どうするTOKYO2020中の通勤ラッシュ|答えはリモートワーク

どうするTOKYO2020中の通勤ラッシュ|答えはリモートワーク

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日本中が大いに沸いたラグビーワールドカップ2019が、60万人にもおよぶ海外からの訪問客を得て大成功で幕を閉じました。ラグビーワールドカップの開催では全国数ヶ所と会場が分散し、決勝リーグでは横浜や東京に集中したものの、その開催日が多くの社会人が休日である週末だったので、交通インフラの麻痺はありませんでした。

来年はいよいよTOKYO2020 (2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会)。ラグビーワールドカップの集客数で驚いてはいけません。TOKYO2020組織委員会の資料によれば、オリンピック780万人、パラリンピック230万人の計1,000万人超が東京に集まることが予想されているのです。

2019年の東京の人口は1,400万人前後というところですから、TOKYO2020期間中にはさらに1,000万人がプラスされる計算。つまり人口が一時的に倍近くに膨れ上がる感じになります。

観戦チケットの二次応募が始まり、新国立競技場が完成間近など開催に向けて日本中が大いに盛り上がってきていますが、喜んでばかりではいられません。TOKYO2020は2020年7月24日から9月6日まで、オリンピックとパラリンピックの間2週間ほど休みがありますが、その間社会人の稼働日も競技が行われることが多いため、当然のことながら社会人の通勤の足に致命的な影響を与えることが考えられるからです。

何も対策しないとどうなる

何も対策しないとどうなる

TOKYO2020期間中に何も対策をしなかった場合の混雑状況を予想した、大会輸送影響度マップが公開されており、指定した日時の道路・鉄道、競技会場周辺の混雑予想を調べることができます。詳しいことは本文では取り上げませんが、すごい数字が羅列していますので当該サイトのご一覧を。その数字を踏まえ最悪な場合を想定してみました。

鉄道

都内に通勤する場合、通常の場合でも朝の通勤ラッシュ時間帯(7時-9時)は駅も電車も非常に混雑しており、ずいぶん前からピークオフ通勤を推奨していますよね。大混雑で有名な埼京線などはラッシュ時の乗車率150~200%(!)という状況は稼働日なら毎日のこと。

「痛勤」ラッシュの時間帯しかも夏の暑い中、構造が複雑な乗換駅で乗り換えに慣れていないお客がどっと押し寄せたらどうなるのでしょう。いつもにも増す混雑により電車の発着が遅れるでしょうし、ホームで次の電車を待つ人も増えます。

国立競技場の最寄りとなる千駄ヶ谷駅では、競技開催日のピーク時には通常の15倍の混雑も想定されているのです。普段そこまで混雑しない駅で入場制限が頻繁に起こり、最悪なのはホームに落ちるなど人身事故も増えてしまうに違いありません。

通常スタジアムの試合は1日1試合というところなのですが、TOKYO2020ではスケジュールが立て込むために、1日に3試合から4試合行われる計算になります。つまり1日につき2、3回は観客を入れ替えなければなりませんので、会場に入る人、出る人の混雑はそっくりそのまま交通機関の混雑となるのです。

都内の通勤ラッシュ時間帯は普段でも最大限の輸送力とギリギリの過密ダイヤなので、鉄道各社が独自に対策をとるのは難しいと考えられるので、国のテコ入れが必要となります。

道路

東京やその近郊の道路は、選手や大会関係者の移動ピーク時間 (7:00-9:00)では、普段の交通量の3倍以上に達すると予想されていますが、この時間帯は朝の交通渋滞のピークと見事にバッティングするので、何も対策をしなければ、高速道路、一般道とも交通麻痺となってしまいます。これでは選手も競技時間までに会場に到着できないリスクが大なりなのです。

TOKYO2020期間中の通勤に不安がある人は7割

クライドサービスのサイボウズでは、TOKYO2020開催期間の働き方対応に関して、東京都内勤務の男女400名(20-50歳)を対象にアンケートを実施し、その調査結果を発表しました。

TOKYO2020開催中の通勤や仕事上の移動についてどう思うかの問いに対し、

  • 「不安がある」という回答が全体の約4割、
  • 「やや不安がある」と合わせるとその割合は70%

に達しました。その理由としては、

  • 移動に時間や手間がかかりそう
  • 混雑により暑さが増しそう

という声が多く寄せられ、さらに大会期間中会社を休みたいかという問いには、交通混雑に耐えられない、出社しても仕事自体が滞りそうといった理由から、70%超が「はい」と回答。

調査では全回答者のうち、管理部門で働き方整備に関与しているという約100名に対し、会社としての対策を考えているかと質問したところ、およそ40%が予定していないことが明らかとなりました。予定していない会社数をゼロにすることが、国や東京都にとって大きな課題です。

予定があると回答した人に詳細を尋ねてみると、「時差通勤」という答えが最も多く、そのあとは「スケジュール調整の推奨」、「有給休暇取得の推奨」、「リモートワーク」という答えが続きました。

テストランの結果

テストランの結果

東京都と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が共催で、開会式のちょうど1年前にあたる2019年7月24日を集中実施日とし、その24日を含む22-26日の週をチャレンジウィークと位置付けたスムーズビズという実証実験を行いました。

これにはアサヒビール、味の素、JR東日本、JTB、全日本空輸、東京ガスなど、オリンピック2020のスポンサー企業が参加。テレワークや時差出勤、会議の開催時期変更で人の流れを変え、商品の納品時期や配送ルート変更、共同配送によってモノの流れを変えようとする試みでした。

