2019アグリークリスマスセーターの”あえてダサい”が今の日本の大人SNSにちょうどいい。

2019アグリークリスマスセーターの”あえてダサい”が今の日本の大人SNSにちょうどいい。

 後で見る

保守的なイメージがある日本人ですが、クリスマスやバレンタインデーといったキリスト文化に紐づく行事が国民的な行事になったり、この数年は”日本流ハロウィン”が大流行するなど、海外のカルチャーを日本流にローカライズして取り入れる柔軟さもあります。

日本流ハロウィンは、ロジャーズの採用者分布曲線でいうレイトマジョリティー(慎重に周囲の様子を見つつ模倣する層)にまで浸透した珍しい現象です。しかしこの2019年冬、そろそろ皆さんもお気づきのとおり日本流ハロウィンの終焉を迎えつつあります。

そして次のブームをつくるイノベーター達が目をつけているのが、クリスマスにダサいセーターを着る「アグリークリスマスセーター」です。セレブリティのSNS投稿で目にした方もいるかもしれません。

[出展:hollywoodlife.com]

アメリカで社会現象化しているアグリークリスマスセーター。ハロウィン並みに日本で流行するでしょうか?大人ほどハマると言われるその背景、検証していきます。

そもそも日本でハロウィンが流行ったわけ

「沈黙は金」とされてきた日本で奇抜な仮装をするハロウィンが流行ったのはなぜでしょう?

はじまりはディズニーランドから

日本でのハロウィンは、東京ディズニーランドが1997年10月31日、ハロウィン当日限定のイベントを行ったのが最初といわれます。その後クラブなどのクローズな場所で大人が仮装して集まりハロウィンを楽しむようになり、2009年あたりに現在の形になりました。

「違う自分を演じたい」欲求からブームに

本来の行事はかぼちゃを飾り仮装した子供が近所の家を周りお菓子をもらうというもの。ハロウィンが日本で定着できたのは「仮装するから(できるから)」と考えられています。もともと日本では、昭和の時代にも竹の子族やヤンキーなどの目立つ服装を好んでする人がいました。近年ではキャラクターに扮するコスプレが人気となっています。

一般的にシャイといわれている日本人ですが「違う自分を演じたい=仮装する」に抵抗感のない文化は根深く、ちょっとだけいつもの自分ではない存在になりたい変身願望をもった人も少なくなかったため堂々と仮装できるハロウィンは瞬く間に流行になりました。

でもやりすぎで人気は下火…

しかしこの数年のハロウィンは過剰にヒートアップしました。2018年には渋谷駅近くで酔った若者がトラックを横転させ、ついには逮捕者が出ました。また商店街は危険を察知して早々に店じまいされ、お祭り後の街には食べ物やコスチュームの残骸はゴミで溢れ、いつの間にかハロウィンは迷惑な行事と冷ややかな目で見られるようになりました。

2019年の渋谷ではハロウィン中のコンビニ各店にアルコール販売の自粛がよびかけられ、その結果例年に比べてハロウィン当日は随分とトーンダウンしました。マーケティング観点でもその大トレンドは下火になったとも受け止められています。

アメリカではアグリークリスマスセーターが社会現象に

アグリー・クリスマス・セーターはアメリカでは既に定着したトレンドです。クリスマス時期に「アグリー(ダサい)なセーターを着て過ごす」習慣・パーティーは、老いも若きも手軽に誰でも楽しめる理由で社会現象になっています。

伝統的な背景もあるポップカルチャー

アメリカではもともと、お婆さんがクリスマスに手編みのセーターをプレゼントする伝統がありました。しかしその(悪趣味な)センスは多感な年齢の子供たちには”ダサい”と敬遠されたのです。

1970~80年代、メイシーズやJCペニーといったアメリカの有名デパートの店頭でクリスマスならではのノベルティアイテムとして販売され流行しました。その後2001年公開の大ヒット映画『ブリジットジョーンズの日記』では、ホームパーティーでお婆さんから贈られたポップすぎる柄のセーターを着るエピソードが注目されました。時代を経て、お婆さんの手編みセーターのダサさを逆に楽しむものとして徐々にブームになりました。

