テレビからWEBへ、今と昔でマーケティングはどう変わったのか

テレビからWEBへ、今と昔でマーケティングはどう変わったのか

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インターネットが進化し続けている現在、WEBマーケティングが注目されています。WEBマーケティングもマーケティングから派生したカテゴリです。もともとのマーケティングの構造を知ることでWEBマーケティングの活用の幅が広がります。

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マーケティングが生まれた背景として、テレビなどマスメディアが情報インフラとして成長してきたことに大きく影響を受けて流という点があります。

しかし、インターネットの登場によって、マーケティングのあり方が大きく変化しました。何がどう変わったのかを知ることは、マーケティング戦略においてアドバンテージにつながります。

テレビ時代のマーケティングの形とインターネット時代のWEBマーケティングとは何が違うのかを比較してみましょう。

4大メディアからWEBメディアに変わるまで

4大メディアからWEBメディアに変わるまで

4大メディアからWEBメディアへ

まずはマーケティングと関係の深いメディアの変遷について見ていきましょう。メディアといえばマスメディアですね。マスメディアの中でもかつては4大メディアとして多大な影響力を持っていたのが、

  • テレビ
  • 新聞
  • 雑誌
  • ラジオ

上記の4つの中で最も古い媒体は新聞です。江戸時代には瓦版という形ですでに存在していました。次に雑誌があり、ラジオ、テレビと続きます。

この4つのメディアの広告界への影響は絶大です。ここ30年における最盛期、インターネット広告黎明期の2000年には、4大メディアの売上は約3兆円にのぼり、広告業界のシェアの54%を占めていました。インターネット広告がどんどんとシェアを伸ばしているとはいえ、2017年時点で4大メディアの売上を超えていません。

とはいえ、インターネット広告は4大メディアのうちテレビ以外の3つの広告売上を2010年に抜き、年々右肩上がりの成長を見せています。これぞメディアの概念がマスからパーソナルへと変化している確たる証拠と言えるでしょう。

メディアとマーケティングの関係の変化

マーケティングの目的は商品・サービスを市場に流通させることにあります。また、日本マーケティング協会はマーケティング活動を「市場創造」であると定義しています。市場に流通させるためには消費者に「知ってもらうこと」が重要で、その中核を担っているのがメディアというわけです。

メディアは最初、印刷物として広がり、次にラジオ・テレビといった電波を使うことでより広く伝えられるようになりました。さらにインターネットの登場により、電波よりも広い世界に一気に、そしてよりスピーディに届けられるようになりました。

メディアはどんどんと伝えられる距離を伸ばしていったと言えるでしょう。インターネットは広告を載せる媒体としては画期的なものでした。すると当然、マーケティングのツールとしてWEBが活用されるようになるわけです。

WEBマーケティングも当初はマーケティングの亜流として専門書にちょっとだけ説明が書いてある程度でしたが、現在ではWEBマーケティングに特化した専門書がいくつも販売されるような、マーケティング業界のメインストリーム的な存在になっています。

WEBメディアの変遷

インターネットはオウンドメディアとしてホームページを作るのが基本で、当初はWEB言語を操れる人しか作れない非常に専門性の高いものでした。しかし、ある程度フォーマットを設けて専門知識のない人も情報発信できるようにエキサイトブログやアメブロといったブログというツールが登場しました。

そして、国内ではmixi、アメリカではTwitterやfacebookが登場し、ブログよりももっと気軽に情報発信ができるSNSがコミュニケーションインフラとしての地位を確固たるものにしています。

さらに、WEBメディアは文字情報ではなく感覚でキャッチするように変化。 SNSは写真そのものをコンテンツとするInstagramやピンタレストが登場し、文字よりも自由に表現できるものとしてYouTubeやニコニコ動画といった動画コンテンツが広がりました。

このように、WEBメディアは様々な進化を遂げていますが、共通していることは発信者がマスではなくパーソナルになったという点です。個人が発信し個人がキャッチする時代になっているのです。

