日本のスタートアップのトレンドはIT。世界ではIT以外も活発。

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スタートアップとは

スタートアップとは

スタートアップとは新しいビジネスモデルを開発し、急激な成長とエグジット(創業者やエンジェル投資家、ベンチャーキャピタル(VC)などの出資者が利益を得ること)をごく短期間で狙うことで一獲千金を狙う人々の集合体です。

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アメリカのIT関連企業が集まるシリコンバレーで使われ始めた言葉であることからも分かるように、スタートアップはインターネット関連企業で始まりました。スタートアップはアメリカの他には、中国の深圳のような新興都市やイスラエルと都市国家の存在が大きいです。

スタートアップの立ち上げメンバーは創業者(ファウンダー)と呼ばれ、その他のメンバーも合わせてスタートアップのチームです。チームといってもファウンダー1人きりでスタートすることもあります。そのチームの中には既存の企業では必要とされる組織やシステム、そしてプロセスは存在しません。

チームが一丸となって急激なスピードで物事を進めるため、即戦力になる人材しかチームに加われません。しばらくの期間は法人登記すらしていないケースも珍しくありませんが、チームがあれば立派にスタートアップと呼ばれます。

ヨーロッパのスタートアップ

フランスのスタートアップ

大企業や完了的なイメージが強いフランスでは、「フレンチテック」という名称で国主導でのスタートアップ育成に取り組み、アメリカに次ぐ2番目の規模といわれるまでの成果をあげています。

Pass French TechやFrench Tech Ticketといった、スタートアップに対してのサポートプログラムが充実しており、パリには40以上のインキュベーション施設があります。また政府や企業とは直接的な繋がりがなくても、自発的にスタートアップを盛り上げようとする支援者も少なくありません。

2017年6月にはヨーロッパ最大級のインキュベーション施設であるスタートアップキャンパスであるSTATION Fがスタートしました。

フィンテックに強いパリ、バイオのリヨンそしてドローンはボルドーなど戦略的拠点があり、国と地方で連携と役割分担ができています。

ドイツのスタートアップ

ベルリンやパリのスーパーマーケットでは、急速に「農地化」が進んでいます。この「農地革命」をヨーロッパで推進しているのが、2013年にベルリンで創業された独インファームです。

インファームでは、人口が集中するヨーロッパの各都市で野菜を栽培し、その場で販売します。栽培に使用するのは土壌ではなく、栄養を含んだ水。作物を照らすのは、太陽ではなく淡い紫色のLEDライトです。

そして栽培スペースを垂直に積み上げることで、物理的な接地面積を最小限に抑え、従来の農業に比べて水を95%、肥料を75%削減することに成功しました。

彼らのビジネスモデルでは、農地のシステムとその管理を月額で提供することです。その上でユーザーとともに「何をどれくらい育て、いつ収穫するのか」を計画し、全ての農地をクラウド上でつなげ、味や風味、栄養価が最大限引き出されるよう、専属のスタッフたちが24時間遠隔で管理しています。

すべての野菜を室内で栽培するインファームは、コントロールの効かない気候の変化や土壌の状態に影響を受けることがないため、農地ごとに最適化が可能になるというものです。

現在インファームは300の農場を持ち、そのうち約半分はドイツにあります。2019年半ばまでに700の新たな農場をドイツに限定せず、フランス、スイス、イギリス、オランダへも展開することを予定しています。そして日本にも2020年に進出予定です。

日本では

日本のビジネスの場でのスタートアップとは「立ち上げ」や「起業」などの意味で使われています。

その点から日本のスタートアップはベンチャー企業の一部と言えますし、海外のスタートアップの定義に完全に合致するところは極めて少ないといえます。

スタートアップは一般的には創業から2~3年程度の起業を指すことが多く、まだ事業を世に広める途中ですから、外部から資金を調達する必要があります。その際に使われるのが、ベンチャーキャピタル(VC)であり、最近ではベンチャー企業やスタートアップへの投資を行う日本のVCが増えてきました。

スタートアップを成功させるためには、ビジョンや目的を明確にしていかに外部から協力を得られるかが重要なのです。

ベンチャー企業と違いはあるのか

ベンチャー(Venture) の本来の意味は投資をする企業や投資家のことを指す言葉です。ベンチャー企業は和製英語で、投資を受けている会社ということですが、Venture companyといっても欧米ではまず通じません。

日本のベンチャー企業の定義は新技術や高度な知識を軸に、大企業では実施しにくい創造的・革新的な経営を展開する企業で他から投資を受けているのがポイントです。投資が視野に入っていない企業は単に中小企業と呼ぶべきでしょう。

