相乗りタクシーって日本であり?なし?韓国では深刻な失敗ケースも

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相乗りタクシー解禁は近い

相乗りタクシー解禁は近い

内閣総理大臣を議長とし、関係する国務大臣や有識者が参加する未来投資会議が、2019年3月7日に開催され、地域の交通手段の在り方について議論されました (https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201903/07mirai.html)。

一台のタクシーに知らない同士が一緒に乗車して、割り勘で運賃を支払う相乗りタクシーの本格導入に向け、運賃の決め方や値引き方法などについて基本的な考え方を整理が必要と、ある民間議員からの提言があり、それを受け安倍晋三首相は、「利用者が低廉な料金で移動することを可能にする」と述べ、普及に向けた具体的な検討を関係閣僚に指示したことで、全国で相乗りタクシーの解禁が、早急に検討されることになったのです。

詳細については国土交通省が詰める運びで、2019年度中に実現を目指すとしています。

相乗りタクシーのしくみ

相乗りタクシーとは読んで字のごとく、同じ方向に行きたい知らない人同士が、一台のタクシーに乗車し、料金を割り勘にする仕組みで、韓国では以前から相乗りタクシーの仕組みがありました。

日本で検討されている相乗りタクシーのプロセスは、事前予約制でタクシー会社のスマホアプリなどに、利用希望者が行き先を入力すると、同じ方向に行きたい人と組み合わせて配車するといいうものです。

料金は乗車距離に応じた配分で決まり、予約した時点でキャッシュレスで決済する方法を想定しています。

相乗りタクシーの先人、韓国の事情

相乗りタクシーの先人、韓国の事情

元々韓国には車内では基本ハングルしか通じず、領収書も出ない一般タクシーと、外国語がわかるドライバーで、領収書がもらえる模範タクシーがありました。さらに一般タクシーでは、目的地が近いなら相乗りが基本という風潮があり、37年前までは合法でした。

すでに先客を乗せていても、相乗りの方が運転手は儲かるので、運転手は平気で他の客を乗せたのです。それがわかっているから、客のほうもタクシーがつかまりにくい夜の時間帯になると、通行するタクシーに向い路上で目的地を叫び、運転手のほうもそういった相乗り希望客の声を聞き逃すまいと、歩道側に注意しながら走るもので、安全第一とは言えませんでした。

その後模範タクシーのみならず、一般タクシーの利用客が相乗りを嫌う傾向が強くなり、法律も変わったので相乗りは廃れたのです。

IT企業の名乗りで、韓国タクシー業界がカオスに

ところが韓国最大のモビリティプラットフォームである、「カカオT」を運営するカカオモビリティが、2018年に相乗りタクシーの新しいサービスである「カカオカープールサービス」を発表しました。

カカオモビリティは専用アプリをリリースする方針を発表し、ドライバー募集を始めたところ、タクシー業界が強い反発が起き、2019年1月には、カカオモビリティのタクシー相乗りビジネスへの、反対10万人デモが起きたのです。

13万台のタクシーがストライキを敢行し、その場で一人のタクシー運転手が、抗議の焼身自殺をしました。カカオモビリティの同サービスをめぐっては、以前にも別のタクシー運転手が焼身自殺しています。

そこで韓国の国土交通省では、カカオモビリティに対し、運用を制限する仲裁案を示しましたが、タクシー業界側は受け入れを拒否。相乗り事業の禁止まで戦う姿勢を崩しませんでした。

こうした事態からカカオモビリティでは、予定していた正式運行の開始にめどが立たず、その代わりに一部地域での、電動自転車のシェアリングサービスを、2019年3月に開始すると発表しました。

日本の現状

2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されることが決定しており、その期間はの東京都やその近郊では、恐ろしい交通渋滞が予想されています。それまでに相乗りタクシーがきちんと制度化されたなら、とても有益なインフラとなりえます。

さらに地方では人手不足から、タクシー運転手の雇用も難しくなっていますが、相乗りタクシーが普及すれば、同じ台数のタクシーで、より多くの利用者を運べることになり、利用者としてもタクシーが呼びにくいというストレスから、解消されるのです。

それに相乗りタクシーなら利用者一人当たりの料金も安く済むことになりますので、都会のタクシー離れが、変化する可能性が大ですね。

首都圏に限りますが、すでにタクシーの相乗りサービスが始まっているのです。スタートアップ企業の「NearMe.(ニアミー)」は、スマートフォン向けに2組をマッチングする、タクシーの相乗りアプリの提供を、2018年6月に開始しています。

ニアミーは1つのアプリで、利用者が合流してからどのタクシーにでも乗ることができるので、個々のタクシー会社がアプリを作って競合するより、より多くの母数が確保できるとしています。

その使い方はシンプルです。まず利用するには、あらかじめクレジットカードの登録が必要になります。アプリで目的地を入力すると、現在の位置情報を基に、800メートル圏内で目的地が近い人を探し出し、アプリのプログラムの計算で、利用者が単独でタクシーに乗る場合に比べて、料金が10%程度以上割り引かれる場合に、相乗りマッチングが成立するのです。平均すると一人で乗るより30%ほど安くなるようです。

