コロナ禍にD2Cが大ブーム!その落とし穴とブーム後に訪れる事態

コロナ禍にD2Cが大ブーム!その落とし穴とブーム後に訪れる事態

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消費者とダイレクトに繋がり、顧客の動き方が商品やサービスの更なる展開に直接関係するD2C (Direct to Consumer) は、最近のトレンドワークの一つで、多くのブランドが取り入れている手法です。以前から注目されていましたが、コロナ禍でまさにブレイクしたと言って過言ではありません。

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特にファッション業界のメディアや解説記事に、毎日といっていいほどD2Cが登場していますし、D2Cブランドは、コロナ禍の中でも、業績が変わらない企業が多いのです。

このコロナ禍でのD2Cブームが起こった理由を確認していきましょう。

D2Cとは

「D2Cの定義は何か?」という質問に即答できますか? 今更聞けない方々のために、まずはおさらいから始めましょう。

D2Cは自社で企画、生産した商品を、広告代理店や小売店などを仲介を挟まず、一般消費者とダイレクトに取引する販売方法のことです。SNSやECサイト、あるいや自らが設けた直営店舗で顧客とコミュニケーションを取って商品を販売します。そして様々な方法により蓄積した顧客データを分析し、顧客それぞれにとって最適化した情報を配信。ファッションブランドや、化粧品ブランド中心に採用している形態です。

デジタルマーケティング向け市場調査会社eMarketerが、2018年にアメリカ在住の18歳以上を対象としたアンケートによれば、アンケート参加者の全員が、今後5年の間に購入する物の少なくとも一部をD2Cブランドから購入すると回答したとのこと。今の日本はまさにこれと同じでしょう。

BtoCとの違い

従来型のBtoCでは小売店を通してで商品を販売していたので、ブランド側ではどのような顧客がどれほどの頻度で商品を購入しているのかを、具体的に把握しにくいことが課題でした。

一方のD2Cでは自ら販売チャネルを持つことから、顧客情報を容易に蓄積でき、顧客一人一人が好むサービスを提供できるのです。

またTwitterやInstagramを通して、ブランドと顧客との双方向で頻繁にやり取りを行いますので、顧客ロイヤリティが高まり、BtoCと場合と比べると、熱心なファンになってもらいやすいのは明らか。

またD2Cでは「いくら投資すれば何人の購買があり、いくら売上があるか」という具体的な数字を基準に計算するので、利益を出すためにどうやって効率を上げるか、企業ブランドの認知をどうやって上げるかなどと、マーケティング力が重要視されるのです。

D2Cの特徴

1.LTV(Lifetime Value=顧客生涯価値)

LTVはサブスクリプションモデルの利益創出において、必須な指標となりますが、D2Cでも重要です。販売・購入を通して、顧客との新たな関係が生まれ、その関係を深めていくことでLTVを積み上げていけるのが、D2Cの特徴といえるでしょう。

2. リーズナブルな価格

D2Cでは中間業者の介在がないため中間コストがかからず、直接顧客に商品が提供できるので、高品質の商品を、既存価格よりも低い値段で提供できます。

3. 企業ビジョンや思想の共有

顧客と直接やりとりをすることで、企業ビジョンや思想を顧客に直接伝えることができます。つまり D2Cのブランドは商品の機能だけでなく、商品が持つ世界観や歴史、そのストーリーに合わせたライフスタイルまでも提供しているのです。

4. 顧客の位置付け

D2Cブランドでは、顧客はブランドをともに育て上げる仲間(コミュニティ)とみなします。ブランドは顧客からのフィードバックを参考として商品を改良し、より良い商品に育てるのと同時に、積極的な商品情報の拡散や、口コミなどのUGC (User-generate-content=ユーザー生成コンテンツ) を生み出すことも。つまり顧客は商品のエバンジェリストの位置付けなのです。

5. コアなファンを獲得しやすい

D2Cでは顧客とのコミュニケーション手段の戦略として、高品質なコンテンツを定期的に配信し続けます。そうすることで顧客との有効関係が築けるのです。顧客にとって直接コンタクトできる相手こそが、より親しみを感じられるものなので、その結果顧客満足度が上がることになり、コアなファンの獲得につながりやすいといえます。

D2Cにおけるコンテンツは、コンテンツマーケティング同様、オウンドメディアやメルマガが基本ですが、最近ではポッドキャストや動画(Youtube、TikTokなど)もコンテンツとして活用されており、アメリカのD2C企業の中には、雑誌を刊行しているところも。これらのコンテンツは、企業ブランディングの役割も担っています。

D2Cがブレイクした要因

D2Cがブレイクした要因

コロナ禍の今、我々のライフスタイルが急激に変化したことが、D2Cをブレイクさせたといえます。具体的にどんなことだったのでしょうか。

SNSの利用時間の増加

多くの人がリモートワークに突入したために、SNSの利用者が増加し、利用時間も長くなったことが明らか。その結果SNSを積極的に活用するD2Cブランドと消費者との接触が増え、D2Cが躍進したと考えられます。

EC利用の増加

コロナ禍の外出自粛で利用が増えたのがECです。外に出かけること自体気が引けた状況が、インターネットでの購買活動を加速させました。今までECを利用していなかった層が、コロナ禍をきっかけにEC活用にシフトしたことも大きな要因です。コロナ禍でECを使って購入された商品も書籍、ゲーム・おもちゃ、家電などの巣ごもり消費アイテムを中心とし、アパレル、化粧品など多岐にわたりました。