このように、メディアの形がかつての4大メディアに代表されるマスメディアからパーソナルが中心のWEBメディアへと変わっていったとしても、マーケティングの必要性は少しも変わっていません。「WEBマーケティング」という方向に進化していっただけなのです。

テレビ時代のマーケティング戦略

テレビ時代のマーケティング戦略

テレビは家庭の三種の神器として登場以降、マーケティングツールとして大きな影響を与え続けてきました。テレビがあるからこそ、広告も映像も、コピーもこれほどまでに発展したといっても過言ではありません。

テレビ時代のマーケティングの基本

マーケティング専門用語の中にはAIDMAという言葉があります。これは消費者の購買行動のそれぞれ頭文字をとったものです。

  • Attention(認知)
  • Interest(興味)
  • Desire(欲望)
  • Memory(記憶)
  • Action(購買)

つまり、人はまず商品やサービスについて知って、自分に必要かもしれないと興味を持ち、欲しくなったら、記憶され、お店でそれを覚えていて購入するという流れでした。大切なのは商品を認知してもらうことであり、興味や欲望を掻き立てることにありました。それが購買にダイレクトに繋がっていたのです。

インターネットの登場とともに、AIDMAはAISASへと変化しました。

  • Attention(認知)
  • Interest(興味)
  • Search(検索)
  • Action(購買)
  • Share(共有)

検索と共有という二つが購買行動へ大きな影響を与えるようになってきたため、どのように検索させるのか、シェアさせるのかという点が重要になってきました。テレビ時代では、検索は本や雑誌、シェアは学校での話題や会社での仲間内での会話の中で行われるようにアプローチされていました。

マーケティングミックスによる効果

テレビ時代は特にマーケティングミックスの効果が顕著でした。マーケティングミックスといえば、Product(製品)、Price(価格)、Place(場所)、Promotion(プロモーション)の4つのPの組み合わせを最適化させることで、マーケティング効果を高めるというもの。

テレビは特にプロモーション分野で効果を発揮しました。例えば、こんなキャッチコピーをご存知でしょうか?

ぜんぶ雪のせいだ

24時間戦えますか

ピッカピカの一年生

これらは全て80年代90年代のテレビコマーシャルのキャッチコピーです。

  • 「ぜんぶ雪のせいだ」はJR東日本
  • 「24時間戦えますか」は栄養ドリンクのリゲイン
  • 「ピッカピカの一年生」はランドセル

これらは流行語大賞にもノミネートされている時代を象徴するワードとなっています。

なぜこれほどまでに知っている人が多いのかと言いますと、80年代90年代はテレビ広告の影響力が非常に大きかったからです。ドラマとタイアップした商品は大人気になり、すぐに品薄状態。テレビCMを1本打てば商品の認知度は急上昇した時代でした。

テレビ時代の二極構造

テレビ時代のマーケティングは、マス媒体を活用し幅広い層への浸透を目指すものでした。そのため、世代を超えて伝わりやすいキャッチコピーやメロディ、インパクトが重要でした。

そこで生まれたのが発信者と受信者の二極構造です。発信者は企業であり、広告代理店を含むマスメディア。受信者は消費者です。

広告はコミュニケーションであるとよく言われますが、当時は「伝えたいことを伝える」という一方通行的なコミュニケーションスタイルが多く、受信者側のメッセージは、購買という間接的な行動でしか伝えることができかったのです。インターネットが普及した現代的な感覚だと、どこか物足りなく感じてしまうかもしれません。

WEB時代のマーケティング戦略

WEB時代のマーケティング戦略

インターネットが普及し始めると、WEBマーケティングの時代がやってきます。依然としてマスメディアの影響は大きいのですが、発信者はマス媒体だけでなく、ブログやSNSなど個人個人がメディアとして発信する、国民総メディア化の時代になってきました。