ベンチャー企業の一部ともみなされる日本のスタートアップですが、「急成長できる新しいビジネスモデル」であると判断できれば、ベンチャー企業と差別化できます。

日本のスタートアップはやはりITから

日本のスタートアップはやはりITから

日本では1990年代にIT関連のベンチャー企業が生まれ始めました。彼らこそ日本のスタートアップの先駆けです。日本もアメリカ同様にIT関連ビジネスからスタートアップは増えていき、その後2013年に設立された、官民ファンドやCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドが、日本の経営資源を生かすための支援と位置づけられ、若いスタートアップによる柔軟なグローバル化への対応やニッチ市場への進出、そしてイノベーションの創出が期待されることとなりました。

ビットバレー再び

スタートアップという言葉自体がなかった1990年代後半、渋谷を中心とするテクノロジーベンチャーのモーメンタム「ビットバレー」が起こりました。このときに生まれたのがDeNA、サイバーエージェント、GMO (当時はインターキュー)、ミクシィ(当時はイーマーキュリー)です。

現在も日本のスタートアップの多くが集まる渋谷駅前では、再開発が進められています。

2018年7月には

  • GMOインターネット
  • サイバーエージェント
  • DeNA
  • ミクシィ

上記の4社が、渋谷をIT分野における世界的技術拠点にすることを目的とした「SHIBUYA BIT VALLEY」プロジェクトの開始を発表しました 。

渋谷区でもエンタテイメントやクリエイティブやイノベーションなど様々な創造が行われる街を目指し、渋谷を再度「IT分野における世界的技術拠点」としたい考えがあるようです。

日本の今のトレンドは?

日本の今のトレンドは?

どんな業種であれ、生き残りをかけてITの活用を積極的に行っています。最近ではIT企業以外でのスタートアップが増えているのです。特に食、家、車、エンタメ、メディア、金融でのスタートアップが躍進をしているように見受けられます。

農業(食)

2019年2月に国際認証グローバルGAPの取得支援と、クラウドコンピューティングによる農業ICTの生産情報管理システムを、フランチャイズパッケージで提供するファーム・アライアンス・マネジメント(以下ファーム) と、生産者の経営支援システムを手掛けるテラスマイルのアグリテック(農業テック)のスタートアップ2社が業務提携をし、両社のシステムを連携させることになりました。

ファームが持つ緻密な生産管理手法を、テラスマイルが持つ経営支援ノウハウに生かすことで、生産者がより効率的な農業を行えるようになります。具体的なサービス提供は2019年夏ごろから開始予定で、将来は蓄積したデータを生かし生産者が資金調達をする際などの信用システムの構築も目指すようです。

不動産(家)

テクノロジーを不動産業に活用する不動産テック(Real Estate Tech) への投資が、2016年は米国で10億ドルに達しました。2010年と比較すると30倍、急激に加速した2013年の2倍以上という成長ぶりです。

世界でも不透明度が高いと言われた日本の不動産業界でも、不動産テックのスタートアップが増えています。ハウスマートでは、中古マンションの自社データベースを公開し、AIとビックデータを活用して、透明性のある購入を実現。

またインターネットメディア運営事業のスタートアップのリブセンスでは、不動産ビジネスとして、中古マンションの仲介取引を手がけています。

レンタカー(車)

tripla株式会社は、2019年1月にJR東日本レンタリース株式会社と協業して、国内初のチャットボットを活用した、レンタカー会社の多言語でのウェブ即時予約サービスの提供を開始しました。レンタカーを予約する際にユーザーが問い合わせから予約まで、一つのチャットボットで対応ができるワンストップサービスとなり、利便性が大幅に向上するというものです。

triplaはJR東日本の子会社で、スタートアップを支援する新たなビジネスに参入したJR東日本スタートアップ株式会社の出資を受けて、この予約サービスのリリースを実現しました。

スタートアップのビジネスの場はグローバルへ

スタートアップのビジネスの場はグローバルへ

経済産業省では日本のスタートアップ・エコシステムについて次のように述べています。

「現在日本には約1万社のスタートアップがいますが、グローバルに活躍しているのは一部しかいません。ここ数年で日本のスタートアップ・エコシステムは発展を遂げたことで、ブームはできましたが、グローバルで勝てるスタートアップを生み出すには、これを一過性のブームで終わらせてはいけないのです。いかにカルチャーとして根付かせることができるかが大事だと思っています。」

そこで経済産業省が出した答えは、「有望なスタートアップを官民で徹底的に支援する」ことでした。2018年6月経済産業省は、官民が連携しスタートアップを育成・支援するプログラムである「J-Startup」を開始。これはグローバルで打ち勝つ可能性を持ったスタートアップを徹底的に支援していくというものです。支援の内容も資金の援助にとどまらず、事業スペースの提供や顧客、関係会社の紹介など、スタートアップは大企業のアセットを活用しながら、成長していくことができるようになりました。

グローバルでの戦いに勝てるスタートアップを生み出し、日本発スタートアップのプレゼンスを高める取り組みが今後加速されていくようです。

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