現役女子大生SNS論|こんな時代に「マーケター」を名乗る学生の気持ちと、業界の危うさ
こんにちは、女子大生ライターのりっちゃまです。
最近、「マーケター」という言葉を目にする機会が増えたように思うのは私だけじゃないはずです。SNS(特にTwitter)のプロフィール欄をみても、社会人だけでなく学生も肩書に「マーケター」とついていることも多いです。(肩書が欲しい時代だからということもあるだろうけど)
マーケターという職種が身近に感じられるようになりましたが、その原因と危うさってなんでしょう?
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目次
誰でもマーケターになれる時代。本物はどこにいるの?
ネットの登場によって情報量が増加し、購買行動において情報収集方法が変化しているのは明白です。そこで今後、「SNSをどのように活かすのか」が注目されています。
それに伴い、若年層向けSNSマーケティングを展開する企業も出現しています。
●例えば、2015年創業の「テテマーチ株式会社」はInstagram中心にしたコミュニティマーケティング事業などを行っています。
(テテマは今、インターン生が20人ほどいるそう。私が見る限りTwitterではインターン生の一体感がすごい…)
●2018年10月に「C CHANNEL」から派生した「イエロープロジェクト」も女子大生マーケティング集団として活動を開始しています。
(キラキラ女子大生が多い印象。みんなかわいい….)
●はたまた、ブログプラットフォームサービスの「note」では、ほっちさんとゆめめさんが手がける「ワカモノのとりせつ」や「ミレニアルnote」もマーケターに注目されて話題になりました。
一連の流れをみても、現代のワカモノの価値観や感性を知ることは企業にニーズがあり(特に、それを対象にしたマーケターに)、私たちの等身大の視点に少なからず価値がある事を教えてくれています。
そのため若年層向け商品は、ターゲット層である若年層が最も理解しているから、「インサイトを直感的に判断できる」という部分があります。実際、マーケターはお金を払ってでもワカモノ文化を知りたい。
そう、いつだってジェネレーションギャップはあるからね!
ですが、そんな風潮が漂う中でワカモノは(私を含め)
「SNS運用ができるから、マーケターに向いている。」「ミーハーだし、今のワカモノの情報収集ができるからマーケターになりたい」
と安易に繋げてきているような気がしています。果たしてそれで良いのでしょうか?
この不安感は、マーケティングをふんわりとしか理解していないことが要因だと考えます。あいまいに受け取れやすく、「WEBマーケティング」はまだまだ歴史が浅い。
SNSが好きならマーケターなの?
分析が得意だからマーケターなの?
なんだか、本当にマーケティングに精通しているマーケターの存在が遠くに感じられている気がするのです。
バズワード化が進む、マーケティングの意味とは
例えば、私のマーケティングのイメージは「消費者の理解と分析」でした。だからこそ「ある対象に対し理解しやすく、俯瞰的に伝えることができる人」が適任であると考えていました。
ドヤ顔で「おじさんには分からないワカモノ文化を体感し分かりきっている。」っ何て思ってたりしてね。友達に「マーケティングの意味」を聞いてみたところ、「何かを誰かに届ける、その届け方を考えるシンプルなこと」との回答が。
私もマーケティングの人じゃないので果たして正解は分からないですが、マーケティングの意味が「定義が受け手の解釈により委ねられ、バズワード化している」ように感じています。
この捉え方の「あいまいさ」のままマーケティングが「やりたいこと」や「学生の希望職種」に入るのは、少しちがうなと感じてしまうのです。
ちなみに、大親友のGoogle先生に聞いてみたところ
「市場調査や販売戦略か、、、」
(なんかわかんないけど、ツラそうな営業とかよりは面白そうだしかっこよさそう)
そして相棒のWikipediaくんにも聞いてみたところ…
「が、がいねん!!プ、プロセス!!!」
調べて分かったことは、要は幅が広すぎるのだな、、、という事でした。
検索してみても私はよく分からなかったので、定義に悩む業界人もいるのではないでしょうか。伝わりづらい概念であるからこそ、イメージが統一化されていない。
それこそが、一連のあいまいさに繋がっているのだと感じます。
マーケターの仕事内容は多岐にわたっていた。
実際にマーケターと一口で言っても、そのプロセスや求められる技能はかなり細分化されていました。
・SEO、SEM、CRM
・SNS運用
・アドテク
・アクセス解析
・コンテンツ企画、マーケ
・PR
・分析
・リサーチ、インタビュー
・戦略系・戦術系… etc,
仕事内容多すぎる、そして謎単語多すぎる!!
マーケターの仕事を挙げてみても、本当に多いことが分かります。こんなにやることが多いのですね。なんだか、広義な「何でも屋さん」のように見えてしまいます。
そのため、事業全体から出発したマーケティングの立ち位置よりも、ミクロな手段が世に出てしまい、そこで完結するように見えてしまうのではないでしょうか?
