Z世代(90年代後半~2000年生まれ)の動向が今後のトレンドを決める
「〇〇世代」、人は人を分類するのが昔から大好き。古くは第一次ベビーブーム世代(団塊の世代)、第二次ベビーブーム世代(団塊ジュニア)、その後はバブル世代、ゆとり世代など誰もが一度は耳にしたことがありますね。
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その時々で一番新しい世代が世の中のトレンドや価値観全体に影響を与えていると考えられます。今はそれが「Z世代」です。
目次
Z世代とは
アメリカでは1960年~1974年生まれを、X世代と名付けられたことに始まり、その後の1975~1990年代前半生まれがY世代(ミレニアム世代)、そして1990年代後半~2000年生まれがZ世代と呼ばれています。1995年から2009に生まれた世代を、Z世代と定義している場合も。
世界のZ世代の数は現在約20億人、少し古いデータですが、2016Manpower Groupによる国連人口データの分析では、2025年には世界の労働人口の75%がZ世代になり、年々Z世代の社会全体における存在感が大きくなることが予想されていました。また日本でも2025年には、Z世代が労働力の約50%を占めるとも。
Z世代の特徴
Z世代にはどんな特徴があるのでしょうか。以下はソーシャルネイティヴの「いま」と「本音」を知るメディアのZ世代会議からの抜粋です:
- お金やキャリアについて保守的な考えを持つ
- 人種や性別にリベラルで自然体を好む
- 娯楽や経験に多くのお金を使う
- 場の意見に同調しやすい傾向がある
- SNSの投稿を目的に行動することがある
- ブランドよりも自分らしさを大切にする
また「ITリテラシーが高い」、「インターネットを駆使しての情報収集能力が高い」、「プライバシーを重視」ということも挙げられます。またインターネットでの発信に積極的なので、インフルエンサーである可能性が高いとも考えられるのです。
ミレニアム世代との違い
Z世代はミレニアム世代の一部とみなされる場合もありますが明らかに違う点が。ミレニアム世代は、自宅にコンピュータが置かれるようになり、検索エンジンの普及や、ガラケーが登場した、言ってみればデジタルパイオニアといえますが、一方のZ世代は、デジタルの世界に生まれた、ソーシャルネイティブなのです。おぎゃーと世に出てきた時からオンラインで生活し、高速インターネットは当たり前、デジタル機器が生活の一部、VOD、SNSが生活に深く浸透している人々といえます。
Z世代の仕事観
どのような仕事観を、Z世代は持っているのでしょうか。
仕事とプライベートを分けない考えを支持する
以前はワークライフバランスといった、仕事とプライベートを分けて考えて、双方のバランス調整をすることがよいとされましたが、Z世代やそれをさらに発展させた、仕事とプライベートを連動させて双方の充実を図るという、ワークライフインテグレーションといったコンセプトを好みます。勤務時間やワークスタイルに重きをおかず、成果がでたら細かいことはいわないという考えで、今やワークライフインテグレーション協会も存在しています。
副業など多様な働き方に関心があるが、堅実で安定志向
ギグ・エコノミーや副業に対して抵抗を持たない一方で、収入の不安定さを払拭するためにも、「本職」があることは否定しません。新卒で入社する企業を選ぶポイントは、安定している会社と考える人が多く、仕事に対しては極めて堅実。リーマンショックなどに代表される不況の時代に生まれて成長したことが、こういった二面性を持つのでしょう。また定期的なキャリアアップや成長も望み、「雇用の安定=キャリアアップや成長機会の確保」と捉えている人が多いようです。
企業への忠誠心は低め、長期休暇もキャリアを形成する一部
Z世代はは納得できないことがあればすぐに仕事を変えるとか、定時以外働かないというイメージをお持ちではありませんか。実のところZ世代の大多数は他の世代に負けずに、熱心に働いています。ただし誰よりも早く出世するとか、同期よりたくさん給料をもらうというような、人より目立つことが、成功のエビデンスと感じていないようです。
転職することは想定済みでも、トータルの勤め人人生は長いので、自分のために長期休暇を計画的に取得することも、キャリアを形成する一部として考えている人が多いようです。
公平・平等を旨とする
SNSで自分の意見をオープンにするのに慣れているので、会社や上司、同僚にもオープンなコミュニケーションを求める傾向が強くあります。自分たちの世代こそが、平等を最も強く信じると考える人も多いほどです。これは両親とも働く親が多く、働く親をみて大きくなったZ世代ならではの感覚。公平、平等に慣れているため、理不尽な命令や差別を感じたら、納得できず自分の意見をいう人が多いと考えられます。
Z世代の購買行動
Z世代は現実的な人が多いようです。Z世代の購買の特徴を一言でいうとマイペース。不況の中で成長していることから、貯蓄や節約といったキーワードが刺さる人が多く、また購入する場合にはコストパフォーマンスを重視するのです。しかしながらショッピングが好き、でも自分が気に入れば、必ずしも有名ブランドである必要はない、クーポンやポイントなどの特典は積極的に活用したい、と前述のZ世代会議の別の調査でZ世代の多くが回答したとのことが明らかなので、消費嫌いでないのはもちろん、自分が好きと感じる商品やサービスには、お金を惜しまない傾向があるといえます。
