マーケティングテクノロジーの提案でコンペに勝つ方法を解説してみた。
現代社会において、いかなるビジネスにも、テクノロジーの活用が必須事項です。マーケティングも例外ではなく、マーケティングテクノロジー(マーテクと言われることも)という名称が知られてきました。しかしどんなに高機能なツールを導入しても、正しく活用できなければ、導入する意義はゼロ。マーケティングテクノロジーの正しい活用法について確認してみましょう。
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目次
マーケティングテクノロジーの定義
マーケティングテクノロジーとは、企業のセールス&マーケティング活動を支援する様々なソリューションやシステム、あるいはサービスのことです。
企業の営業&マーケティング活動は、次のプロセスで進捗することが望ましいと言われています:
- 新規リードの生成
- ポテンシャルリードの育成
- リードを見込み客に育てあげる
- ディール獲得(新規顧客の獲得含む)
- 顧客管理(アップセル、クロスセルを狙う)
そして主にマーケティング担当が行うことは、次の活動です:
- 広報、宣伝
- プロモーション(イベント、リードナーチャリング など)
- パートナーマーケティング(再販のプロモーション)
- カスタマーマーケティング
- データベース管理
これらの活動の管理や支援を行うための機能が、全てマーケティングテクノロジーに含まれるべきなので、マーケティングテクノロジーがカバーする分野はかなり幅広く、今やマーケティング部門のIT予算がIT部門のものより上回っていると言われるほどです。
グローバルの調べでは、その数約8,000ソリューション
2020年4月にchiefmartec.comが公表した、Marketing Technology Landscape Supergraphic (2020) によれば、2019年と比較すると13.6%増加し、現在約8,000種のマーケティングテクノロジーソリューションがあるということ。しかも前年に存在した全てのソリューションが残っているということではなくなくなったものも多くあり、別のソリューションと統合するケースも多いようです。マーケティングテクノロジーの前年対比率を、この調査で定められたカテゴリーごとに挙げてみましょう。
- 広告宣伝: 4.1% アップ(最も大きなサブカテゴリ:印刷)
- コンテンツとエクスペリエンス: 5.6%アップ (同:動画マーケティング)
- ソーシャルとリレーション:13.7% アップ(同、ブログ、SNS、チャット)
- コマースとセールス: 9.0% アップ(同:リテイルプロキシミティ、IoT)
- データ: 25.5% アップ(同:ガバナンス、コンプライアンス、プライバシー)
- 管理: 15.2%アップ(同:プロジェクト、ワークフロー)
データベースの一元化が重要だが
特に成長しているのはデータであることが明らか。マーケティングテクノロジーは、従来ジャンルごとに発展してきたのですが、今は組み合わせて使う必要があるため、データベースの一元化や一元管理できることが重要となり、それを実現でき得るツールが多く登場してきたと考えられます。
マーケティング活動のデジタル化のため、データベースは必須となる基本システムですが、データベースの一元化を実現するには、他のソリューションのデータベースで代用できる場合もあるため、社内全体の合意を得ることは簡単な作業ではありません。
ツールは多く存在していても、果たしてマーケティングテクノロジーの実用化が進んでいるかどうかは別の調査が必要ですね。
マーケティングテクノロジーは統合化も進んでいる
すでに言及した通り、マーケティングテクノロジーの統合化が進んでいます。マーケティングとセールス、マーケティングの上流から下流管理、様々なソリューションの上下左右の連携をツールで管理できれば、マーケティング力が高まるのです。
日本におけるマーケティングテクノロジーのステータス
次に日本の状況について、確認してみましょう。アンダーワークス社のマーケティングテクノロジーカオスマップは、日本国内で利用可能なマーケティングテクノロジーのうち、主要なソリューションを16分野109カテゴリーに分類しリスト化したものですが、その2020年版が2020年9月に公表されました。掲載数は2019年と比べて33%増、その数は1,234ソリューションに。
その中で示された、2020年のトレンドはつぎの3つのO。それぞれを確認してみましょう。
Orchestration(オーケストレーション)
データをどうやって統合するか、そしてどのように分析、可視化していくのかというソリューション。CDP(カスタマーデータプラットフォーム)、DWH(データウェアハウス)などの顧客データを集約するデータの統合基盤が増え、また統合前のデータを集計、クレンジングするようなETLなども増えています。またデータ分析では可視化するBIやダッシュボード、ピンポイント分析ができるWebアクセス解析ツールなども増加。
One to One/Optimization(パーソナライズ、最適化)
リアルタイムで顧客一人一人に対して、パーソナライズされ、最適化されたリコメンドができるものです。そのほかAIがやりとりするチャットポットのツール類など、選択肢も増加。
OMO (Online Merges Offline)
コロナ禍でオフラインのイベントやセミナーがオンラインに移行したので、ウェビナーなどのオンラインイベント管理ツールに注目が集まっています。