しかし現実的にはかなり前から予約しないとマッチング率が低いので、まだ実用化とは言い切れません。

利用者の不安感はぬぐいきれない

日本人の「相乗り」への抵抗感が大きいのは否めません。ニアミーの事前調査によれば、20ー40代の約50%が使ってみたいと回答したとのことですが、年配者よりははるかにフレキシブルな若い世代でも50%という結果から、他人とタクシーをシェアすることに、多くの日本人は抵抗があると考えられます。

そもそもドライバーの安全確保も重要ですし、利用者の住所特定を防ぐこと、泥酔した客への対応方針の確立、客同士のトラブルを回避するための対策、さらには同乗者の身元が確認できないことには、日本人の不安は消えないことでしょう。

タクシー会社のペイン

タクシー会社のペイン

タクシー会社でも、すでに相乗りタクシーの実用に乗り出しています。2018年1月から2ヶ月間、国土交通省が実施した実証実験に、タクシー会社大手のJapanTaxiと大和自動車交通が参加しました。

サービスが認知されないまま乗り出したこともあり、マッチング率は1割程度と低かったものの、利用者アンケートによると、本格導入後の利用意向については、約7 割の利用者が「また利用したい」との回答がありました。

この結果から実際に利用した方に、複数人で相乗りして割安にタクシーを利用するという、相乗りタクシーのコンセプトが受け入れられたと考えられる一方で、約9割はマッチングが成立せずに利用がかなわなかったことから、申込み人数の増加や、マッチング効率を上げる工夫が必要であり、実施に向けて取り組むべき課題が明らかとなったのは、大きな収穫でした。

タクシーの相乗りは、今後国により導入が推奨されますので、この2社は本格運用に向けて動き出しています。

現在の相乗りタクシービジネスでは、IT技術が切り離せません。タクシー会社としてはまず利用者に提供すべきアプリと管理システムはどうするのかが大命題です。

自前で作るのかIT企業と手を組むのかと、悩み出したらきりがないのですが、他社やスタートアップに遅れを取るわけにはいきませんので、先行投資に乗り出さざるを得なくなるでしょう。

白タクを阻止したと思ったら、次は相乗り

日本では2013年にUberの日本法人であるUber Japan株式会社が、第2種旅行業者として登録され、同年台数限定でのトライアルサービスを行い、2014年8月より東京都内全域で本格的にタクシーの配車サービスを開始しました。

2015年2月には、福岡市において諸外国同様に、一般人が自家用車で運送サービスを行う「みんなのUber」のテストを開始しましたが、国土交通省から「自家用車による運送サービスは白タク行為に当たる」として、サービスを中止するよう指導が入り、同年3月にサービスを中止、Uber Japanは他の国と同じサービスが提供できなくなったのです。

この国の動きに、当時日本のタクシー業界は胸をなでおろしましたが、今度はその国が相乗りを推奨しているのです。抵抗するのではなく、他社に遅れを取らないサービスを提供できる様、動かざるを得ないようです。

新たなプレイヤーたち

相乗りビジネスには、既存のタクシー会社だけでなく、他業種からの参入も始まっています。

1)モネ・テクノロジーズ

ソフトバンクとトヨタ自動車が、2018年10月に戦略的提携に合意し、新たなモビリティサービスの新会社「モネ・テクノロジーズ」を設立しました。

モネはトヨタが構築した、コネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、スマートフォンやセンサーデバイスなどからのデータを収集・分析して新しい価値を生み出す、ソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させるというものです。

モネではクルマや人の移動などに関するさまざまなデータの活用により、需要と供給を最適化し、移動における社会課題の解決や、新たな価値創造を可能にする未来のMaaS事業(モビリティ・アズ・ア・サービス)を開始し、まずは利用者の需要に合わせて速やかにに配車が行える「地域連携型オンデマンド交通」や「企業向けシャトルサービス」などを、全国の自治体や企業向けに展開していく予定としています。

すでに2019年2月に三菱地所と共同で「オンデマンド通勤シャトル」の実証実験を都内で行い、吉祥寺、豊洲、川崎などから丸の内に通うビジネスマンを送迎しました。

2)AINORY x 駅すぱあと

株式会社ジクウでは、利用者自らが相乗り相手を決めることができる、相乗りタクシーマッチングアプリのAINORYの提供を開始しています。2018年11月に経路検索アプリ「駅すぱあと」を提供するヴァル研究所と、タクシー移動情報の本格連携を開始しました。

周知の通りAndroid/iPhone版駅すぱあとでは、公共交通機関の経路検索や時刻表などの機能を提供しており、AINORYは相乗りタクシーを支援するマッチングや、掲示板などの機能を提供しており、2018年11月よりAndroid向けにもリリースしていました。

両サービスはiPhone版アプリにおいて連携し、駅すぱあと上で検索した経路を、タクシーで移動した場合の予想情報を案内する、連携機能を提供したのです。その後Aodroid版でも連携しました。

日本で新規ビジネスとして受け入れられるか

日本で新規ビジネスとして受け入れられるか

相乗りタクシーの実証実験から得た課題の解決を図り、利用者の満足度を向上させ、経営基盤の強化につなげていおこうと、タクシー業界を挙げての改革が今、着実に歩みを進めています。国土交通省の前向きな姿勢も、タクシー会社にとっては心強い限りでしょう。

利用者側では安全確保の確立ができれば、料金が抑えられながらも、タクシー難民になることを逃れられますので、相乗りタクシーを歓迎する立場に変わっていくことが考えられます。

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