TOKYO2020、新しい仕組みでダフ屋に勝てるか

TOKYO2020、新しい仕組みでダフ屋に勝てるか

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最近大相撲観戦チケットの入手が困難です。オンラインの先行抽選に第3希望まで申し込むも全て外れ、その後先着順の一般販売サイトでのチケット購入に挑みますが、予約開始時間にログインしてもネットワーク混雑のためサイトまで行き着けず、繋がった時には完売で落胆するのが常。

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人気のコンサートや観劇、スポート観戦のチケットの入手でも状況は同じですが、どうしても欲しい時は多少高くなってもチケット屋で探すとかフリマで検索して入手を試みるものですが、不当な方法でチケットを転売している輩も後を立ちません。

2019年のラグビーワールドカップそして2020年の東京オリンピック・パラリンピック (以下TOKYO2020) の開催を控え、観戦チケットの不当な転売を取り締まるため、ようやく日本国家が重い腰をあげました。

チケットの転売

自分が行くつもりで購入したコンサートのチケットを、行けなくなったので転売しても問題はありません。つまり原則的には転売は違法ではないのです。

完売してしまった人気チケットを入手するには、次の方法が考えられます。

チケット屋で買う

新宿や新橋に軒を連ねるチケット屋。まずは複数のチケット屋を自分の足で回って確かめて最適な条件のチケットを見つける方法です。購入すればその場で領収書が出ますので安心。

しかし自分のほしいチケットが必ずしもチケット屋で扱っているとは限りませんので、最悪の場合くたびれ儲けとなることもあります。

オンラインで買う

フリマやオークションサービス経由で購入する方法です。店舗に出向くことなく自分のほしいチケットを検索、比較できて購入ができるので無駄に時間を使わずに済むので便利。

合法な業者に紛れてまともでない業者も潜んでいるので、大手のサイトを選んで利用するのが安全でしょう。チケットの受け取りは郵送またはコンビニなどで受け取りになりますが、チケットを無事受け取るまでは気が気ではありませんね。

ダフ屋から買う

どんなに値段が高くても入手したい場合には、会場前で「当日券あるよ」と叫んでいる人から購入する手もあります。最近は規制が厳しくなったので以前に比べてかなり少なくなりましたが、この手の人はバックに暴力団が控えていることが少なくありませんので、犯罪と背中合わせの場合も。通常価格5,000円が10万円になるなど、おしなべて高額な上もちろん領収書は出ません。

明らかに転売目的で大量に買い占めたチケットを高額で売り利益を得ることはNGですが、今までは公的な縛りがなかったので、野放しにせざるを得なかったのです。

組織委員会の発表

組織委員会の発表

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下組織委員会)では観戦チケット購入ルールの中で、観戦チケットの転売禁止を告知しています。以下がそのサマリーです。

  •  購入した観戦チケットをオークションサイト等で転売することは禁止。ただし2020年春以降開始予定の公式リセールサービスを除く。
  •  オークションサイト等に出品されたチケットは全て無効化され、不当に転売されたチケットで会場に入場することは不可能。

大手フリマやオークションサービス事業者6社では、TOKYO2020観戦チケットの出品の禁止を同時に周知しました。

不当転売撲滅のために

TOKYO2020に限った話ではありません。人気の観戦チケットが高額で転売されているのは国際的レベルの社会問題です。しかもチケットの買い占めをしているのが業者だけでなく、個人であるのも珍しくないのです。

民間レベルでは以前から状況改善の試行錯誤が続いていました。2019年2月広島のプロ野球公式戦チケットを巡り、マツダスタジアム周辺が大混乱に陥いったというニュースはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。

広島戦のチケットの以前の購入方法は先着順でしたが、前日から球場周辺にテントなどで場所取りすることが常態化し、購入順をめぐってトラブルが多発し、不当な転売が目立つようになりました。

それを改善する目的で購入に必要な抽選券を配る方法に変更されたのですが、配布場所には推定5万人のファンが殺到したので、球場まで600メートルの位置にある踏切周辺まで人があふれ、鉄道の運行に支障が出るとJRから苦情が入りました。

警察からも指導も入る事態に。抽選券の配布は途中で打ち切られ、納得できないファンが抗議を続けたのです。球団側は想定外の問題に襲われてしまいました。良かれと思って変更された抽選券の発行ですが、来季以降の対応は再検討されるものと考えられます。

有名アーティストの多くもコンサートの入場チケットの転売反対の運動に参加表明しています。コンサート会場で本人確認をし、他人名義のチケットでは入場不可とするなどの措置を取るところも出てきましたが、多くの場合は人件費や設備の面で、完全に不当転売を締め出すには至っていません。

不当転売のペナルティ

「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(略称チケット不正転売禁止法)が2018年12月に平成30年法律第103号として公布され,2019年6月14日に施行されました。

これは2019年ラグビーワールドカップやTOKYO2020を控え入場チケットの高額な不当転売を阻止しようとする、国家の威信ををかけた取り組みと言えるでしょう。

この法律では次の2点の禁止を定めています:

