコロナの食トレンド〜こんなキーワードの検索数が急増〜
新型コロナウイルスの、爆発的な感染拡大が世界中で起こりました。現在は解除されていますが、2020年4月に日本で緊急事態宣言が発令。つい最近までマスクやトイレットペーパー、抗菌スプレーの入手が困難となり、商品の買いだめや転売、さらには購買に関連した様々なフェイクニュースがかけめぐり、深刻な問題でした。
【合わせて読む】
●僕は今こそSEOを学ぶべきだと思っている。|〜令和時代のWEBマーケティング〜
●検索では見えない!ディスプレイ広告で潜在顧客をビジュアル誘導
●日本での「無人コンビニ」。現金主義の改革で普及するかも
Stay homeが叫ばれる緊急事態宣言の渦中は、ある飲食店では休業申請に応じ、あるいは開店時間を変更して営業を継続。外出自粛は今でも推奨されていますが、その後営業を再開したお店が増えましたが、一般人がリアルな飲食店で食事する機会は明らかに激減してしまいました。三蜜を避ける店舗作りに投資をする、テイクアウトにシフトするなど、飲食店では生き残りをかけた取り組みが続きます。
コロナと共に生きていくことが求められるウィズコロナ時代の今、それまで想定もしなかった食トレンドが誕生しているのは周知の事実ですが、コロナ感染が一定の収束をするタイミング(アフターコロナ)で、それがどう変化するのか(変化しないのか)を今回は確認してみたいと思います。
目次
巣ごもり消費
外出自粛で生まれた新しい消費需要で、真っ先に思い浮かぶのが巣ごもり消費です。巣ごもり消費とは、自宅にいながらのショッピングや、ネットを活用した有償エンターテインメントを楽しむこと。
株式会社エヌケービーが行った調査によれば、巣ごもり消費は7つのタイプに分類できると報告されています:
- おうち時間充実型:自宅で楽しむ、プチ贅沢をする
- エクササイズでストレス発散型:運動不足やストレス解消
- 趣味に没頭エンジョイ型:自宅でできるゲームや読書を楽しむ
- 趣味&実益を兼ねた手作り型:布マスクのハンドメイド、凝った料理を作る
- 自己投資・スキルアップ型:自分を磨くための勉強
- 自分見つめなおし型:断捨離や整理整頓
- 癒し・リラックス型:ペット関連、セルフマッサージ
うち食に飽きることも
小中高校の一斉休校やテレワーク導入の影響で、おうちご飯(うち食)が急速に増加しています。外出自粛が推奨されているし、コロナ感染の可能性が否めない以上、休日も外食するのも心苦しい。しかし家での食事が続くと、たまには変わったものが食べたくなり、テイクアウトやデリバリーサービスを活用する人が、急速に増えるのは当然のことといえます。
落とし穴もあり
外食するよりはリーズナブルとはいえ、頻繁にテイクアウトを利用していれば、頻繁に外食しているのと同じこと。あるいは非常時に備えて、必要以上に食料品を買ってしまうことで、普段の生活よりエンゲル係数が高いという結果に。
しかしストレスを溜めないことも大切なので、食費が増えた分を他で節約するのはどうでしょう。例えばスマホを大手キャリアから格安に乗り換える、あまり使わない有料サービスは解約するなど、毎月の固定費を削減する工夫をすれば、継続的な節約効果を得られます。
コロナが収束したらやりたいことがありますよね。そのための予算確保であると考えてみるのも良い手です。そのうち節約の習慣が身に付くかもしれません。
検索数から見る「うち食」率の上昇
ある調査によれば、ウィズコロナ時代に突入した3月の「朝食」、「食パン」の検索数が平日に上昇。日曜日で上位となる検索キーワードで、今まで平日ではあまり検索されませんでした。これは通勤通学がリモートワークや休校でなくなり、朝自宅で過ごす時間が増えたことから、平日も朝食を家で食べる人が増えたということ。
加えて検索キーワードとしてランクインすることがなかった、「昼ご飯」の検索が増大。家での昼食需要が増えていることが明らかです。また「晩ご飯」に関しては、家で晩ご飯を作る人が増えたことに伴い「時短」、「作り置き」のキーワードでの検索が増えています。
売り上げが伸びた製品
このところ夕方になると、スーパーの棚が空になっている商品としてあげられるのは、レトルトのパスタソース、スパゲッティやマカロニ、うどんそばなどの乾麺(インスタント麺ではない)や、ホットケーキミックスやお好み焼き粉などの粉物など。
売れ筋商品の共通項として考えられるのは、保存が効きストック可能、そして使うのが簡単でありながら、手作り感が少しあるものという点です。
特に伸び率が高いパスタ料理に使用している素材についても確認してみると、以前と比べてきのこ類や、葉物野菜などが好んで使われています。つまり簡単に調理ができるパスタ料理の中にできるだけ野菜を取り入れて、健康に気を遣っていることが確認できるのです。
また今までなかった具材を使って、オリジナルのパスタ料理を作り出す人も増え、それを他の人と共有するのもトレンド。クックパッドなどの料理サイトの投稿は常時大賑わい。これぞ簡単でおいしい料理の、新しい楽しみかたです。
時短から簡単へ、でもお楽しみもあり
文句を言いながらも2020年3月時点では、ある程度在宅生活を楽しんでいる人が多い雰囲気でしたが、4月になって仕事は100%リモートワークに移行、そして小中高校の休校が延長となり、世の中には在宅疲れムードが濃厚になりました。
その状況の中で、「朝昼晩3食とも家でご飯」でも飽きないための工夫が必要となり、4月は「簡単ごはん」、「作り置き」などのキーワードでの検索が大きく増えていきましたが、その一方で食にお楽しみ要素を求める人も増えたのです。