子供の頃からスマホなどのデジタルデバイスを使い、情報収集が得意なZ世代は、企業からの一方通行な広告や宣伝を鵜呑みにせず、どちらかといえば拒否反応を示すのです。新しい商品やサービスをどう選ぶがといえば、自分と同じ価値観を持っているとみなす個人や、インフルエンサーなどの影響が大きいと考えられます。Z世代は自分が信じる人とだけコンタクトしたいのです。
Z世代の関心は完璧ではなくリアルなので、完璧で、幸福で、悩みのない生活といったイメージを重視する、従来型のテレビCMやプロモーションは、リアルではないためZ世代の共感を得ることはできません。
色々な体験ができるサブスクを好む
ミレニアム世代も、モノを所持することなく、カーシェアーやサブスクなどのサービスを好みますが、Z世代もいつも必要でないものを持ちたくないのは同じ。しかも堅実なZ世代は、無駄な出費を抑え、いろいろな体験ができるサブスクを探すようです。
実店舗とバーチャル両方でのアクセスで、より個性的に
インターネットを駆使した情報収集はお手のものなので、リアル店舗を訪問するだけでなく、オンラインでもお気に入りのショップや企業と、繋がりたいと考えるのもZ世代が行う購買の特徴といえます。つまりオムニチャネルでのコミュニケーションがZ世代には必要です。
例えば服や雑貨の購買を例に挙げてみましょう。自分だけのスタイルを追求するZ世代は、ユニークで斬新的な方法での着こなしや使い方を考えて実行するのが得意。他の人に奇異と思われようが、自分が気に入っているならそれを実際に着て堂々と外に出ます。ミレニアム世代は、ドレスシャツ・ノータイなど、職場におけるビジネスカジュアルの定義を変えたといわれますが、Z世代はファッション業界に次なる進化をもたらしているのです。
Z世代は金太郎飴になるのを嫌います。個性ありきなのでウェブサイト上で、自分の好みに合うユニークな商品をいつも検索していることは明らか。ですから企業ではZ世代が個性的な商品を求めていることを理解した上でマーケティングを行うべきです。Z世代が独自のセンスで、様々なモノを組み合わせ、融合のプロセスや結果を楽しめるようにサポートできれば、彼らの価値観により近づくことができるでしょう。すでに多くの企業では、AIを活用したライブコマースや、あるいはインフルエンサーマーケティングなどの、インターネットを活用した戦略にシフトし始めていますね。
Z世代の攻略法
2020年現在その数は20億人。Z世代が最大の消費者になりつつあります。Z世代はすでにお話しした通りインターネットを使って商品のリサーチを行い、ECサイトや口コミサイト、リアル店舗などの多様なチャネルをまたいで購買活動を行うのが得意です。このため営業部門が足で稼ぐスタイルではもう無理。ここはマーケティング部門とがっちり連携し、顧客それぞれの好みにあった内容のDMを配信する、あるいは顧客がよく照会するサイトに、顧客が喜びそうなキャンペーン情報など流すなどして、顧客との信頼関係の構築を試みるべきでしょう。
バイヤーイネーブルメント(Buyer Enablement)
高いITリテラシーを持つZ世代が相手では、営業担当の営業トークや提案が決め手とならないのです。そこでインターネット上の情報を活用して、顧客の購買担当自らが購買活動を前に進められる仕組みを作ろうという動きが登場しました。それがバイヤーイネーブルメント、米調査会社大手のGartnerが2018年に初めて使った用語です。
バイヤーイネーブルメントとは、購買担当者に、インターネット経由で役立つ情報を提供し、結果的に自社の商品を選んでもらうための施策。
次のコンテンツや情報を提供することであると、Gartnerは述べています。
- 分析:顧客にデータ分析機能を顧客(購買担当者)に提供
- アドバイス:それぞれの購買活動に対して顧客をコーチング(レクチャー)
- 診断:現状を評価し、顧客に必要なオプションを特定
- 比較:コンペ製品と比較できる情報の提供
- 共有:顧客社内のステークホルダー(決裁者含む)と共有できるネタの提供
- 実験:解決策が顧客の環境でどのように機能するか模擬実験
- 案内:顧客の入力内容に応じた、購買タスクの具体的な選択肢の提供
インターネットを使った調査が購買活動で大きなウエイトを占めている今、企業にとってバイヤーイネーブルメントは、Z世代の購買担当者攻略のツールとして今後ますます必要となるでしょう。
追記:ポストZ世代(α世代)
実はZ世代の次の世代もすでに生まれています。彼らは人呼んでGeneration Alpha(α世代)。α世代は2010年代中盤~2020年代中盤にかけて生まれ、2030年代~2040年代に社会人になります。α世代の大半が、withコロナ以降に生まれてくる計算です。つまりα世代はbeforeコロナの時代を知りませんが、現在我々が順応すべきwithコロナの時代は、α世代には当たり前のこと。いわゆるニューノーマルをベースとした、新たな価値観や行動様式がα世代により形成されていくと考えられます。
α世代ではAIがより生活に密着していき、さらには超小型のITデバイスの登場で、ウェラブルデバイスから、身体へのインプランタブル(埋め込み型)デバイスがデファクトになると考えられるのです。果たしてどんなトレンドが生まれることか。
結局若者の動向に注目が集まるのには、常識に囚われない新たなトレンドを見出すことが魅力であり、Z世代でもα世代でも同様に、担う未来に期待を込めているということなのでしょうね。
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