  • 特定興行入場券の不正転売
  • 転売目的の特定興行入場券の購入

「違反者は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又 は併科」とありますので、購入した側も「知りませんでした」ではすまない話となるわけです。

TOKYO2020 リセールのルール

TOKYO2020のチケットは記名制のため、不要になったからといって自分勝手に転売することは認められません。本人確認ができなければチケットが無効になるだけでなく、不正転売で罰則があるのです。ただし家族や親族、親しい知人にチケットを譲りたい場合には、TOKYO2020公式サイトの「マイチケット」で名義変更すれば譲渡可能になります。

不要になったチケットの転売は、2020年春頃に組織委員会が設ける公式リセールのサイト経由で行われなければなりません。公式のリセール価格は購入した時のチケットの定価とイコールです。つまり購入時に発生した手数料や配送料は含まれない額がリセール価格で、さらに買い手が見つかったら売り手は手数料を払う必要が生じますし、リセールサイトに出したからといって必ず買い手が見つかる保証はないので、はっきり言って条件はよくありません。

チケット販売の問題点

東京オリンピックのチケット一次抽選予約->販売手続きは、大混乱の中始まり、大混乱の中に終わりました。予約開始初日、5月9日の午後5時までのアクセス数は延べ130万。最多の待ち人数は約18万人となり、しかも最初は累積人数の表示だったため「70万人超」という数字が表示され、どうせつながらないと諦めてしまった人も多かったのです。

その後もシステムは何度もパンクしかけ、結局は締め切り期間の延期をせざるを得なくなりました。見込みよりはるかに膨大な人数が一度にアクセスしようとは、組織委員会では想定すらしていなかったということでしょうか。

全てが「鈍い」功罪

最大の問題点はユーザーを待たせていることに対して、役所然としてサービス事業者としての姿勢を全く感じられないところでしょう。ユーザーはID登録やチケット予約で大いに待たされ、抽選発表でも待たされました。さらに公式リセールサイトの発表は2020年の春までお預けです。

この事実に対し憤りを感じたユーザーは、日本人だけではないでしょう。

ALL or Nothing?

東京オリンピックの第一回目の申し込みでは、いくつでも申し込めましたが、多くの人は全て落選しました。しかし稀に人気のチケット全て当選した人も存在しチケット購入費が100万円を超えてしまう場合も。しかし当選したら全て購入するのがルールでしたので、チケット単位でのキャンセルはできず、キャンセルするには当選した競技全てを諦めなければなりませんでした。

これも不当転売防止策の一環なのかもしれませんが、技術が進歩している現在で改善の余地があったのではないでしょうか。

購買ルールの説明が足りない

観戦チケットの抽選販売で1枚も当たらなかった人には、敗者復活の抽選販売である追加抽選が1人1種目のみ、8月に行われることになりました。申し込み可能なものは基本的には予選の試合だけですが、人気競技のチケットも含まれるのはせめてもの救いといえるでしょう。

2019年秋以降も2次抽選販売、直前期販売と観戦チケットの入手するチャンスは続く予定ですし、東京パラリンピックの観戦チケットも8月に販売が始まります。

しかし明確な期日が周知されておらず、相変わらず説明が足りないのがTOKYO2020のサイトなのです。

ダフ屋が黙っているのか

観戦チケットが手に入るならお金に糸目をつけないというお金持ちが世界中に存在する中で、ダフ屋がTOKYO2020チケットの不当転売を諦めるのでしょうか。不当転売を取り締まる法律を定められたからといって安心するのはまだ早いのです。

友人なら名義変更すれば譲渡可能になるあたりが、悪用される危険性が高そうです。1円でも利益が出る譲渡をすべて禁止するルールですが、転売する相手が赤の他人でも自分の友人だと言いはれば友人ですし、お金のやり取りがオフラインで行われたら尻尾を掴むのはほとんど不可能です。

これが転売の唯一の抜け穴にならないように祈るばかりです。組織委員会はそのセキュリティ対策をより盤石にする必要があります。

最後は人としてのモラルか

最後は人としてのモラルか

前回のリオオリンピックでは2000枚の入場券が8倍の値段で大量販売される一歩手前で無効になり、50人ものダフ屋に調査が入り逮捕者も出ました。さらには国際オリンピック委員会(IOC)の理事でアイルランドオリンピック委員会会長(当時)が、約3億円のオリンピックチケット不正高額販売で逮捕されたのでした。そのような不名誉な過去もあり、ICOでもTOKYO2020のチケット不正転売の取り締まりを強化しました。

観戦チケットが完売すれば収支的には問題はありませんが、強化したために見られない人が増えたり、リセールがうまくいかずに空席が目立ってオリンピックの「華」が無くなっては本末転倒になってしまいます。

東京で2度目の開催となるTOKYO2020。皆が本当に楽しく観戦できるように、今後も組織委員会のさらなる不当転売への対応改善を希望します。

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