日本はもっとリファラル採用を強化するべき。理由を解説

日本はもっとリファラル採用を強化するべき。理由を解説

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日本経済新聞社の調べでは、2020年度の大手企業における理系大学生の内定は前年対比2.7%増。これは近い将来AI やIoT対応の即戦力として理系大学生が期待されている現れです。

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新卒に限ることではありませんが、良い人材を必要な人数速やかに確保し、その人材が1日も早く本番稼働し、かつ会社に定着してもらいたいと考えるのは、どの企業でも同じことです。しかし履歴書や数回の面接からは人の本音が見えるわけもなく、入社してまもなく就活に入る人が後を絶たないという事実が。

今回は安全な人材採用方法として知られてきた、リファラルについて確認したいと思います。

リファラル採用

リファラル採用は社員採用方法のひとつで、自社の社員に適任と思われる候補を紹介してもらい、その中から選考するものです。就職エージェントや広告などの有償サービスの利用は不要ですから、採用コストを低くおさえられ、満足のいく結果が出やすいので、今日本でも注目が高まってきています。欧米ではすでにこれが社員採用手法の主流といえます。

コネ(縁故)採用とは違う

社員に候補を紹介してもらうという点から、コネ採用のバリエーションでは?と考えがち。しかし、リファラル採用はコネ採用のように、社内の役員や取引先などからのゴリ押しで「どうでも採用せざるを得ない」というものではないのです。

リファラル採用は、社員が自分の会社で一緒に働きたいと思う人を紹介するもの。また紹介されたからといって採用が確約されているわけではないため、紹介された人はその企業での通常の採用プロセス(採用試験や面接)に則って、公平で透明性をもって評価されます。

通常の採用プロセスであるからには、紹介された人もその企業で働くことが自分にふさわしいのかを判断しますから、応募を取り下げることだってあるでしょう。当然のことです。

リファラル採用が日本でも広まってきた理由

広まってきた理由は大きく2つで、まずは

1つ目は深刻な人材不足。

今後も生産年齢人口は減少の一路であることが、内閣府の調査でも明らかなので、優秀な人材の確保はさらに困難になっていくわけです。

2つ目は企業と社員双方での選択ミス。

そのため早期退職や生産性低下の問題が生じています。すでに日本でのリファラル採用は増えていて、転職者の場合には採用数全体の約25%。また自分が働く会社の魅力を友人に語ることが、社員のモチベーションを高めることに関係しているはずと期待も込めて、リファラル採用を始める企業もあるようですね。

リファラル採用のメリット

リファラル採用を行うことで、企業側には多くのメリットがあります。

1. 費用が他の方法より安く済む

リファラル採用では次の費用が不要になったり、低く抑えられます

  • 求人サイトへの掲載費用
  • 人材紹介会社やヘッドハンティングに支払う手数料
  • 就職フェアや転職フェアへの出展費用
  • 自社のWEBサイトや、WEB広告へのコンテンツを作成する費用

2. 企業にあった人材を採用できる

自社の社風や文化を知る社員からの紹介なので、採用するポジションに合致する人材を採用できる可能性が高くなります。従来の採用方法だと候補者の詳しいことまでは掴みきれませんので、実際に採用してみたらミスマッチだったということも。それでは採用した側も採用された側も不幸です。

リファラル採用の場合は、紹介してくれた知人や友人からあらかじめポジション情報を聞いて、納得した上で候補者は企業の面接に望みますし、企業側も書類審査以上の情報を社員から得られるので、外れることが少ないのです。

3. 入社後は長く働いてもらえる(はず)

リファラル採用に協力する社員は、自分の所属する会社を良い会社だと思っています。ですからそして採用後に社内に本音で相談できる友人がいることは大きいですね。

4.転職市場に出てこない人材を採用できる可能性が

全ての転職希望者が転職サービスに登録しているのではないので、転職市場にいない優秀な人材が実は世の中にはまだたくさんいます。リファラル採用ならどこにも登録がない人にもアプローチできるので、よい人材に単独できる可能性が高いのです。

もちろんデメリットもある

もちろんデメリットもある

もちろん物事には悪いこともつきもの。リファラル採用のデメリットはどんなことがあるでしょうか。

1. 人間関係が悪くなる危険が

まず第一に紹介した社員と紹介された候補者間の人間関係に配慮が必要でしょう。不採用になった場合に友情にヒビが入ってしまう、あるいは紹介した人が退職したら、紹介された側も連動して退職を検討を考えてしまうこともなきにしもあらずなので注意が必要です。

2. くたびれもうけになることも

リファラル採用は社員がメインになって活動するもの。企業がどのような人材やスキルを求めているのか、社員が正確に理解していないと、余計な時間と手間がかかるだけで、うまくいかないことになりかねません。

3. 採用される人材が偏る可能性が

リファラル採用では、社員と似たような人材が集まりやすくなり、社内に派閥のような集まりができてしまうことも。それが悪いとは言いませんが、いろいろな個性が集まることが企業をよりクリエイティブにするもの。よって企業では慎重に人材を選択し、自社の状況に合った人材を広く集められるように工夫が必要でしょう。

