RPAの次の本命はハイパーオートメーション。人を中心にした業務自動化の未来

RPAの次の本命はハイパーオートメーション。人を中心にした業務自動化の未来

 後で見る

2011年にドイツで発表されたインダストリー4.0を皮切りに、中国製造2025、仏Industrie du Futur、そして日本ではConnected Industriesをコンセプトに、各国がスマートファクトリーの実現に向けたことで、IoT技術が急速に進化したのは、記憶に新しいですね。製造業の業務改革を担う先端技術として、AI、ビッグデータ、機械学習(Mashine Learning=ML) などが次々に台頭してきましたが、RPAもその先端技術のひとつです。

【合わせて読む】

GAFAが夢見たデータエコノミー社会は、夢では終わらない。
スモールマスへ市場がシフトしていることを常に意識しているか
AI先生がやって来る!|教育業界の改革前夜

働き⽅改⾰の実現に向けた業務効率化のため、RPAが急速に注目を集めておりRPAを導入する企業が増えていますが、RPAが生み出す勢いを足場とした新たな概念が登場しました。それこそがハイパーオートメーションです。

RPAが急速に成長してきた理由は、誰もが使いやすいユーザーフレンドリーであるから。以前のプラットフォームであれば、専門的な知識が求められましたが、RPAならユーザーは高度な技術がなくても、ドラッグアンドドロップの活用で、業務の自動化プロセスを自ら作成することができます。先端技術でありながら、使いやすい点がRPAの大きな差別化と言えますが、ハイパーオートメーションでは、このRPAの成功をさらに加速するものといえるのです。

今回はハイパーオートメーションについて、確認したいと思います。

RPAの定義

まずRPAのおさらいから始めましょう。RPAとはRobotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)の略称で仮想知的労働者とも呼ばれ、業務効率ツールの一つとして定義されます。

今の所RPAが能動的な判断をすることはないため、業務における判断基準やルール作りを人間があらかじめ操作画面上で登録する必要があります。その際専門的なプログラミングの知識は不要です。業務内容を覚えて、それを自動的に繰り返すことがRPAの基本的機能なので、定例的なルーティンワークに向いています。RPAとは言ってみれば、人が今まで行っていた手作業の部分を代替するツールなのです。

日本のRPA市場動向

日本のRPA市場規模は、2015年ごろから急速に成長し続けています。2016年度のPRAソフトウェアの総売上金額は8億円でしたが、2015年から2016年の1年間で4倍の大きさに成長しており、その後2017年では35億円、前年対比で4.4倍増という高い伸び率に。今後もこの傾向は続くことが考えられ、2022年には400億円前後になることが予測されています。

世界規模では

全世界で1億人以上のホワイトカラー労働者、あるいは仕事量全体の1/3が、2025年までにRPAシステムに置き換わってしまうと、米コンサルティング会社のマッキンゼーアンドカンパニーが予測しています。世界全体で見た2020年の市場規模予測では日本円で約650兆円で、その先の市場規模拡大も間違いなさそうです。

え、RPAに幻滅?

急成長の影に問題点も発覚。RPAで期待した効果を得られないことが起きているのです。その原因の多くはRPAが最も能力を発揮できる適用業務を、人が見つけ出せていないからなのです。実証実験で思うような結果が出なかったために、本番稼働に至らないケースもあるようです。

多くの企業ではERPやCRMが稼働しているし、人事管理システムなどもあります。ERPのデータをCRMで使いたいので、ERPのデータをCRMに取り込む定型業務が簡単に自動化できる(はずの)RPAへの期待が高まったのですが、クラウドが標準となった今では、業務プロセスがさらに複雑になってしまったのです。

それに誰でも簡単に業務の自動化プロセスを作成できることも、実は問題なのです。規制が明確でないところで、必要に応じてどんどん自動化プロセスが増えると、内部統制がままならなくなります。

自動化がうまくいかないことにしびれを切らしたユーザーが、一部の作業に対して例外処理を行うようになり、RPAによる定型業務の自動化を妨げていることも。

あるいはRPAが処理した作業の最終チェックは引き続き人が行うなら、そもそもRPAを使うメリットがあるのかと懐疑的になるのは当然ですよね。

もちろん業務の最適化がRPA導入する最大の目的ですが、自動化プロセス作成に対する承認制度を導入し、稼働状況を一元管理する仕組みなくしては、RPA導入はうまくいかないということ。

ハイパーオートメーションの登場

ハイパーオートメーションの登場

2019 年10月、IT分野調査大手である米ガートナーが、自社のプレスリリースで、2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10を発表しました。その中では2020年が業務自動化が急成長すると予測し、テクノロジーの中心に人を位置づけたものです。最新の概念として一つ目に挙げられたのが、ハイパーオートメーション(Hyperautomation)。それまで全く知られていなかった概念ですが、ガートナーが定義してからは徐々に知名度が上がっています。

