WEBマーケティング、下から見るか?横から見るか?
WEBマーケティングの必要性について説明するのは簡単ですが、相手に納得してもらうことは難しいことのように思います。クライアントであればなおさら、納得してもらわないと受注には繋がりません。そこで、WEBマーケティングについて視点を変えてみてはいかがでしょうか。
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クライアント候補の「WEBというものの捉え方」が少しは見えてくるかもしれません。WEBマーケティングについて2つの視点から考えていきたいと思います。
目次
WEB業界に「従事する人」と「従事していない人」
「視点を変えれば見えるものが変わる」というのは、WEB業界でも当てはまります。
WEBマーケティングを「横から見る=WEB業界に従事している人」は、WEBマーケティングの力を強く信じている傾向があります。一方で、従事していない人では、その領域や範囲を侮っている傾向があります。WEB業界との関わりの有る無しで、なぜこのようなギャップが生じるのでしょうか?
WEB業界に従事している人にとって、WEBマーケティングは非常に重要で、かつ当たり前に実施するものです。なぜなら、WEBマーケティングがなければ、成果が出せないばかりか、効果測定すらできないからです。
ホームページやコーポレートページを作って、完成したらそこで終わりではなく、それをどのように活用していくかが本来の目的です。その活用についてどのようにしていくかが最も重要なテーマであるとWEB業界に従事している人は知っているのです。
一方、WEB業界に従事していない人は商品(ホームページなど)が納品され、商品を受け取ったらサービス終了だという意識が強く、“運用”までイメージしていない場合がほとんどです。そのため、WEBページがあることが重要で、測定する指標はページビューなど最低限でよく、WEBマーケティングなどなくても何とかなると考えています。
その背景には、インターネットの歴史がまだまだ浅いということが関係しています。今ではどこへ行ってもWi-Fiが飛び交い、スマホのテザリングなどもあり、いつでもどこでも繋ぐことのできる社会のインフラとして普及していますが、インターネットが社会認知されるようになってからまだ20年ほどしか経っていません。そして、ものすごいスピードで進化し続けている世界でもあります。
WEBテクノロジーは、一般社会にとってはまだまだマイノリティな存在であると言えるため、その業界とあまり接点のない人にとってみると、WEBマーケティングについて「下から見る」視点でいることも頷けます。
WEBマーケティングを「下から見る人」はどう思っている?
WEBマーケティングを「下から見る=WEB業界に従事していない人」はWEB業界についてどのように思っているのでしょうか?
「オタク」「ギーク」「コミュ力が低そう」「忙しそう」「社畜」などなど、様々なイメージがあるだろうと思います。そして、たぶんそのイメージは、一部当たっているかもしれません。オタクもいますし、ギークもいます。コミュ力が低い人もいますし、忙しい人ももちろんいます。しかし、そんなパーソナリティ以外に、WEB業界には「様々な職種・スペシャリティが溢れている」ことを知っておいてもらいたいのです。
WEB界隈にいるプレイヤーたち
ホームページつくれるの?って言われた時に使えそうなヤツ。 pic.twitter.com/i3UXYLGCj9
— ザ・タナカ|100日後に収益化するマーケター (@thetanaka_web) May 20, 2018
その上で、かなり乱暴ではありますが、WEB業界のプレイヤーをざっとまとめると、
マーケティング部門
- プロデューサー
- アナリスト/グロースハッカー
- プランナー
- 運用・入稿
企画編集部門
- ディレクター
WEBライター
- クリエイティブ
開発部門
- WEBデザイナー
- コーダー
- プログラマー
上記の職種があります。
WEB業界のイメージというと、どうしても「クリエイティブ職」「開発部門の職種」がイメージされやすいようです。
例えば、工程の全体を統括する「プロデューサー」や、デザイン制作システムの現場監督的な役割をもつ「ディレクター」は他のプレイヤーとのコミュニケーションが不可欠ですから、当然高いコミュニケーション能力が求められます。会社の基本的な組織として必要である営業担当もコミュニケーション能力は必須ですよね。
物心ついた頃からWEBテクノロジーに触れているデジタルネイティブと呼ばれる若い世代では、WEBに関して抵抗や先入観がなく、「横から見る」人と人格的にそうは違いません。
WEBに関する知識・スキルは、現代においては重要なビジネススキルの一つです。プログラマーやWEBデザイナーといった職種はWEB業界以外の人ではあまり関わりが少ない人種かもしれませんが、WEBマーケターはどんな業界でも関わりが不可欠なビジパーソンになっています。