リファラル採用の報酬

リファラル採用の報酬

自分が紹介した人が入社すればご褒美がもらえるなら、会社が採用したい人を紹介したいもの。誰だってご褒美は嬉しいものです。アメリカでのリファラル採用の報酬相場は1,000〜5,000 US$とのことですが、現在日本の報酬相場は1~9万円。もちろん報酬制度がない企業もありますし、外資系企業の日本法人では、本社並みの報酬を提供するところも。口添えしただけで5,000US$!と驚きますけど、ヘッドハンターの手数料よりずっと安いのですよ。

違法にならないために

リファラル採用での成功報酬の支払いが、違法になるかどうか気になりませんか。

職業安定法の第40条の規定では次のように定められています

労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するものまたは募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合または第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。

つまり労働者の募集を行う社員に報酬を与えることは、原則として禁止されていますが、賃金や給与として支払う場合は認めるともありますね。

リファラル採用の成功報酬を与えることが違法とみなされないためにも、企業では次の点に注意することが必要です。

1. 就業規則や賃金規定にその旨記載

人材紹介を社員の業務の一部と位置づけ、人材紹介業務だけに報酬を与えていないことを明確にすべきです。社員が紹介した人材が入社した場合の社員に対する報酬額も規定しておけば、会計上も問題ありません。

2. 報酬額を高額にしない

高額すぎる額の報酬を提供すると、人材紹介だけを行ったと判断されかねませんので、プロのヘッドハンターの報酬よりも低いレベルにおさえることが必要です。紹介する社員はその道のプロでないことをお忘れなく。

成功の秘訣

成功の秘訣

リファラル採用は社員の協力なくして成功はありません。

問い合わせ窓口の設置し、紹介者に負担をかけない仕組み作り

リファラル採用に関するQ&Aを集約するために人事に専用窓口を設けます。相談する人が明確だと、紹介する側の負担も軽減されるものです。

窓口ではリファラル採用の一連のビジネスプロセスを書き出して、疑問が出そうな点は明示しておくのが良いでしょう。面談の日程調整は、できるだけ人事側で引き受けるべきですね。

求める人物について周知する

リファラル採用では、必要なスキルや経験年数、入社後に予定しているポジションなどを明確にし、周知徹底すべきなので、募集要項は、社員全員がいつでも参照できる状態にしておくのがよいです。

そうすれば社員がミスマッチな人材を紹介してくることも防げますし、社員と紹介された人にも不愉快な思いをさせることもありません。

社員には主体的に動いてもらう

会社が腰を低くして社員に協力を単に「お願い」したり、逆に上から目線で「命令」したのでは、リファラル採用はなかなか上手くいかないのです。「めんどうなタスクが増えた」と一度社員が認識してしまったら協力はしないでしょう。

しかし「人材採用の権限を皆さんにも付与します」、「一緒に働きたい人を会社に呼べば、もっと面白いことができるのではないでしょうか」と呼びかければ、共感して主体的に動いてくれる社員が出てくるはずです。

リファラル以外の採用手法の継続も必要

リファラル採用は万能ではないので、欠員補充など急ぎの採用案件には不向きです。既存の採用手法をバッサリ打ち切り、リファラル採用のみにするのではなく、まずは採用計画の一部分でリファラル採用を始めてみて、徐々にリファラル採用の割合を上げていく運用が望ましいと考えられます。そしてリファラル採用の導入初期では、期待通りに紹介が集まらないことも想定内にしておくべきですね。

うまくいかないときにはツールやサービス活用も

しっかり準備して始めたつもりなのに、リファラル採用がうまくいかないときには、ツールやサービスを導入してみるのも一考です。日本でも複数のリファラル活用ツールが登場しています。そのうちから2つ紹介します。

MyRefer(企業名も同じ)

国内初のリファラルツールで、導入企業者数No.1の実績を誇ります。HR Tech を用いたリファラル採用プラットフォームを提供。リファラル採用コンサルティングサービスもあり。人材会社のパーソルの関連会社です。

Refcome Teams (リクコム)

スタートアップ 向けのリファラル採用サービス。現在ベータ版が公開されています。

優良企業こそがレファラル採用に成功する

レファラル採用を始めるには、大手企業である必要はなく、有名でなくても大丈夫。でも企業自体が良い会社でなければ、どんな方法をとっても優秀な人材が寄り付くことはありません。当たり前ですよね、良い会社じゃなければ社員が自分の友人に「いっしょに働こう」と勧めるはずもありませんから。

やりがいのある仕事で、人間らしい働き方ができる職場ならば、リファラル採用で成功する可能性は高いのです。

リファラル採用を検討する場合には、まずは自社の社員に尋ねてみるところから始めましょう。この会社の良い所や、ここで働く理由などを聞いてみて、社員が自社で働くことにモチベーションがあるなら、同じように共感して働いてくれる人も必ずいます。

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