首都高の交通量を減らして、TOKYO2020期間中の大会関係車両などの通行を円滑にする狙いから、集中実施日の交通規制実験では、最大で36箇所の首都高入り口を閉鎖。首都高への入口にはコーンが立てられ車両の進入が禁止され、近くには警察官が立ち、誤進入を防ぐために誘導に当たりました。

その結果首都高では、90%以上も利用量が減少した路線があったといった効果が見られましたが、その反面首都高に並行する一般道では、通常の2倍近くまで利用量が増えたことも報告されました。また実験を行なっていることを知らずに、首都高を利用しようとして警察官に説明を受ける車両も多くあったので、周知の徹底も新たな課題です。

首都高だけでなく、鉄道の混雑対策の実験も並行して行われました。通勤ラッシュの抑制や分散に向けた時差出勤を呼び掛けに対して、1,200社以上の企業が参加を表明し、鉄道各社も臨時列車を運行したり、ラッシュ時間帯以外の列車を利用し、時差出勤に協力した通勤客に提携店舗のクーポン券を配布するなどの対応をしたので、こちらも一定の成果がありましたが、時差出勤での効果はほんの少しですので、それ以外の施策についても早期実施が望まれます。

東京都庁でも

東京都庁では「都庁2020アクションプラン」として、次のことを策定し、交通量削減に貢献できるかどうかを都庁内で検証:

  • オフピーク通勤の実施
  • 庁用車の利用を控え、利用が必要な場合でも高速道路の使用を控える
  • 備品やコピー用紙の納品を前倒しして、期間中は納品をしない
    • 資料の電子化を推進し、廃棄物(ごみやコピー用紙)の処理を前倒し
  • 都庁発注工事の調整

その結果都庁本庁職員のほぼ全員(約8,600人)が自社出勤やテレワークに応じ、庁用車の利用が約40%減少されましたので、有効な手段であることが確認されました。

国がテレワークの推奨を

国がテレワークの推奨を

2016年開催のオリンピック・パラリンピックロンドン大会では、企業の約8割がテレワークや休暇取得などの対応をし、交通インフラの混雑解消に貢献しました。日本では2017年から毎年7月24日を「テレワーク・デイ」に設定し、働き方改革の国民運動としての展開が始まっています。

テレワーク・デイズ2018(5日間実施)では1,682団体、延べ30万人以上が参加。期間中の東京23区への通勤者が、延べで約41万人減少したことからも、その効果は明白。特に減少が多かった地域は丸の内、品川で、午前8時台の丸の内では9,000人以上減少したとのことでした。

テレワーク・デイは企業にも大きなメリットをもたらすのです。2018年のテレワーク・デイズでは事務用紙等が約14%減少、従業員の残業時間は約45%減少し、さらに消費電力削減にも効果があり、従業員の移動時間短縮や生活環境の改善、業務の生産性向上にも貢献しました。

2019年は7月下旬から約1ヶ月間をテレワーク・デイズ2019とし、2,200団体の参加を得て実施され、TOKYO2020前の本番テストとして取り組まれました。

これを機に副業も浸透するか

このところ大手企業でも社員の副業を認めるようになりました。潜在的に副業や兼業を希望している人が日本在住者だけで2,200万人いるといわれています。経済的理由だけではなく、新たな技術の習得や知識・経験の蓄積、人脈拡大の観点からも副業志向を持つ人がこれからますます増えることが想定されますが、TOKYO2020の対策の一環としてのテレワークの普及が、副業の推進にも一役買うことは間違いないでしょう。

余談:船で通勤もあり?

余談:船で通勤もあり?

東京都では交通渋滞の緩和を目的とした社会実験「真夏のらくらく舟旅通勤」を2019年7月下旬から10日間行いました。その内容は朝の通勤時間帯に中央区日本橋ー晴海間で小型の旅客船をノンストップで走らせるもの。使う船は屋根付きで船内は冷房が効き、定員44人の座席にはコンセントが備え付けられて、スマホの充電も問題なく行えるというもの。全員着席が原則であり通勤電車にはないことが多い、トイレがあるのもメリット。

この実験での運航時間は天候などの状況にもよりましたが30分ー40分で、同じ区間を鉄道で移動する場合の倍以上の時間がかかりましたが、他の客の乗降を気にせず座って通勤できるという点は、立ちっぱなしで身動きの取れないだけでなく、絶えず乗ったり降りたりも必要となる朝の通勤電車にはない魅力がありました。実験後のアンケートで約8割近くの人が満足あるいはまあ満足という回答だったのはその証拠でしょう。

負荷に耐えられる交通インフラ

負荷に耐えられる交通インフラ

TOKYO2020期間中の人々の東京集中は避けられませんので、国や東京都が中心となり渋滞緩和の施策の方向性を決め、実行することが必要です。観戦を楽しみに訪れる人々に不便を感じさせず、またインバウンドにネガティブな印象を持たれることないように、どのようにして人々が協力できる環境を作るべきでしょうか。

意識的に時差通勤をする、テレワークの頻度をあげることなど、各自ができることから始めてみましょう。働き方改革の一貫でもありますし、TOKYO2020のような、東京のみならず日本を巻き込む大行事の成功のためにも、企業の支援が欠かせません。多くの企業ではすでに社員のフレックス勤務やテレワークに理解があるように見えますが、まだ温度差もあるので企業の積極性を一律にどう高めていくかがカギとなります。

今後も人口の増加が見込まれる首都圏にとって、TOKYO2020に向けた混雑に取り組むことは、大会開催中の一過性のものではなく、将来の交通政策を考えていくうえでも大きな挑戦といえるでしょう。

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