セールスイネーブルメントが語れない営業なんかいらない。

セールスイネーブルメントが語れない営業なんかいらない。

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日本企業で長い間実質デファクトであった「御用聞き営業」や「飛び込み営業」という営業スタイルが廃れつつあります。

デジタルテクノロジーがあらゆる業務で活用されるようになり、業務効率の改善や生産性の向上が急ピッチで行われています。テクノロジーという言葉から一番遠い存在に見られていた営業分野においても、SalesTech (セールステック) として知られてきました。その SalesTech の中でも特に注目されているのがセールスイネーブルメントです。

今回はセールスイネーブルメントの意味を理解し、実施するメリットについて検証していきましょう。

営業業務の効率化は急務

営業業務の効率化は急務

顧客との商談や新人メンバーのOJTを含む営業研修の実施、営業資料の管理など、営業担当が果たすべき業務は多種多様です。再販営業担当であればさらにパートナー企業との調整という業務も加わるのですが、全てにおいて属人的かつアナログな業務プロセスが日本では長く続きました。

営業部門でのIT化としては、まず文書作成・表計算・プレゼンテーションといったMS Officeを代表とするオフィスアプリの導入、そしてCRMやSFAツールが登場しました。その後1990年代半ばに登場したモバイルやクラウドを、2000年以降では営業業務でも活用することが当たり前となっていきました。

人材不足の今、営業業務のうち人でなくても対応できる業務については、ツールを有効活用している企業がとても多くなりました。情報システム部門がツール類を導入、運用し、人事部がレベルごとの営業研修を企画、実施するなど、他部署もピンポイントで時間を割り当てて協力をし、営業業務の分散化を図るように。

このような分断的プロセスでもある程度の業務改善はできるでしょうが、あくまで部分最適でしかなく、これを続けていても会社としての大規模な全体最適は実現しません。しかもツール導入の高額投資の回収も進まないのです。

サブスクリプションモデルの普及

サブスクリプションモデルの普及

2006年以降SaaSと呼ばれるクラウドサービスが、SFAのSalesforce.comのブレイクを皮切りに世界的に普及しました。SaaSでは利用期間に応じて月額を支払うサブスクリプション方式を採用している場合がほとんどのため、解約率が企業の売上を決める重要指標になるケースが急速に増えています。

売ってしまえば営業プロセスは完了というスタイルではもはや不十分であり、売ったあとも顧客をフォローして、自社サービスに満足してもらい契約更改を間違いなく勝ち取り、さらには追加オーダーをもらうというのが最近のサービスの特徴です。

それを達成するには営業はこれまで以上に製品を理解や、長く付き合えるのは(=解約されにくいのは)どのような顧客であるかを明確化し、顧客ごとのソリューションを提案する必要が生じるのです。ですから営業資料にしてみても営業担当一人で作るのはもはや困難であり、あらゆる関係部署と協力して作り上げていく必要が今はあるのです。

セールスイネーブルメントとは

セールスイネーブルメントとは

聞いたことがあるような、ないような…セールスイネーブルメントとは、営業成果を継続的に出すために必要な施策、成果を実現するツール、営業部門に関連する部署やプロジェクトなど全てを包括する概念です。

今までは類似する取り組みを営業支援、営業企画や人事などがバラバラに進めてきましたが、セールスイネーブルメントによりそれらすべてが一元管理ができることが大きな効率化と成果を生むのです。セールスイネーブルメントの具体的な施策とは次の通りです:

  1. 企業全体の連携(社員全員が同じ目線で)
  2. 営業コンテンツの開発と共有(最新の情報はリアルタイムで共有)
  3. 営業担当を中心とした社員研修(早期のレベル平準化)
  4. 効果測定(数値の可視化とデータで裏付けされた情報)

セールスイネーブルメントを行うメリット

セールスイネーブルメントを行うメリット

営業担当の社内教育や営業活動で活用する共通資料など、営業成績を左右する様々な資源を企業全体の資産として開発し、常時最新の状態で全社で共有することができるようになれば、営業担当全員のスキルアップとレベルが平均化していきます。

教育コンテンツにより営業担当はもちろんのこと、ひいては全社員のスキルの均一化も迅速に行うことが可能になるので、直接的に営業業務と関わらない管理部門など他部門のスタッフの営業感覚をも養われるかもしれないという効果が期待できるのです。

どの営業担当も同等レベルで営業アプローチを行え、また顧客に対し最適なコンテンツをタイムリーに提供することが可能になれば、ほんの数人の営業エキスパートへ集中していた仕事を他の営業担当に割り当てられます。

そして場所と時間を選ばずに、誰もがカタログ、プライスリストを含む提案資料、動画デモなどのセールコンテンツの作成や管理を行えるのであれば共有もスピードアップし、インサイドセールスが提供した確度の高いリード対応に際しても最新のデータを提供できるのです。