なぜなら、ホームページやSNS、動画といったWEBコンテンツがあらゆる企業にとって、活用範囲が広く、必要不可欠なものになってきているからです。
WEBマーケティングを下から見る人の印象は・・・
「WEB業界人ってWEBを万能だと思っていそう」「なんでもWEBで完結させるんじゃないか」とよく言われますが、WEB業界にいるWEBマーケターも普段の生活では、WEBに関わらない時間がたくさんあって、特段、デジタル人間というわけではありません。
普段の仕事でもそうですし、プライベートであればなおさらです。むしろプライベートでは自然に触れたり旅行をしたりとWEBに触れない時間をあえて作っているからこそ、スペシャリティの高い業務ができるように思います。リアルな世界とWEBという仮想空間の世界と、その両方を知っている人であるとも言えるでしょう。WEB業界に深く関わり、WEBについての知識を得れば得るほど、「デジタル手法の限界」について自分なりのモノサシを持っているものです。
SNSメッセージや電子メールなど、便利なツールは増え続けていますが、簡単である反面、微妙なニュアンスが伝わらなくて誤解を招いたり、温度感にズレが生じたり、何より信頼関係を作るにあたっては直接顔と顔を合わせて話すことに勝るものはありません。
100回のメールのやりとりよりも一回顔を合わせて話をする方が、コミュニケーション効果が高いのです。そのような経験を何度もしているので、WEB業界に従事している人ほどWEBの力についての限界を分かってます。
とりわけ、WEBマーケターにもなれば、冷静にマーケットを判断しなければならないのでよりWEBの限界について「WEBなんてこんなもの」と認識しています。
WEBマーケティング、下から見るか?横から見るか?
一本のタバコをイメージして見てください。横からみるとタバコは長方形に見えます。下から見てみると円に見えます。また、立体的に見てみると円柱であることが見えてきます。このように、見る視点を変えるだけで全く違う形が見えてくるのです。
同様に、見る方向によって捉え方が全く変わってしまうのがWEB業界です。業界自体が若く、新しい考え方見方がどんどんと入ってくるという進化が早いという特徴もあるために、こういった認識が生まれました。
しかし、こういった認識の違いこそがWEBマーケティングのアドバンテージなのです。WEBマーケティングを下から見ている人にとっては「よくわからないもの」として映ります。一方で横から見ている人は、当然横から見ている人のこともわかります。どちらの人が優れていて、どちらの人が劣っているというわけではありませんが、両方の視点を持っていた方が当然、有利です。
下からと横から、その両方の視点で見ることによって、タバコが円柱であるとわかったのと同じように、ビジネスそのものやサービスなどを立体的に考えることができ、正しい判断ができるようになります。多角的な視野はWEBマーケターにとっては必須能力です。
WEBマーケティングを横から見る人の特徴
横からと下から、両方から見て立体的に捉えた方が有利なのですが、自分自身が優位な立場にいると勘違いしていると足元をすくわれてしまいます。
WEBマーケターの欠点として、WEB以外のパワーを「過去の産物」として侮ってしまうという点が挙げられます。
確かにWEBは非常に強力で重要なツールです。そのために、WEB業界では逆にコミュニケーションが重視され始め、WEBかそれ以外かという垣根がなくなってきています。
WEB業界で実績を挙げている企業のオフィスでは社員同士がコミュニケーションを図りやすいように実に様々な工夫がされています。例えばグーグルのオフィスでは社員同士のコミュニケーション活性を目的としてオフィス内でサッカーやバスケットボールができるようになっていたり、ビリヤード台やロッククライミング用の壁があったりと非常にユニークです。
フェイスブックの本社では、部署の垣根を超えてコミュニケーションが取れるようにとワンフロアに2000人以上が働いています。さらにラスベガスにあるザッポスでは、地域コミュニケーションまで考え、ラスベガスに学校やコワーキングスペースを作るなど地域開発まで手がけているのです。
とはいえ、社内のコミュニケーションだけでは視野が限定されてしまうので、WEBマーケターは社外でのコミュニケーションやWEB業界以外に触れることが大切です。
オンラインサロンやSNSなどWEB媒体でも社外の人とコミュニケーションを取れたり、情報交換できたりしますが、オンラインだけではなくオフラインでの体験を大事にすべきです。
ビジネス交流会に参加して対面した状態でつながったり、SNSで知った場所やイベントに直接行ってみたりすることで、オフラインで行われているビジネスをオンライン上に持ってくることができるかもしれません。
また、WEBマーケティングを下から見ている人へ、オンラインでのツールやソフトの活用について提案できる可能性も高まります。WEBマーケターとして活躍の幅を広げるためにも、オフラインでの場はとても重要なのです。
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