つまり、マーケターという職種はそもそも「概念的なもの」であるために、色々な業種により立場が異なっている。それこそが学生が抱く、マーケティングの「認識のズレ」にもつながっていることと思います。
いま学生がやりたがるマーケティング
マーケター志望の学生は、年々増加しています。「マーケター なるには」と検索すると、「就職面接で印象がいい答え方のコツ」が上位に出てきます。
また、とあるインターン採用サイトの希望職種でも1位がマーケター、2位が営業、3位がライターとなっています。実際に企業採用の方にお聞きしたところ、最近は「なんとなくマーケティングをやりたい」と面接で話す学生をちらほらと見かけるそうです。
[人気の希望職種]
1位 マーケター
2位 営業
3位 ライター
なぜ今、「マーケター」は人気があるのか。
まず1つ目は、「マーケティングを細分化した時の手段であるSNS運用」がスマホ世代の私達にはハードルが低く感じるからです。これは、日常的にTwitterやInstagramを使いこなし、商品検索をしていることが要因です。私達が生まれもって身に着けている、SNSスキルは仕事の延長戦として使えることに魅力を感じるのではないでしょうか。「インターネットが好きだから、スキを仕事にできるマーケターになろう」のように。
2つ目は、インターンのマーケティングの採用方法が、まるで「特別な知識がいらない」ように受け取れるからです。企業の新卒採用ページでは、「初心者歓迎」や「スマホが好きなら採用!」など必須スキルが必要ないよう見える求人も目立ちます。
エンジニア志望には、「HTML」とか「JavaScript」のように訳が分からない単語で弾かれてしまうのに!ほかの職種と異なり、スキルが必要ないように感じられるので始めやすく見えてしまうのです。
企業側はなんだか、私達学生に対して「”マーケター”というものがウケがよい」ことが分かっていてあえて使っているような気もしてしまいます。
実際に学生インターンのマーケティング業務には何を任せるのかを調べてみました。
大学生をターゲットにした長期インターンシップサイト「InFra」で検索に該当した企業を分析。現在350件ほどの企業が登録している中、マーケティングを経験できる会社は都内31社。
以下、企業が求める仕事内容の例です。
〇SNS運用、メルマガ配信
〇各社マネジメント、集客のための広告戦略
〇開発ディレクター
〇市場調査プレゼン、SEO
〇制作アシスタント、記事単位の企画、立案
〇ライティング、インタビュー
〇広告企画分析
〇メディア運営
〇イベント企画、運営
〇新商品のプロモーション
マーケティングの細分化された手段の中で「PDCAを回してと欲しい」企業が目立ちました。特にSNS運用を任せたい企業が多かったです。
SNS運用は、企業にとって「大切である」と分かっていながらも、自分たちには「よく分からない分野」。学生のほうが理解しているので任せやすいと考えたのでしょうか。
3つ目は、やりたいことを絞れない学生にぴったりな広義な実務であること。
実際に友達は、「色々な仕事をしたい」という理由で、マーケターのインターンシップに応募していました。専門性よりも応用が利くスキルが欲しい学生にとってマーケティングは身近で、選びやすいものになっています。
これらの理由から、企業の多くが私達に求めるマーケターというのは、「本物のマーケター」ではなく、学生の「ニーズに合わせたマーケター」を求めているという事が言えるのではないでしょうか。
マーケターと私達に言うのは、言ってしまうと「殺し文句」であるのかも知れません。
恋愛対象になるのかどうかの見定めの一つのようなもの。
「所属大学の偏差値が凄いからって人間的に凄いわけじゃないのに、ダマされちゃうよね~笑」
と同じように「マーケターって響きがかっこいいから、そそられちゃうよね~!」みたいに考えると、よく分かるかと思います。両者にとってのお手頃な意味合いで使われる側面が今の日本のマーケターにはあるのだと感じます。
最後に:まとめ
マーケティングの意味の曖昧さからくる手軽さが故に、企業側は「こう呼べば、学生はホイホイ来てくれるだろう」という感覚であれば問題案件であるし、学生側も手軽に「マーケターになれた」というように変な優越感に浸ってしまうようなことは避けるべきです。
だからといって、もちろん学生にはマーケターを名乗るなとは言いたいわけじゃありません。(現に私も名乗ったところからライター活動は始まった)
でも、企業が学生のマーケティングの意味合いのズレを認知しながらも、利用してしまうのは、力不足のマーケターが増え、結果的に企業自体を蝕むことになりうると考えています。どうやら、マーケティングというのは、学生だけでなく本業者でも分からなくなるみたいだし。
このズレは、いずれはマーケターを起用する企業やその業界は業界全体の質が落ち、脆弱さが加速する可能性もありうると推論します。
これからマーケターはどんどん増えていきますが、曖昧さからなるマーケターの劣化を防ぐためには、学生も企業も「本当にできるマーケターとは何たるか」を各々で定義しなければいけない時ではないでしょうか。
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