セールスコンテンツの拡充に加え、どのコンテンツがポピュラーでどれだけ使われているか、誰がどのようなタイミングで使っているのかといった情報を収集。社員向け教育トレーニングも実施することがが目的ではなく、営業担当がどのレベルまでのトレーニングを受けて内容をどれだけ理解しているかをもセールスイネーブルメントの取り組みにより可視化できます。

顧客が満足できる対応方法を身につけているために、営業担当の誰もが速やかに自信を持ってそのフォローすることができるのが、セールスイネーブルメントの最大の効果であり、同じ人数で営業効率が大きくアップすることになるのです。

マーケティング部門にもメリットが

マーケティング部門にもメリットが

アメリカでセールスイネーブルメントが広まった背景には、MA(Marketing Automation=マーケティングオートメーション) ツールの普及などによるマーケティング活動が活性化したことがあります。MAツール等の活用やリードジェネレーションやリードナーチャリングのような手法によって、営業担当は膨大な数の新規リードデータを恒常的に提供されるようになりました。

マーケティングがそれまでの2倍のリードデータを獲得できれは、売上もそれに連動して2倍になると皆がハッピーですが現実は厳しく、リード数が膨大になることで営業に放置されるリードも増えたのです。それではマーケティング担当のやる気が無くなっても仕方ませんし、営業担当との関係が険悪になることも。

営業力の弱い企業ではこの状況が顕著に現れ、企業にとっては大きな問題でした。それまでは「マーケティングはリードを営業に受け渡すのが仕事」で「営業は受け取ったリードをフォローして受注するのが仕事」のように各部門がそれぞれ独立したままで最適化を目指すのはもはや極めて困難となったのです。

セールスイネーブルメントにより営業担当のスキルが平準化すれば、より多くのフォローが可能になるため、マーケティングの尽力で生成された新規リードもより有効活用されることになります。それはマーケティングとして歓迎すべき状況となりますし、ステータスを共有することでお互いに何が必要なのかが見えてくるので、協業もスムースになるのです。

セールスイネーブルメントの導入

セールスイネーブルメントの導入

セールスイネーブルメントの組織を設ける時は、営業部門の中に配置するケースが大半ですが、経営戦略部門の下に配置して、営業部門や人事部門からは独立させる場合もあります。

目的は継続的な営業力強化なのでメンバーは営業現場を知るべきですし、人材育成の経験も必要です。ある日本企業ではセールスイネーブルメントを設定する際、社内の営業担当者と、人材コンサルティング会社などに勤務したことのある人材開発経験者を新たに採用し、メンバーに加えたそうです。

どうすれば自社製品あるいはソリューションが売れるのかを会得しているメンバーと、教育コンテンツの作成や人材開発のエキスパートが組み合わさることで、営業現場にとって最適な施策を生み出すことができると考えられます。

日本での先人は

CRM及びSFAを導入し人材育成の面から成果をあげている、株式会社ベネフィット・ワンのセールスイネーブルメントの取り組みを紹介しましょう。

ベネフィット・ワンは法人向け福利厚生サービスを展開する業界リーダーです。法人顧客数は5,200社、さらに会員数は620万人に達します。企業としての大きな課題は組織力アップに向けた営業活動の可視化および効率化、社内連携によるクロスセルの推進でした。

それに加えて営業組織を拡大したインセンティブ事業部では、短期間での人材育成やマネジメントが急務となり、それらの解決の為にツール類の活用を推進しました。

その結果トップ営業のノウハウをタイムリーに共有することができ、他の営業メンバーにとっては営業先攻略の重要なバイブルとなりました。失注などの失敗事例をも社内で共有し、そこからノウハウだけでなく、どんな場合が失敗に繋がりやすいのかも全員が把握できるようになったのです。

営業活動におけるあらゆる情報が共有化されることにより、ジュニアレベルの営業の戦力化が実現でき、インセンティブ事業部全体で見ると、前年比360%の受注件数アップを果たしました。なお、受注件数が増えるに伴って残業増のリスクが想定されましたが、情報共有や報告業務が効率化されたため、残業時間もなんと30%減をマークしています。

今後の姿

Sales Techにより営業プロセス化が高度化した結果、日本のB2B営業でも、セールスイネーブルメントの存在意義を無視できなくなってきました。セールスイネーブルメントの専任や組織を儲ける企業が、最近では出てきています。

さらにはCIO(最高情報責任者)やCMO(最高マーケティング責任者)のように、近い将来CSO(Chief Sales Officer=最高営業責任者)を置く企業が日本でも一般的なるかもしれないことを、最後に付け加えておきましょう。

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