インバウンドマーケティングで外国人観光客に伝える本当の日本とは?
外国人観光客が増えてきていることから、今後ますます注目されるインバウンドビジネスに対応したマーケティングは必要になってくるでしょう。
外国人観光客向けのサービスやツールの需要も高まってきています。「日本をどのように伝えていくべきか」それだけにマーケターは、インバウンドビジネスに参入する企業向けの提案も必要になってくるのです。
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当記事では、外国人観光客に向けたマーケティングについて、「どのようにウェブを活用していくべきか?」解説していきます。
目次
外国人観光客の最新動向
実際に外国人観光客って増えているのでしょうか?
前年同月比3.1%増の245万人を記録(JNTO統計データより)2018年12月18日時点で今年の訪日外客数が史上初めて3,000万人を突破
参考URL:https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/
統計調査では、訪日客は、今後も増えていく見通しですね。つまり、観光地での宿泊や飲食など実際のサービス以外にも外国人向けの情報の価値が高まってきます。
そのような事情から、インバウンド(外国人観光客)市場に照準を合わせている企業も少なくありません。インバウンド市場は、4000万人に向けて大きな可能性を秘めているのです。
次に外国人観光客に向けたマーケティングについて、実際のデータから解析していく必要があります。
- インバウンド市場の目的
- インバウンド市場の国別訪問者数
- インバウンド市場の訪問地域
インバウンド顧客全体を対象とした訪日目的から見ていきましょう。
- 観光74.9%
- ビジネス16.2%
- 留学・家族・公用など8.9%
この数字から大半の目的が「観光」になるのです。さらに国別の訪問者数について、2017年の外来データで並べると以下のようになります。
- 中国 約838万人
- 韓国 約753万人
- 台湾 約475万人
- 香港 約220万人
- 米国 約152万人
日本に訪れる外国人は圧倒的にアジア圏が多く、全体的に過去最高の外来数を更新している状況です。次に外国人観光客が多く訪れる地域を参考にしてみましょう。
- 大阪
- 東京
- 千葉
- 京都
- 福岡
- 北海道
- 沖縄
- 奈良
特に訪日客の訪れた「大阪」は、中国や韓国から買い物やレジャー目的で利用されています。このようなデータからアジア圏の訪日客の需要に注目することが見えてきますね。
日本政府観光局調べ
参考URL:https://www.jnto.go.jp/jpn/business/inbound/index.html
外国人観光客に向けたマーケティングとは?
訪日外国人客のデータから、中国人や韓国人が圧倒的に多いことが判断できました。では、外国人観光客に向けたマーケティングをどのように仕掛けていくのでしょうか?
それには、インバウンドマーケティングを理解する必要があります。
インバウンドビジネスとは
インバウンドビジネスとは、海外から訪れる外国人旅行者をターゲットとしたビジネス、またはその訪問に付随して発生するビジネスのことである。
参考URL:https://www.in-bound.or.jp/word/w05/w05-01.php
インバウンドビジネスは、外国人旅行者向けのサービスや商品提供になるのです。では、インバウンドビジネスに対してマーケターは、どのように戦略を立てていくのでしょうか?