2011年、アグリークリスマスセーターの悪趣味さ楽しむために、ナショナル・アグリー・セーターの日(12月の第3金曜)がアメリカで制定されセーターの悪趣味具合を競い合うコンテストを開催したり、チャリティ目的でパレードしたり、アグリーセーターを主役にした様々なイベントが大真面目に行なわれています。

家族でも恋人や友人たち誰とでも楽しめるということで、本格的に商戦にも影響をおよぼすようになります。11月の感謝祭(サンクスギビングデイ)やその翌日のブラックフライデーにはアグリーセーターが店頭から売切れ続出するほど消費者が殺到するようになりました。

いまのSNSはダサいくらいが”ちょうどいい”

ダサいほどクールとされるアグリーセーターを着て、セレブや有名アスリートたちがテレビ出演し家族と過ごす写真をSNSに投稿されると、「ダサい(失笑)」という反応とともに瞬く間に拡散され、ブームはさらに一般の人たちにも広がりました。

今やアメリカのクリスマスシーズンには、街やパーティー会場、ホームパーティーで老いも若きもアグリーセーターを着込んで過ごしています。アメリカンポップカルチャーとして、アグリークリスマスセーターはその市場が定番化したのです。

単なるセーターと馬鹿にしてはいけません、ウォルマート、ターゲット、H&M、アーバンアウト・フィッターズ、ラルフローレン等がそのブームにのり、毎年限定モノも含むオリジナル商品を多数販売しています。ダサいデザインだからと油断禁物、目をつけていたデザインのものが瞬時に売り切れて入手できないなんてことが起きています。

数年で下火になるどころか、市場は年々拡大

人気のファッションブランドから期間限定デザインが発売され、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)からはチームごとに毎年アグリーセーターが発売され売切れが続出する事態です。またNikeからはアグリークリスマスセーターのデザインを纏ったスニーカーUgly Sweaterが発売されるほどの人気っぷり。

ブルームバーグ・ビジネス誌によると、アグリー・クリスマス・セーターはすでに2014年に1億円規模の市場でしたが、ファストファッションのみならず、有名ブランドまで参入し年々その市場は拡大しています。

日本人に”ちょうどいい”アグリークリスマスセーター

(2018年あたりからすでに多くの人が楽しんでいるよう)

 ●あえてのダサさ

 ●「頑張ってない」感

 ●着るだけという手軽さ

 ●シニカルさを楽しめる余裕

日本流ハロウィンのお祭り騒ぎの片隅で「地味ハロウィン」という小さな(だが熱量のある)ムーブメントが起こりました。いわゆる”リア充”層の浮かれる様や仰々しいメイクのパーティーノリに乗れない(乗りたくない)人たちが”地味な仮装を楽しむ”というある種の皮肉をきかせたブームをつくったのです。

また昨今は、Instagramの「映え・盛り」に疲れた消費者たちが、「チル・エモ」と言われるように、力んで「盛り投稿」することよりも、より等身大のリラックスした時間を過ごすことこそ充実だ捉えように変化しています。

これら2つの要素は、大人がSNSやトレンドを楽しむ姿勢とリンクしているといえます。

あえてダサい、というシニカルさ

「いつもと違う自分になる」行為はハロウィンによって醸成され、「肩の力を抜いた空気感」に消費者行動が移行している今、「あえてダサい」アグリークリスマスは本来保守的な日本人にも大いに楽しめることでしょう。

普段着ないデザインのアグリーセーターを着てダサさを友人と競い合う行為は、肩の力を抜きつつもイベントを全力で楽しめる、という多くの恥ずかしがり屋さんにとって”ちょうどいい”訳です。

アグリークリスマスセーターは大人が取り入れるのにも”ちょうどいい”適度な遊びです。「流行にまんまと乗ってしまうのものなあ…」と構えてしまいそうですが、アグリークリスマスは「人よりダサいファッションをする」という個性を十分に発揮できる要素があります。オジ様ほどむしろ得意!(失礼)

一人でも家族でも、もちろん恋人や友人たちとも楽しめる、”大人にちょうどいい”トレンド、アグリーセーターを着て今年のクリスマスを思いっきり楽しみましょう。

メリークリスマス。

 後で見る
OFFCOMPANY スタッフ

この記事のライター

OFFCOMPANY スタッフ

 JOIN US
OFFCOMPANYへ参加する


もっと表示する