TikTokのブレークから見る、動画SNSの近い将来。

TikTokのブレークから見る、動画SNSの近い将来。

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日本における茶髪の流行は、女子高生が発端だったのは周知の事実ですが、その10代がまたもや火付け役としてブレークしたのがTikTokです。

TikTokは世界中で急成長しています。今までYoutubeの一人勝ちだった動画SNSに何が起こっているのでしょうか。

TikTokとは

TikTokは15秒から最長1分のBGM付きショート動画の作成と共有を中心とした、全世界で約8億回のダウンロード数を誇るプラットフォームです。

日本ではJ-Popなどの音楽で振り付けをしたり踊ったりという投稿が多く、さらにはオリジナルのダンスを考えるというより、有名なインフルエンサーが投稿している内容を真似して投稿して楽しむことがメインです。

コンテンツプラットフォームを運営するテクノロジー企業の一社である中国のバイトダンス(ByteDance)が2016年に中国国内でサービスを開始したTikTokでしたが、2018年に10代をターゲットにしたSNSプラットフォームのアメリカmusical.lyを正式合併し、世界的なビデオコミュニティとなりました。同年には150か国以上75の言語で利用が可能となり、日本における無料アプリの年間ナンバーワンになったのです。

TikTokがすごいところ

このところYouTubeやInstagram、Facebookではショート動画の配信を控え、収益が出やすいロング動画へと軸足を移しているのですが、TikTokはその真逆、いわば大手企業が捨て置いたカテゴリーから成長しているのです

著作権付きの音楽を挿入した動画の投稿は著作権侵害に当たるので、見つかれば即刻削除されるのがお約束ですが、流行の音楽を使った動画を投稿するなとユーザーに強制するのは、所詮無理な話で違反者が後を絶ちませんでした。

ユーザーとプラットフォーマーがいたちごっこを繰り返した結果、YouTubeでは作品を無断使用されていないか、著作権者が自分で調べることのできるContent IDを採用し、著作権付き音楽を使用した投稿数を大幅に削減しました。

しかしTikTokはもっとすごい打開策を打ち出したのです。それは著作権付きの音楽をユーザーが合法的に使用でき、著作権者にも利益をもたらす方法。

日本で著作権といえばJASRACですが、TikTokはまずJASRACとコンテンツに関するパートナーシップを締結しました。その結果TikTokユーザーは個別の利用許諾手続きなしで、JASRACの管理楽曲を利用した動画を作成、投稿することがほぼ問題なく行えます。

また複数の音楽スタジオと提携し、個々のスタジオから使用許諾を得た音楽を動画TikTokユーザーに提供しているので、音楽の再生数、売上ともに増加が期待でき、著作権者も利益を得られるということになるので、著作権を使う方も使わせる方もWin-Winなのです。

YouTubeのライバルになれる?

TikTokがYoutubeと比べて大きく違うのが、ユーザー1回あたりの利用時間です。Youtubeの動画視聴時間はだいたい5分前後ですが、TikTokの動画視聴時間は15秒程度となります。TikTokに10代のユーザーが多いのは、学校の休み時間の10分で気軽に撮影ができ、照会も15秒なら隙間時間にちょこっと見られるからなのかもしれません。

TikTokのコンテンツはほとんどが模倣であるのも特長です。つまり一からコンテンツを作って楽しむというよりは、他ユーザーのコンテンツを真似して楽しむことなので、Youtubeのようにしっかり編集をしてコンテンツを作り込む必要はありません。

両者は似ているところもありますがスピード重視の現代社会は、よりTikTok向きなのかもしれません。収益面ではYoutubeに軍配が上がりますが、TikTokが収入のあるシニアなユーザーの獲得ができれば状況が変わりそうですね。

ユーザーの心を掴んだ要因

ユーザーがTikTokを気持ちよく利用するのはなぜでしょうか。

1.投稿のハードルが低い

TikTokの動画はオリジナリティより、すでにあるものをいかに面白くアレンジできるかがカギとなります。Twitterにほんの一言つぶやく感覚でTikTokに投稿ができ、とにかく簡単なことが良いのです。

2. 拡散力が高い

知れ渡っているYoutubeやInstagramで動画SNSを始めるよりも、成長中のTikTokの方がフォロワーが増やしやすいのです。さらには模倣がコンテンツのメインなので、面白いネタを投稿すれば瞬く間に拡散して有名人になれるという期待も。ただしこれはTikTokに限ることではなくて、始まったばかりのSNS全般に言えることですが。

3. 動画制作が簡単

TikTokでは利用できるBGMもあらかじめ数万種類が用意されています。ですから専門知識がなくても、写真を取る感覚でショート動画を作成し動画を乗せれば、Lineのメッセージを打つ程度の時間で誰でも気軽に投稿できるのが人気の秘密です。動画を撮影する時には速さ調節をしながら撮影をしたり、標準機能にある特殊効果を活用することでユニークな動画も簡単に作成できます。