そこで登場するマーケターの手法が「インバウンドマーケティング」になります。
インバウンドマーケティングとは
インバウンドマーケティングとは、“情報提供の最適化”を目指すマーケティング手法です。世界規模で進行しているインターネットの普及からの「情報過多」への対策になります。
インバウンドマーケティングは、現代の「増え続ける情報を取捨選択できる顧客」に向けた「必要とする情報を提供できる」手法なのです。
つまり、インバウンドマーケティングの本質は、有益な情報を提供して、必要とする顧客に見つけてもらう手法になります。
インバウンドマーケティングによって「見つけてもらうコンテンツ」を上げてみましょう。
- ウェブサイトやブログの記事
- 動画
- 音声ファイル
- PDFファイル
- ニュースリリーズ
ここで重要なのは、見つけてもらうためのコンテンツを継続的に発信していくことです。そのため、対象となるアウトバウンドマーケティングとは全く違う時間のかかる手法になります。
アウトバウンドマーケティングとの違い
アウトバンドは、相手の許可も確認しない一方的な情報発信です。一方、インバウンドマーケティングは相手に不快感を与えない相手の求める情報発信になります。
つまり、このインバウンドマーケティングの本質を外国人向けに活用することなのです。このインバウンドマーケティングをインバウンド市場で活用するために融合させて考えてみましょう。
融合させたマーケティングを展開
インバウンドビジネスとインバウンドマーケティングを融合させることで、より明確に価値が提供できるでしょう。それは、国籍や利用地域、目的などからターゲットを絞り込み分析ができるからです。
例えば、日本政府観光局による統計データの結果、一番多い「中国から大阪に訪れる訪日客」で考えてみます。
「なぜ、中国人は大阪を選ぶのか?」それには理由がありました。大阪観光局の施策が中国人観光客に響いたのです。
- 無料Wi-Fiを増設(Osaka Free Wi-fi)
- 海外の人気ブロガーの拡散力を利用
- SNS発信により無料で大阪招待
- 店舗の徹底した多言語化
- 地下鉄駅のビデオ通訳サービス
- 多言語対応案内担当職員の雇用
- 外国人対応マニュアルの活用
- 大阪B級グルメの評価
- USJや大阪城など観光地が密集している
このように大阪観光局はインバウンドビジネスに重点を置いて取り組みました。結果的に日本で一番外国人が訪れる地域になったのです。
大阪の成功事例をヒントにして商品開発やサービスの提供などを分析していきます。
インバウンド市場でもターゲット数が多いことで競合も多くなることでしょう。現状の訪日客の動向までリサーチして、自社の商品やサービスを差別化して市場に送り出すことが必要ですね。
観光の際の宿泊施設の事情
企業に提案する立場のマーケターにとって、インバウンドビジネスの提案は事例が多くありません。ここ5年ほどかけて注目度が増してきた状況なので判断に苦しむかもしれません。
ですが、「観光の際の問題点」からヒントが見えてくるのでしょう。それは、訪日客の増加による宿泊施設不足です。インバウンドの需要は、宿泊施設に大きく影響を及ぼしています。
その理由は、東京オリンピック開催の2020年までに都心部の宿泊施設がさらに不足することが予想されているからです。
観光客が増えていることで、宿泊施設の需要が上がることは当然の結果ですが、都心部では深刻な問題になっています。そのため、現在は改善の傾向へ向けて、宿泊施設の増設に国も支援している状況です。
さらに訪日観光客は、リピーターも増えてきています。そのため主要都市の観光ばかりではなく、地方の観光地へも訪日客は分散しているのです。
宿泊の需要が高まることで、宿泊費の高騰なども考えられます。ここで注目したいのは、観光地や宿泊施設などに必要な「二次需要」の提案になるでしょう。
二次需要を提案する
宿泊施設の「二次需要」とは、宿泊施設に必要な商品やサービスの需要も高くなることです。具体的には、ホテルで提供するシーツや布団、食事、清掃など幅広い分野に需要が広がることが予想されます。
「インバウンドはウチには関係ないよ」宿泊施設や観光地で必要なサービスは「衣食住」に深く関係しています。そのため、食料品でも清掃用具でも移動手段にしても需要が高くなるのです。
企業に提案するマーケターは、インバウンド市場を無視することができなくなるでしょう。
例えば、観光地の宿泊施設向けの「使い方」が翻訳されたドライヤーだとか、ホテル内の「案内板」も翻訳されていることが望ましくなりますよね。
実際に都心部の店舗では、「中国語」や「ハングル語」表記の案内板は当たり前のように増えてきています。
それだけにマーケターが意識しておくべきことは、顧客企業が「いつインバウンド市場に乗り出してもおかしくない」ということですね。
別な言い方をすると、常にインバウンドも意識した提案力が必要になります。そのためには、日頃から準備をしておきましょう。
準備しておくべきなのは、日本に来る前の外国人の動向です。
外国人が日本をリサーチするには?