サブスクリプションビジネスが普及したことで、元来コールセンターで対応してきたカスタマーサポートが、顧客に長く使い続けてもらうことが重要視され、カスタマーサクセスへと変化してきました。そのため、カスタマーサクセスプラットフォームや、ポストセールスで使うマーケティングテクノロジーも登場しています。
日本でマーケティングテクノロジーが活用できてないわけ
グローバルに比べて、日本のマーケティングテクノロジーの状況は、残念ながら遅れていることが明らかです。マーケティングテクノロジーの導入は日本では進んでいないか、導入はしていても社内で理解できているのは一握りしかおらず、企業一丸となって十分に使いこなせていない。なぜなのでしょうか。
マーケティングの理解が弱い
残念なお知らせですが、いまだに多くの日本企業では、その経営者がマーケティングを十分に理解していないことが多いのです。これには2つの大きな要因が考えられます。
日本企業にとってのマーケティングとは、営業活動を側面からサポートする活動でしかなく、営業担当者の片手間の活動としてみなされている点がまず挙げられます。現在の日本企業の経営者の多くには、新規案件は足で稼ぐという信念が強くあるため、マーケティング活動の有益性を、理解できないでいます。「お金ばっかり使って、結果がでない」といわれがち。
今はジョブ型雇用を採用する企業が増え、だいぶ状況が変わってきたといえますが、2つ目には日本のマーケターの多くが、いまだに学門としてのマーケティングを学んでいないケースが多い点です。日本企業はジョブ雇用であることが少なく、マーケティング担当も、たまたまジョブローテーションでその職に就いていることが多く、経営者に対し、マーケティングの意義を語れないため、説得力が乏しいのです。
欧米ではマーケティングを理解していない経営者はいないといわれていますが、日本ではまだそのレベルに到達してません。
インサイドセールスがない
マーケティングテクノロジーの浸透が進まないそのほかの理由として、日本企業ではまだインサイドセールスへの取り組みに力をいれてないことが挙げられます。
インサイドセールスは、電話のほか、メール、チャット、ビデオチャットなどデジタルコミュニケーションツールを活用して営業活動を行うこと。時には顧客訪問することもありますが、基本的には社内での活動がメインになります。留意すべき点は、外向きの営業活動であるフィールドセールスとインサイドセールス は並列する関係ではなくて、一つのチームということなのです。インサイドセールスは、国内に時差があるような広大なアメリカでブレイクしましたが、日本ではいまだにテレアポ専業と勘違いされていることもあります。
インサイドセールスは営業活動でありながら、マーケティング活動も担っており、生成した新規リードを、様々なコミュニケーションツールを活用して見込み客に育てる活動は、マーケティング活動とオーバーラップします。つまりインサイドセールスの活動を支援するツール類が、マーケティングテクノロジーでもあるのです。
マーケティングテクノロジーの導入する前に確認すべきこと
企業のトップがマーケティングやインサイドセールスのタスクを正しく理解した上で、それぞれ専門部門を設け、マーケティングーインサイドセールスーフィールドセールス3部門の連携が確立してから、マーケティングテクノロジーを導入した方が、有益かもしれません。ソリューションは導入することがゴールではありません。導入することがスタートラインですからね。
成功するには、どこから手をつけるべきか
最後にマーケティングテクノロジーで成功するために、どんな点に注意すべきかを掲げてみましょう。
自社のマーケティング活動の中心となるツールを決める
マーケティングテクノロジーのツール選定は、他のツール選定と明らかに異なります。例えば会計業務や物流業務などであれば、領域に特化したシステムを選定するのが普通ですし、ERPのような統合システム1つ導入する場合もあります。
しかしマーケティングテクノロジーは、一つの領域でいろいろなツールを複合的に使うのです。さらに想定されるユーザーや、利用する規模などによっても異なってくるため、まずは中心にするツールを決めた上で、その他のツールとの連携を考えるべきでしょう。
例えば顧客とのコミュニケーションがWebsiteの中心であればCMS、営業とマーケティングの連携を重要視するなら、SFA/CRMといった具合ですね。
ツール導入と運用の制約の洗い出しを徹底し、比較軸を定め各ツールを比較する
制約事項が把握できていないと、せっかく適切なツールを選定しても、検討し直しになってしまうこともあります。特にコストとインフラ。コストは必ず具体的な金額を把握し、社内動向のウォッチが大切です。導入道半ばなのにコスト削減の指示が来たり、組織がガラッと変わって、選定のやり直しといったことは避けたいですよね。
比較検討はしっかりやりたいもの。マーケティングオートメーションといっても、複数のソリューションが存在していますので、自社目標を達成するために必要な機能を明確にして、比較しましょう。単に有名な製品だからという理由で選ぶとろくなことはありません。
ともかくぶれない軸を持つ
選定した後もいろいろな情報が入って同様してしまいそうになるかもしれませんが、一度ツールを選定したら、自らの決断を信じて導入を完了させようとする強い信念をもちづつけることです。
マーケティングテクノロジーでコンペより前に出るのは、企業の生き残りを後押しできるに違いありません。
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