TikTokと企業の提携が進む

TikTokと企業の提携が進む

新曲の宣伝手段としてTikTokを利用するアーティストも出てきました。音楽業界もTikTokの人気者を発掘してスターを育てる取り組みが始まっています。

エイベックスがTikTokと提携しTikTokに2万5000曲を追加し、定額制音楽配信サービスのAWAでも提携で最終的に5万曲をTikTokに追加し、TikTok上でAWAの楽曲をフル再生することや、AWAで気に入った楽曲からTikTokの動画撮影にジャンプすることが可能になりました。両社ともTikTokをトリガーに楽曲の認知が広がることに期待をしているのです。

大手広告代理店も動きます。電通系ネット広告会社であるサイバー・コミュニケーションズ(CCI)ではTikTok向けのコンテンツ開発や広告商品の販売を強化するためTikTokと広告パートナー契約を締結し、TikTok向けビジネスを強化しています。

TikTokでマーケティング

TikTokはユーザーのエンゲージメントが非常に高く、2018年の調査でも1日あたり平均起動回数はすでに43.4回と高かったことから、何万人というフォロワーを持つ人気TikTokユーザーによるインフルエンサーマーケティングは効果がありそうです。

またTikTokのユーザーは10代が圧倒的に多いため、中高生をメインターゲットとしている企業では、TikTokでのプロモーションが非常に適しているといえるでしょう。

女子高生をターゲットにした成功事例を一つご紹介しましょう。

ローソン:Lチキ「#いつでもLチキチャレンジ」

ホットスナックの代表であるLチキですが、ローソンでは若い層を狙ったマーケティング展開として「#いつでもLチキチャレンジ」をTikTok内で実施しました。これは「いつでもLチキ」の曲に合わせて踊り、撮影したダンス動画を「#いつでもLチキチャレンジ!」のハッシュタグとともに、TikTokに投稿するもの。

キャンペーンモデルとしてTikTok内に60万人近くのフォロワーを有する国末莉子さん(Popteenのモデルとして活躍中)を起用したところ、彼女から発信された人差し指で作ったL字=Lチキサインと、最後に「ぱくっ」という音に合わて食べる仕草が可愛らしく、この動画マーケティングは成功し、女子高生中心の1000人ほどのユーザーが彼女を真似した動画を投稿しました。

え、TikTokが第二のファーウェイに?

え、TikTokが第二のファーウェイに?

米中貿易戦争の果て、中国ファーウェイを世界中から排斥しようとアメリカが躍起になっていることは周知のことですが、TikTokもターゲットにされたとして話題になりました。2019年2月運営会社のバイトダンスがアメリカの児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反し、保護者の同意なく13歳以下の子供から個人情報を収集していたと、アメリカ連邦取引委員会(FTC)から指摘されたことを受けて、司法省が同社を告発したのです。

これはバイトダンスが罰金として、570万ドルを支払うことで終結しましたが、TikTokもファーウェイのように、米中の覇権争いの犠牲になってしまうのかという声が出ているようです。もっとも中国がFacebookやTwitterを国内市場から締め出しているのとは異なり、アメリカはTikTokをアメリカ市場から追い出すつもりはなさそうですが、米中間の緊張状態が続く限り、アメリカは中国に絡むことにはクレームをつけるので、TikTokに対する監視や制限は続けられることでしょう。

今後

今後

次に来るのはTikTokの時代と考えてよいと多くの有識者が述べています。10代のユーザー、特に中学生が多いのですが、30%のユーザーが26歳以上と発表されているのも注目です。グルメや観光、ファッションなどに幅広く動画の利用が広がっていることや、TikTokには動画を情報として活用する機能もあることから、今後利用者層がシニア世代にも広がることが考えられます。

その一方でTikTokの10代のユーザーは自分より上の世代との交流を好まない傾向にあるため、親世代がTikTokを利用することに拒否反応を示す可能性が高いのですが、バイトダンスが強みを持つAI技術がこの解決策になる見込みです。

TikTokではAIの活用によって、ユーザーの好む動画が自動的に現れる機能の向上に注力しています。さらには興味のない動画が再生された場合、ボタンを押すことで次から同じ動画が出てこない機能も備えているので、10代が好む動画、50代が好む動画と年代に応じた動画が現れるので、世代や嗜好が異なる動画がマッチングしにくくなるのです。

TikTokは世代間ギャップの問題をAIによるリコメンド技術で解消することで、Youtubeのポジションに近づき始めました。TikTokのユーザー属性がYouTubeに近づき、所得が高い30代、40代以上のユーザーをより多く獲得できれば、いずれYoutubeを超える日が来るのかもしれません。

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