もし、あなたが経営者なら「マーケティング がしたい」という人にマーケティングを依頼しますか?
今回、タイトルに書かれている内容についてマーケティングメディアなりの論考をお伝えしようと思います。
まず、私は何をもってこんなことを言えるのか?という声が聞こえそうなので、少しだけ寄稿者のキャリア・経験についてお話をします。
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私はWEB集客支援サービスを販売する某ベンチャー企業のマーケターです。半年インターンシップを経験し、5年前に正式採用となりました。入社して4年間は、新規WEB集客支援サービスの拡販と仕組み作りに携わった経験があります。当時、この仕組み作りをすべて私は「営業活動」と思っていました。しかし、よくよく色んな方とお話や相談をするとこの活動は「立派なマーケティングだよ」と言われるようになりました。そこから、マーケティング について学び最終的には「サービスクオリティのアップグレード」と「値上げ」が実現しました。
自分で言うのも自慢になりますが、マーケティング業務において会社の売上・利益に貢献できたと思います。そんな経験から、これから会社組織で「マーケティング業務を担いたい」方に向けてこの手記を執筆させていただきました。参考になればと思います。
マーケティングは「成果を上げている人」が手にする
ここ数年、元USJの森岡さんや著名なマーケターの活躍やマーケターなのか厳密にわかりませんが、ZOZOの田端さんによる活躍によって世のビジネスマンに「マーケターとは」と問われる機会が増えたように感じます。おそらく、「組織の理想のマーケター像」としてそんな方たちを心に宿している人もいると思います。
事実、この影響で世の企業ではインターンシップの多くの学生や社員から「マーケティングがしたい」という声が頻出するようになっています。そこで私がいつもカウンターとして問いたいことは、『もし、あなたが経営者なら「マーケティングがしたい」という人にマーケティングを依頼しますか?』ということです。
この問いを行うと、大抵の方が「うぐぐ!」となります。なぜそうなるのか?それは「マーケティングをしたことが無い」からです。ちなみに、こういう発言をする人は「マーケティングセンスがない」と思ってもらうといいです。なぜなら、この発言が経営者にどんな印象を与えるのか?を想像出来ないからになります。
「仮説や想像」はマーケターにとって必須スキルです。
想像しましょう。「マーケティングがしたい」という提案が経営者に与える印象を。「私はマーケティングが出来ません!まだ何もしていません!」という印象を与えないでしょうか?
つまり、大局観です。
この感覚がないと到底マーケティング業務を任せることは出来ません。そもそもの話として、マーケティング施策を間違ってしまうと会社の売上は激減します。つまり責任重大です。経営者の立場からすれば、デキる人間に任せたいのは当然。
ほぼ結論になりますが、マーケティングは「マーケティングのことに詳しい人がする」のではなく、「仕事で成果を上げている人がする」職務な訳です。
マーケティングはどこにでも潜む
ここでよく聞かれるのが「成果をあげないとマーケティング業務が出来ないならマーケティングを身に付けるにはどうすればいいか?」という話が出てきます。私の答えは、「成果を出すための試行錯誤の中で学べる!」です。
こんな話を聞きました。ご存知でしょうか?
モテない男の話です。
あるところにモテない男がいました。その男は顔が悪く、背も低かった。
しかし、男は勉強が出来た。男は受験対策本の全てを知っていた。つまり、対策本の良し悪しがわかるわけだ。
この地の利を男は利用した。本屋の受験対策コーナーで待ち伏せ、対策本を選択する女性にアドバイスした。「その本は参考にならないよ。」と。すると女性は感謝し、会話が始まるという寸法だ。
この話を聞いた時、私は「これはマーケティングだ!」と思いました。
自分自身のSWOTを理解し、効果的にターゲティングし、トラフィックがある場所に身を置く。そして、スムースに話をする。接触機会が増えるので恋愛に発展する可能性が高くなる。しかも、相手に悪いイメージも与えない。
こんな立派なマーケティングはない。
<話を戻します>
ここで言いたいことは、マーケティングは「どこでも潜む」ということ。「営業」にも「CRM」にも、今している目の前の業務にも必ず潜みます。成果を他のメンバーより出している人間には必ず秘密があります。そのほとんどがマーケティングだと思います。
事実、私は新卒時テレアポを行っていました。圧倒的にNO.1の成績を納めていました。
その時に私が他と違って何を工夫していたのか?前日にメールを責任者向けに送信。→翌朝にそのメールを開封した人に対してのみテレアポをしていました。アポイント獲得率は倍以上になりました。他にもたくさんありますが、「成果を出す過程の試行錯誤」こそマーケティングです。
得意なパターンを知る
マーケティングを座学的に学ぶことは決して無駄ではありませんが、成果を出す過程でマーケティングが役立つので、解決方法を理解していても課題との相性というのが存在します。人によっては得意とする課題と不得意な課題が存在します。
マネジメントをした部下の成果傾向を見ていて、マーケターには4パターンあると気づきました。
【A】-1→1
マイナスになっている事業の「立て直し」が得意。
〜例えると、鋳型が壊れている部分をフラットに直す人〜
【B】0→1
遊休しているリソースから「新たな価値を生む」のが得意。
〜例えると、鋳型を生み出せる人〜
【C】1→10
価値を生産する「仕組み作り」が得意。
〜例えると、鋳型の量産体制を作れる人〜
【D】10→100
外むけの対外的なPR・広報など「拡大」が得意。
〜例えると、鋳型のシェア・認知率を上げていく人〜
このパターンから私が何を伝えたいかというと「自分の成果が出やすい場所で戦おう」です。ちなみに私は【-1→1】タイプです。これ以外の取り組みは基本的に挑戦しません。今ベンチャー企業に所属している理由でもあります。
入社当時、新規集客支援サービスの拡販は、凹んでいました。その鋳型の凹みを元に戻す方法は本当にポコポコ出てきました。結果、インパクトある成果を上げました。
しかし、「1」になれば次は売上を伸ばすために【1→10】のシーンになります。私はこのフェーズでアイデアは出ますが、思った成果は出せませんでした。シンプルにそのフェーズでの想像と仮説がズレているのです。なので、得意とする人間に先頭を担ってもらいその中でこぼれ出る【-1→1】を「1」に戻す取組みをしていました。
このように自分の得意を知ることは、仕事を受ける判断軸にもなりますし、チーム編成にも役立てられます。部下がいるのであればタイプを見定めることは効果的です。
まとめ
さて、話を最初に戻します。『もし、あなたが経営者なら「マーケティングがしたい」という人にマーケティングを依頼しますか?』
この問いの個人的な答えを言いますと冒頭と真逆ですが、「やってくれ」です。なぜならここでお伝えしたように、もう目の前の仕事でも何にでもその要素は転がっています。自分の職域の範囲で「工夫して試せばいい」のです。
私の場合は、「営業」の取組みとして考えてやっていたことが結果的にマーケティングの要素でした。このコアは何か?と問えば「成果を出す」ということに尽きます。
マーケティングを語る上で一番、いけないのはマーケティングをファッションとして取り入れて行った施策に成果責任を持たないことです。いろんな業界やどんな立場だとしても、仕事には成果が求めらるのは当然です。この前提の上で職務に勤しむことが正しいのではないでしょうか。
以上が、私が考えるタイトルについての論考です。
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