ターゲティング広告はウザい?もうGAFAも無視できなくなってきた。
今やインターネットの検索ツールは、生活になくてはならないものです。わからないことや、興味あることを、簡単に調べられるのでとても便利ですが、ある時「この広告はこの頃よく見るなあ」と感じることが。
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例えばお気に入りのブランドのサイトを照会したあと、そのブランドの広告が頻繁に出てくると、最初は気にもとめません。
しかし検索してまもなく、そのブランド関係の広告が瞬時に出てきたり、広告が繰り返して照会されるのに気がつくと、自分の行動が見張られている気がします。これに対し怖いというのは大げさですが、多くの人は「うざい」と感じるのではないでしょうか。
今回はこのうざいターゲティング広告の仕組みを理解して、ターゲットにならないための施策を考えてみたいと思います。
目次
ターゲティング広告とは
ターゲティング広告は、ユーザーが過去に閲覧したウェブサイトのページや登録情報などの個人情報を元に、適した広告を表示するものです。つまりターゲティング広告は、最新の個人情報を絶えず取得することなしには始まりません。
ターゲティング広告では、PCやスマートフォン・タブレットのブラウザごとのクッキー (Cookie)上に発行される、IDに紐づいて蓄積されるサイト閲覧履歴等の情報、あるいはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末のOSが発行する、広告識別子に紐づいて、蓄積される情報などが使われています。
ターゲティング広告の種類
ターゲティング広告といっても、実はいろいろな手法があるのです。
サイトターゲティング広告
特定のサイトに限定して、広告を配信することです。興味を持ったユーザーに対しての、訴求効果が見込めます。
コンテンツターゲティング広告
サイトのコンテンツの属性に、連動した広告を配信することです。
1つのサイトが持つ、様々なコンテンツに合わせた広告が表示されるので、サイトターゲティングより高い訴求効果が期待できます。
検索連動型広告
検索エンジンで検索ワードを打ち込むと、そのキーワードに合わせた広告が配信されるというもので、キーワードターゲティング広告、リスティング広告も同じ意味です。
キーワード検索をする購買意欲の高い消費者に向けた広告なので、集客効果の向上が見込まれます。
行動ターゲティング広告
消費者がネットサーフィンで巡った行動履歴をもとに、興味・関心のある広告を配信することで、より限定されたユーザーに、広告を訴求したい場合に有効です。
行動履歴の追跡は、消費者の承認(オプトイン )が必要になります。
リターゲティング広告
広告主のWebサイトを訪問したことがあるユーザーの行動を追跡し、他サイトの広告枠上で同じ広告主の広告を表示させることで、再度の訪問を促すのです。
商品を検討し、興味があると想定されるユーザーに、サイトへの再訪問を促すことで、コンバージョンに繋げることができます。
デモグラフィックターゲティング広告
閲覧者の性別や年齢などの属性に関する情報を利用し、それぞれに合わせた広告を配信するものです。
特定の属性を持つユーザー(例えば女性、年齢は25~34歳、関東在住など)へ限定して広告を配信することができるため、広告を行う商品のターゲット層が明確な場合に、有効な手法となります。
今回はターゲティング広告を6つに分類しましたが、人によって分類の仕方は色々です。ユーザーとして一番ドキッとするターゲティング広告は、行動ターゲティング広告でしょうか。
ユーザーにとって良い点もあるのだけど
ターゲティング広告により、自分の興味関心のある広告に接する機会が増え、興味がない広告を目にする機会が減るので、ユーザーにとって快適なインターネット環境が得られるはずです。
さらにターゲティング広告により、ユーザーのWebサイトへのクリック数が増えれば、その媒体の収益向上に寄与し、より良いコンテンツ提供が期待できることもあります。
しかしターゲティング広告に間違った(ユーザーが求めていない)情報を握られてしまったために、全く興味のない広告が毎回表示されたり、不快な広告が消えないといった問題がある場合も少なくないのが現実なのです。
ターゲティング広告の広まりには、プラットフォーマーあり
GAFA (Google, Apple, Facebok & Amazon) に代表される巨大プラットフォーマーは、高品質なサービスを無料で提供し、その引き換えに個人情報を収集するというビジネスモデルで成功を収め、それぞれの分野で世界トップシェアを誇り、その先の人工知能活用でも先を走っています。
- Googleは検索エンジンとOS: 2018年に検索エンジン市場の世界シェア 95.9%と、OS市場の世界シェア 37.1%
- Appleはトレンド: 2017年にウェアラブルデバイス市場の世界シェア 25.4%
- FacebookはSNS: 2018年のSNS 市場の世界シェア 66.8%
- Amazonはインフラ: 2016年に EC市場(BtoC)においてアメリカで33.0%、イギリスで26.5%、フランスで10.7%、ドイツで40.8%、日本で20.2%をそれぞれ占有
GAFAが得た膨大な個人情報は、国境を超えてその本社があるアメリカに収集され、広告販売やその他のビジネスに使われているわけなのです。もちろん多数の外部企業とのデータ共有もお約束であります。