例えば一種の娯楽としてスイーツやお菓子を手作りする人が「チーズケーキ」、「プリン」などを頻繁に検索する、あるいは皆で餃子を作るために、「餃子」の作り方を検索するなど。特にお子さんがいる家庭ではその傾向がより強いようです。
最近のトレンド:食のテーマ
ヤフーデータソリューションの調査から、最近検索キーワードとして伸びている食のテーマが大きく3つあることがわかりました。
1. 高級
レストランで食べる思いすれば安いとばかり、高級食材や料理の通販やお取り寄せが増えています。例えばウニ、いくら、うなぎ、牛タンの通販がブレーク中です。
以前であればリアル店舗で、確認してから買うのが正統派でしたが、今はそれがままならない。えいやと一度通販で購入してみたら、想定通りの品物が届けば、リピーターがほっておいても増えるしくみです。
2. スイーツ
スイーツが今ブレークしている理由は、定かではありません。例えば誰かの誕生日や何かしらの記念日の際の、特別な変化や刺激となったり、ストレス解消の源になると推測されています。特に有名店のケーキ、プリン、マカロン、和菓子など、お取り寄せで楽しむ人が増加中です。
3. 支援
これは飲食店が休業せざるを得なくなり、行き場を失った食材、食品を購入したいというニーズが増えている証です。捨ててしまうよりましとばかり、通常で買うよりも安く販売されているものも多く、4月以降急激に検索数を伸ばしているのがこれなのです。「コロナ 支援 通販」、「フードロス 通販」などで検索されています。
アフターコロナの食トレンドは
緊急事態宣言が解除され、町に人が戻ってきつつありますが、解除されたとたんにまた感染者数が増え始めたので、状況には予断が許されません。それでも寒い時期より暑い時期の方がウィルスの勢いが悪くなると一般的にいわれていますので、今アフターコロナに向かっている途中と言えます。
しかしながらアフターコロナでも、世の中が一気にもどることは考えにくい。むしろウィズコロナで経験した中で、継続することが多くなるに違いありません。よってウィズコロナでブレークした食トレンドはほとんど踏襲されますが、これで終わりではありません。最後に予想される新たな食トレンドを紹介しましょう。
フードロス削減を後押し
料理が余ってしまった飲食店や生産者と、それを割安な価格で購入したい消費者をマッチングする、フードシェアリングツールが普及するのではないでしょうか。もっともコロナ以前からエシカル消費を浸透させるための有効ツールと数えられていましたが、爆発的に浸透することがなく、今度こそブレークする兆しが見えます。
一例として、TABETE(タベテ)を紹介しましょう。TABETEを運営するコークッキングの発表によると、2020年1月には21万6496人だったユーザー数が、4月には25万1104人と約16%アップ。登録店舗数は506軒から878軒と1.7倍に増加しました。「お店もレスキュー!プロジェクト」を立ち上げ、今はフードロス削減の目的に加え、余剰品以外の販売支援も行っています。
2020年1月にコークッキングでは、JR東日本スタートアップ株式会社のJR東日本スタートアッププログラム2019の一環として、株式会社鉄道会館が運営する東京駅構のグランスタなどのエキナカ店舗の営業終了後に、TABETEがまだ食べられる食品を買い取り、商品を詰め合わせて休憩室で従業員に販売するとことでフードレスを削減する実証実験を開始しました。
その他にも東京農業大学の学生食堂(生協)との連携で、学食の仕組みをも視野に入れた、フードレス削減の取り組みをしています。
インスタ消費
お店に行かなくても消費できるスタイルが、アフターコロナでさらに加速することが考えられます。コロナ以前からすでに注目を集めていたインスタ消費とは、Instagram(インスタグラム)を通じた消費行動のことです。
これまでのインスタ消費は、インスタ映えする場所や食べ物の写真を撮る活動でしたが、アフターコロナではそれだけではありません。インスタによる料理のライブ配信や、インスタでのハッシュタグ検索の活用が新たなトレンドに。インスタを使ったインフルエンサーマーケティングも、もちろん継続です。さらに仕様変更されたことにより、インスタグラムの閲覧から直接商品を購買することがこれからもっと増えそうです。
節約レシピとプチ贅沢
アフターコロナになっても、経済が回復するにはまだ時間がかかります。政府や都道府県の助成金プログラムがあっても、多くの家庭では今までにまして、節約を意識せざるを得なくなるかも。インスタ映えするのにプチプラ、簡単に美味しい節約レシピのニーズが高まるため、作り方を伝授するTasty Japanなどのユーザーが、堅調に増え続けると考えられます。
また自炊ではできない手の込んだ料理を時々テイクアウト(=外食とある面イコール)で楽しむ、プチ贅沢の需要は続くことも間違いありません。
フードデリバリー
コロナ前にはさほど浸透していなかった出前館と、日本ではパッとしないUberのフードデリバリーであるUber Eatsの配達員を見ない日はもはやありません。緊急事態宣言が出て以来、利用者数、登録店舗数とも鰻登りです。アフターコロナではフードデリバリーの文化がさらに浸透することが考えられるので、フードラインアップもさらに多様化し、テイクアウト需要を超えるかもしれません。
【合わせて読む】
●僕は今こそSEOを学ぶべきだと思っている。|〜令和時代のWEBマーケティング〜
●検索では見えない!ディスプレイ広告で潜在顧客をビジュアル誘導
●日本での「無人コンビニ」。現金主義の改革で普及するかも