誰でも自分の思いの丈を発信でき、自分自身の作品を世界にリリースできるインフラが整っているのです。その結果、発信を行う個人がマーケティングを行う必要性が高まりました。

WEBマーケティングが与えるインパクト

WEBマーケティングは、マーケティングの基礎を踏まえつつも独自の戦術を駆使する方向に進んできました。
検索エンジンで上位検索されるようにどんなキーワードを含めるのかというSEO戦略や、WEBページの有用性を高めるためにコンテンツの充実を図るコンテンツマーケティングが重要な戦略となっています。

個人が発信力を持ったことで、よりニッチなものが注目されるようになり、多様な表現が生まれました。ニッチ分野であったソーシャルビジネスが注目されるようになった背景にもWEBマーケティングが大きく影響しています。

WEBマーケティング時代のSTP分析

よりニッチな方向にマーケティング戦略の舵が切られたときにより重要になってきたのがSTP分析です。

STP分析とは、「S」セグメンテーション、「T」ターゲティング、「P」ポジショニングの3つの項目から戦略を構築する方法です。ニッチな分野の場合、より細かく市場をセグメントし、ターゲットを具体化していかなくては、市場においてのポジションをキープすることができなくなっています。

どの市場で勝負をして、どんな人のニーズに合うサービスを提供するのか、それが明確であるからこそSEO戦略やコンテンツマーケティングも適切に行えるようになります。

これからの時代に求められるマーケティングとは

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AI時代のマーケティング

将来、テクノロジーはますます発展し、マーケティング手法もどんどんと進化していきます。将来、AIの発展によって多くの職種がなくなると言われていますが、マーケターもなくなる職種の一つに挙げられています。WEBの世界においては特に、AIの広がりが早いことは言うまでもありません。AIが進化することに伴ってマーケティング手法も大きく変わってくると考えられています。

もう既に起こっているのがWEBマーケティングのAI化です。グーグルやヤフーなどではWEBページの解析を自動で行うシステムが作られ、マーケターが手作業で分析を行わなくとも、整理され見やすくグラフ化されたデータがすぐに確認できるようになっています。

ヒートマップと呼ばれる、訪問者がWEBページ内のどの部分を特に見ているのかを解析するツールもあります。AIの台頭によってこれまでの業務が大幅に効率化され、マーケターとして求められる役割は変わってくる可能性が考えられます。そもそものマーケティングの概念も変わってくるかもしれません。そのような時代に、マーケターが提案する価値は何なのかをもう一度考え直す機会が必要になるでしょう。

消費行動の変化

現在、グーグルとフェイスブック、そしてアマゾンが消費の3巨頭と呼ばれています。AIの台頭によってマーケターやその業務が変化するのと同じように、消費行動にも変化が生まれます。既にショッピングはお店に行くものではなく、自宅のリビングでスマホやパソコンを使って行うものに変化しています。

エンターテイメントも、映画館やレンタルショップに行くのではなく、オンデマンドでリモコンを使って操作する時代です。このように刻一刻と変化するプラットフォームやメディアへの対応が必要になってきます。

これまでは街に行けば知らないお店や商品との出会いがあったため、人をお店に呼び込むことを目的としたマーケティングでしたが、これからは呼び込むのはお店ではなくWEBページということになります。ダイレクトなコミュニケーションからブラウザを通してのコミュニケーションになるため、信頼関係を作るための手法は当然変わってきます。

しかし、プラットフォームやメディアの形が変われども、「消費行動に対するコミュニケーション」というマーケティングの根幹においては、テレビ時代もWEB時代も変わっていません。AIが台頭してくる未来においても、その部分においてはおそらく変わらないのではないでしょうか。コミュニケーション分野においてはAIよりも人間の方がはるかに優れています。

次世代のマーケティングを考えるとき、マーケターはどのように時代のニーズに適合していくのかが問われてくるのではないでしょうか。

 

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