コロナ禍による購買活動の変化が、D2Cがブレイクさせたのです。

D2Cの落とし穴

D2Cの落とし穴

企業にとって新たな活路といえるD2Cですが、残念ながらD2Cに参入した全ての企業が成功するわけではありません。どんなところにリスクがあるのでしょうか。

D2Cの仕組み作りが負担に

D2Cを始める前にはECサイトの整備から商品企画、生産、流通までのビジネスプロセスを一通り作る必要がありますが、完成まで時間もかかりますし、何より金銭的な負担が大きくなる可能性が。

商品を手にとって確認できない

D2Cで商品を購入する前に、実際に商品を手にとる機会が顧客には一切ありません。ネット上での情報のみで購入を決めることになるのですがこれが大問題の場合が。多くの人が試着をしてから購入したいと考える、例えば服や靴などでは購入が見合わせになることも。

最近は返品保証制度などを設けて、D2Cで購入して不具合が生じたときの対応をする企業が増えてるようです。

長期的な事業計画が重要

D2Cで成功するには、一発屋の発想はNGです。まだ知られていない企業名を有名にし、その商品を売るためには、長期的で有益な情報の継続的な配信が重要ですし、競合が多い商品なら恒常的な売上をマークするための対策を絶えず打ち出すべき。つまり長期の事業計画を立てて、じっくり取り組めない企業にD2Cは向かないといえます。

アフターコロナにおけるD2Cは

アフターコロナにおけるD2Cは

いよいよコロナワクチン接種がイギリスやアメリカで始まりました。日本でも2021年3月に高齢者や重症者中心とするワクチン投与を完了させる計画が報じられていますね。アフターコロナが見えてきそうな今、コロナ禍でブレイクしたD2Cブランドは、アフターコロナで次の一手を講じる必要が。いったいどのような戦略でD2Cビジネスを展開すべきでしょうか。

アフターコロナのD2Cビジネスにおいて重要なのは、顧客視点に立ったブランド設計と考えられます。企業側が顧客の立場、または仲間になり、今顧客に起きていることは何か、あるいは顧客が何を求めているかを把握して、彼らが感動・共感できるサービスや商品を提供することがより必要になるのです。

具体的なD2C戦略のキーワードになりそうなものを、次にあげてみましょう。

D2CにおけるOEMやODM

重要な戦略の一つとして、OEM(Original Equipment Manufacturing)やODM(Original Design Manufacturing) の活用が考えられます。OEMやODMとは、製品の生産や製造、場合によっては企画、設計の段階から外部企業に委託する仕組みのこと。

米国企業を中心とした世界のOEM、ODM発注先はこれまで中国でした。しかし中国から拡大した新型コロナウィルス感染騒動により、中国各地に移動制限やサプライチェーンの供給制約が指示され、製造工場はストップ。規制緩和後の中国は、驚異的な早さでの経済回復を努めていますが、いまだに影響があります。

今後不測の事態がまた起こったとしても、最低限の部品調達や商品供給ができる体制への切り替えが求められるために、中国依存を脱却し、日本国内での生産を増加させることや、新たな生産拠点の開拓などが求められるといえるのです。

D2C x サブスク

サブスクは社会が急激に変化する状況であっても、安定的な売り上げと利益を確保できる、布教に強いビジネスモデルと言えます。

アフターコロナになったあと、また別のパンデミックがやってくるかもしれません、例えば災害大国の日本では大地震がいつ起きても不思議ではないのです。

コロナ不況が長く続き先が見通せないアフターコロナでは、ネット通販(D2C)×定期コース(サブスク)に、大きなビジネスチャンスがあると考えられます。

特に化粧品(特に基礎化粧品や、ポイントメイク用化粧品)や健康食品など、単品通販に可能性がありそうです。服飾アイテムなどは外出自粛になると売り上げが落ちますし、収入が減れば高級品の購入を控えますが、化粧品や健康食品などは毎日使うもので、定期的に買い続ける商品なので、たとえ巣ごもりが続いても不況になっても、売り上げが下がりにくいのです。

余談:D2Cの次はC2M?

余談:D2Cの次はC2M?

いまだ期待が持てるD2Cですが、早い段階でこのビジネスモデルが限界に達するのではという見方があるのも否めません。ではD2Cブレイクのその先に何があるのでしょうか。

D2Cの次のトレンドはC2M (Consumer to Manufacturer) ではないかと予測があり、すでに注目されはじめています。C2MはWebなどで受注してから素早く生産して、顧客一人一人に届けるパーソナライズした受注生産(無在庫)販売モデルのこと。企業には商品の在庫リスクがなく、顧客はオーダーメイド商品が割安に入手できるといったメリットが、D2Cのそれに加わります。

C2Mへの移行には、D2Cでのビジネスプロセス(受注、仕様設定、生産、納品)の全てをデジタル化し、オンラインで連携する必要があります。すでに印刷業界で行っているモデルですね。多様なニーズの多様化に対応できることが今後は付加価値になると考えられるので、まずは食料品業界にこのモデルが活用されるような予感。

D2Cブランドは、C2Mの流れがいずれ到来することを想定した上で、事業運営するのが良いですね。今後もウォッチしたいと思います。

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