訪日前の外国人の動向をどのようにリサーチしていくのでしょうか?この分析は、マーケティングの3C分析のカスタマー「顧客」の動向を知ることに当てはまります。
外国人の動向を知るためには、観光目的のある外国人の「日本のリサーチ方法」を知ること。つまり、ターゲットになる外国人がインターネットを使って、「どうやって日本をリサーチしているのか?」を調べるのです。
インバウンドの入り口になる「外国人が参考にするウェブサイトはどんなものがあるか」見ていきましょう。
海外から参考にされるウェブサイト
海外で日本をリサーチする上でどういったウェブサイトが使われているのでしょうか?ここでは3つのウェブサイトを紹介しましょう。
トリップアドバイザー
全世界の「旅情報」を詰め込んだ旅行価格比較の口コミサイト。
ホテル、観光スポット、レストラン、航空券など「旅」にまつわる情報を徹底的にかき集めた世界最大の旅行コミュニティサイトです。
使われている画像のクォリティも高く、情報量も多く、訪日の利用者が自分の体験を投稿して成長を続ける大規模なウェブサイトになります。
https://www.tripadvisor.jp/
Japan Travel
日本の観光情報に特化した訪日外国人向けのウェブサイトです。
特に「日本の文化」に注目した歴史を感じさせる内容になります。観光名所や寺院仏閣など、日本ビギナー向けの入門サイトの役目になるでしょう。
https://ja.japantravel.com/
Time Out Tokyo
ターゲットを東京に絞り込んだ店舗や観光スポットの案内サイトです。
一見、東京に特化した旅行情報に見えるけれど、実は日本全国の観光スポットも随所に盛り込んでいるポータルサイトになります。
https://www.timeout.com/tokyo
いかがですか?ここで紹介したウェブサイトは、訪日に関心のある外国人に中立な立場で有益な情報を提供しています。
なぜならば、インバウンドマーケティングの要素が詰め込まれているからです。
特に最初に取り上げたウェブサイト「トリップアドバイザー」は、インバウンドマーケティングにより成長している事例になるでしょう。
インバウンドマーケティングのポイント
なぜ、「世界最大の旅行コミュニティサイト」がインバウンドマーケティングによるものなのでしょうか?
それは、「旅行目的の人に必要な情報を見つけてもらえている」からです。まさに「インバウンドマーケティングとは?」の説明が当てはまります。
インバウンドマーケティングは、「有益な情報を提供して、必要とする顧客に見つけてもらう」手法だからです。
- 旅行者の口コミを集める→有益な情報を提供
- 宿泊料金や飲食代の価格比較→有益な情報を提供
- アプリやウェブサイトから投稿可能→見つけてもらいやすい
インバウンドマーケティングは、営業がテレアポや訪問などで一方的に提案する手法ではありません。
ポイントは、有益な情報により、顧客に信頼と安心を与えて中長期的な関係を築くことです。インバウンドマーケティングは一回だけの利用で終わりません。
重要なのは、顧客とアップセルやクロスセルを提案できる関係を築いていくことになります。
ウェブサイトだけでなく、ユーチューブ動画やスマホアプリ、インスタグラムやフェイスブックなどSNSも活用して情報を発信していくのです。
ここで共通するポイントが、画像や動画になります。画像や動画によって海外の訪日見込み客の興味に訴求していくのです。
そして、訪日見込み客にも気軽に投稿してもらえるコミュニティを作ることが飛鳥になります。
先ほど、紹介したウェブサイトのトリップアドバイザーは、自分の旅行体験を手軽にスマホから画像や動画で投稿していく参加型のコミュニティです。
見込み客と既に利用した客とが情報交換を投稿する場所にもなっていますね。まさにインバウンドマーケティングは、参加型の情報発信の場になるでしょう。
まとめ
インバウンドマーケティングについて、「マーケターがどのように関わっていくべきか?」解説してきました。
2020年の東京オリンピック開催に向けてますます過熱していくインバウンド市場を知ることは必要です。
外国人観光客に伝える本当の日本とは、「相手に見つけてもらいやすい日本のおもてなし」ではないでしょうか。
その辺を基準において、インバウンド市場で日本の特徴を付加させていくのです。
特に次の施策が見つからないクライアントへの提案で「インバウンド向けのサービスの導入」で視野が広がってくることは間違いないでしょう。
そのためにも、マーケターが率先してインバウンド市場のデータを分析しておく必要があります。ぜひ、参考にしてみてください。
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