以下ガートナーのプレスリリースのサマリーです:

  • ハイパーオートメーションとは、複数のML、パッケージ・ソフトウェア、RPAなどを組み合わせて一連の仕事を実行する概念。
  • ハイパーオートメーションでは、自動化メカニズムの範囲や、そのメカニズムがどのように相互に関連し、それらをどのように組み合わせて調整できるかを理解することが重要。
  • このトレンドはRPA から始まっているが、RPAだけではハイパーオートメーションとはいえない。RPAの操作といった人の作業を、ツールの活用で自動化するといったプロセスも、ハイパーオートメーションの手法とされる。

日本の業務自動化との差

業務自動化に関して日本の現状を確認してみると、RPAなど単一のツールを業務ごとに使い、手作業の業務をそのまま自動化するのが一般的。一方のハイパーオートメーションは、iBPMS(インテリジェントビジネスプロセスマネジメントシステム)やAI、ワークフローシステムなどをRPAと組み合わせで実現していき、自動化には、発見、分析、設計、自動化、計測、モニタリング、再評価といった複数ステップが含まれるので、単純な自動化とは似て非なるものであるようですね。

ハイパーオートメーションが今後成長し続け。社会に大きな影響をもたらすといわれていますが、RPA導入も現在進行形の日本では、まだピンとこないのが本音。働き方改革が追い風になり、国内で業務の自動化がさらに進めば、ハイパーオートメーションのイメージがより明確になるのではないでしょうか。

ハイパーオートメーションで、期待できる効果

ハイパーオートメーションで、期待できる効果

ハイパーオートメーションの活用により、人は機械的に繰り返す作業から解放され、問題解決策や新規事業を生み出すといった、重要な業務に時間を費やすことができるようになるといえるでしょう。以下の効果が想定できます。

  • 業務の自動化
  • 新規労働力の確保
  • 分析の高度化
  • 人の満足度とモチベーション向上
  • 人の能力向上
  • 迅速で正確な判断
  • コンプライアンス向上とリスク低減
  • 生産性向上
  • 組織力向上

2019年10月に米オーランドで開催されたGarter IT Symposium/Xpo 2019では、前述の2020年戦略的テクノロジートレンドのトップ10の、プレスリリースに先立った講演がありました。その場ではハイパーオートメーションについて、2つのキーワードが紹介されましたので、こちらも共有したいと思います。

組織のデジタルツイン(Digital Twin Organization)

まずデジタルツインとは、物理空間の情報をリアルタイムで仮想空間にコピーし、再現することです。これにより現場の物理空間をモニタリングや、現場のシミュレーションが可能になるので、現在は工場を持つ製造業を中心に注目を浴びています。

そしてハイパーオートメーションによって作られるのは、組織の見えない要素を見える化した組織のデジタルツインです。業務プロセスをデジタル化することで、あらゆる業務が視覚化できるようになるわけ。

専門性の民主化(Democratization of Expertise)

ここで言うところの民主化とは、特別なトレーニングを受けた専門家でなくても、広く専門的な技術・知識にアクセスできるようになることです。

具体的には次の4つの民主化が考えられます:

  • データと分析の民主化
  • AIツールを活用しての、アプリケーション開発の民主化
  • ローコード、ノーコードによるアプリ開発の自動化など、設計の民主化
  • セールスプロセスや経済分析といったビジネス分野における専門知識の民主化など

民主化はハイパーオートメーションを通じて実現されます。たとえデータサイエンティストのスキルが全くなくても、データモデルが作成できるようになり、コードと自動テストツールによって、AI指向の開発をすることができるのです。すごいことですよね。

これはハイパーオートメーションがビジネスにもたらす大きな影響のひとつといえます。専門職や技術職の人手不足問題の解消にもつながるのではと期待がたかまります。

業務テクノロジーの今後の姿

今後の姿

新たなテクノロジ・トレンドとして動きを見せ始めているハイパーオートメーション。今後活用される場が増えていくと考えられます。ツールの技術が急激に上がっても、あくまでも主役は人という位置づけで戦略を構築することが大切。モチベーションが高い人々が、RPA+ハイパーオートメーションを正しく活用すれば、業務効率化は向上的に加速するでしょう。

今はまだRPAなどの単一ツールの導入がメインの日本ですが、ハイパーオートメーションに移行する未来がそこまできていることも見据えておきたいものですね。引き続きハイパーオートメーションの動向を確認していきたいと思います。

«

»

 後で見る
OFFCOMPANY スタッフ

この記事のライター

OFFCOMPANY スタッフ

 JOIN US
OFFCOMPANYへ参加する


もっと表示する