個人情報の流出に歯止めを:ヨーロッパでは
ロシアでは、包括的な個人データ保護およびプライバシー保護法が元々ありますが、この法律が2015年に改正されました。
ロシア国民の個人情報を収集する、ウェブサイトの運営者を対象に、データの保存、修正、更新などに使用するデータベースを、ロシア国内に設置しなければならないと新たに定めたのです。
加えて違反した場合には、当局は違反したそのドメインに対するアクセスを、遮断することが可能となっています。
EUは2016年に、EU一般データ保護規則 (General Data Protection Regulation=GDPR) を制定しました。
EU居住者が、自らの個人情報をコントロールする権利を取り戻すこと、そしてEU内の規則を統合することで、国際的なビジネスのための規制環境を、簡潔にすることが目的です。
このGDPRこそがGAFAをはじめとする、巨大プラットフォーマーの前に立ちはだかる、大きな壁になりつつあります。
さらにECは、eプライバシー規則(ePrivacy Regulation、通称Cookie 法)の施策に動き始ました。
この規則では、Webサイトに訪れたユーザーに対して、まずはCookie付与の同意を得ること(オプトイン)が必要で、同意を得て初めてユーザーにCookieが付与されるのです。
当然ながら、拒否した場合でもユーザーは通常と同じように、Webサービスを利用することができます。
つまりCookie法は個人情報を与えるか否かをユーザーに委ねる施策であり、個人に最適化した広告配信やマーケティングからユーザーを守るものということです。
日本の個人情報保護法は?
日本の個人情報保護法では、「個人を特定する情報」を個人データとして扱い、事業者には収集の際の利用目的明示義務や、情報の適正管理義務が定められています。
企業や諸機関が収集した利用者の取引記録などは、そこから個人に紐づく個人情報を削除すればパーソナルデータ(ビッグデータ)として産業利用してもよいとされ、経済産業省でもビッグデータの利活用を推奨しているのです。
現段階では、日本の個人情報保護法はゆるい規制であり、ターゲティング広告に対する壁になりきれてはいません。
しかし税金面でGAFAをこれ以上野放しにして置けない日本では、GDPRの影響も受けつつ、個人情報保護法にもメスを入れる時なのかもしれません。
ターゲットにならないための施策
うざいターゲティング広告の出現を削減させるには、ユーザー側の日々の取り組みがかかせません。
簡単にできる施策をご紹介しますが、これら全てを実行したからといって、100%ターゲティング広告から逃れられるということではないことを、あらかじめご理解くださいね。
1.ブラウザーをプライベートブラウズに頻繁に切り替える
Google Chrome, Firefox, Microsoft IEなどのブラウザーには、名称は違えど、プライベートブラウズの機能が搭載されています。スマートフォンのブラウザーでも同様に設定ができます。
例えばGoogle Chromeの場合は、トップ画面からファイル->新規シークレットウインドウをクリックすれば、黒を基調としたクライベートブラウズが立ち上がりますので、あとは通常通り使えばよいのです。
プライベートブラウズでは、個人情報が保護され、特定の Web サイトから検索履歴を追跡されないように阻止してくれます。
訪問したページ、検索履歴、または自動入力の情報がブラウザーに記憶されなくなるので、効果てきめんです。
2.がんがんオプトアウトする
インターネット上のWebページを閲覧するときに表示される、広告のオプトアウトをしたい場合は、各ブラウザの設定で行うことができます。
しかし数多くあるネット広告業者を、一つ一つオプトアウトしていたのでは非効率なので、まとめて処理できる次のサイトなどから、オプトアウトしてみてはいかがですか。
● オプトアウト等
3.「広告設定」をメンテする
多くの人が利用しているであろうGoogle のアカウント情報画面から、現在の広告をコントロールできます。以下Google アカウントヘルプからの情報です:
- . Google アカウントに移動します。
- . 左側のナビゲーションパネルで、[データとタマイズ] をクリックします。
- [広告のカスタマイズ] パネルで [広告の設定に移動] をクリックします。
- [広告のカスタマイズ] がオフになっている場合は、オンにします。
- [広告のカスタマイズに利用する要素] で、個人情報や興味 / 関心を選択します。
以上の方法なら、ITリテラシーがあるとかないとか関係なく設定できますので、ターゲットになりたくない方は、試してみてください。
ターゲティング広告の今後
2018年のデジタル広告市場規模が、初めてテレビを上回りました。今後もターゲティング広告をはじめとするデジタル広告市場は成長を続けるのでしょうか。
FacebookのCEOであるザーカーバーグ氏は、2019年3月に「オープンよりもプライバシーを優先する」という今後の戦略を発表しました。
同氏はこの戦略の詳細は明確にしてませんが、これはターゲティング広告を武器として成長してきた、同社の収益モデルを大きく変えることを示唆すると同時に、現状のターゲティング広告も転換期を迎えたというべきなのかもしれません。
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