【RFPとは制作・開発依頼書】を分かりやすく説明|発注初心者が覚えておくべき必須メモ
システムの開発をしたいのだけれど、自分にその技術がないというような場合、専門業者に依頼しますよね。そんなとき、どうしますか?口頭で「こんな感じで、いい感じにまとめてよ」とイメージをふんわり伝えても、依頼された方もイメージがつかず、システム開発ができません。
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何をどんな風に作りたいのか、詳細の説明が必要になります。
もしあなたがカフェの店員で、「コーヒーをください」とお願いされたら、コーヒーを出すと思います。
けれども、商品を持っていったら「ミルクが欲しい」とか「エスプレッソはないの?」とか言われたら「最初から言ってくれよ」と思いますよね?
つまり、正しく注文するための確認事項は必須なのです。自分がイメージしているような良いものを提案してもらいたいのであれば「正しい依頼」をする必要があります。RFPとは正しい依頼をするための「提案依頼書」のことです。
広告業界でいう「オリエンシート」と似ていますね。RFPがなければ無駄な仕事が増えて、トラブルに発展してしまうこともあるでしょう。マーケティング1年生に不可欠なRFP(提案依頼書)について解説していきます。
目次
「RFP(提案依頼書)」を書くことのメリットとは?
前述しましたが、RFPとは「提案依頼書」のことです。発注元が開発会社へ依頼するときに作成します。
開発を依頼する際にこれがあるのとないのとでは、案件の進み具合が全く異なります。むしろ、ないと失敗すると言っても過言ではありません。RFPに最低限含めたい情報は4つあります。
1つ目はやってほしいことの前提を伝えることです。
システム開発の目的と言い換えてもいいかもしれません。これを共有することで目指すべきゴールへの認識の差異が生まれません。
2つ目は依頼する範囲です。
1つの開発会社で全て賄えるシステムであれば良いのですが、デザインとプログラムなど、専門分野を分けて依頼することも想定されます。どこからどこまでをお願いするのかを明確にすることで、無駄な作業を減らすことにつながります。
3つ目は重要なポイントを押さえることです。
ポイントを明確にすることで、抜けや漏れがなくなります。
4つ目は優先順位を伝えることです。
優先順位を伝えることで、開発過程で何を重視して、何を優先してほしいのか判断しやすくなり、開発もスムーズに進みます。これがないと、いちいち確認の連絡をしなくてはいけなくなり、その度に業務がストップしてしまうのです。
RFPは発注者も受注者も、お互いに無駄なく無理なく高品質な仕事をするために重要なのです。
なんでわざわざ書類にするべきなの?
RFPはなぜわざわざ書類にするべきなのでしょうか。打ち合わせの時に説明すれば良いのではないか、メモも取っているんだしそれで事足りる、と思うかもしれません。口頭なんて全くもってナンセンスです。
口頭で伝えたことが本当に全て伝わっていると思いますか?また、1週間後、1ヶ月後、メモに書き漏れていたことを覚えていると思いますか?難しいですよね。
依頼内容を口頭で聞いた営業担当者が開発責任者にまた口頭で伝え、開発責任者が開発担当者に口頭で伝える。まるで伝言ゲームのようです。伝言ゲームは途中で違うニュアンスに変わったり、別な単語にすり替わったりすることもしばしば起こります。
プロジェクトに関わる人数が多ければ多いほど、情報を共有するためのRFPは重要になるのです。逆にRFPがないと、言った言わないの水掛け論になってしまったり、無駄な仕事が増えてトラブルに発展してしまうこともあります。
RFPがあればすぐに見積もりが作れるので他社との比較もしやすくなりますし、全員で同じ認識(目的・目標)を持つこともできます。また、出来上がったものについて依頼通りなのか照らし合わせて確認することにも使えるでしょう。口頭ではなく文書にすることで、依頼内容の証拠が明確になり、不要なトラブルを回避することにもなります。
RFPでは、この項目を必ず盛り込もう!
RFPには、簡単に言うと以下の5点を記載します。
- どういう意図で
- 何を
- いつまでに
- どうやって
- いくらで
それぞれもう少し詳しく考えていきましょう。
「どういう意図で」とは
そのシステムは何を目的にして作るのか、ということです。例えば「売り上げを上げるために」「ユーザーの利便性を高めるために」「業務効率を向上させるために」などが挙げられます。
「何を」は
どんなことを実現したいのか、です。機能を充実させたいのかそれとも効果を高めたいのか、はたまたもっと品質の高いものにしたいのか、目指したい具体的な指標をまとめましょう。
「いつまでに」は
みなさんのイメージ通り、締め切りについてです。いつ「公開」するのか、「運用開始」は?「テスト運用開始」、「ユーザーテスト開始」は?など、スケジュールと合わせて、具体的な中間目標を記載しましょう。
最初に立てたプランに対して、ギリギリの日程ではなく1.2倍程度日程を巻いた状態でスケジュールを組み立てましょう。なぜなら、想定外のことは必ず起こるからです。そうなっても最終的な締め切りが担保されるようにしなければいけません。
「どうやって」とは
技術などを指します。「ワードプレスで」「フルスクラッチで」「カートシステムで」などより具体的に指示しましょう。
「いくらで」は
想定している予算の目安です。先に予算を伝えることで、現実的な提案を受けることができます。「500万円~600万円で」「1,000万円で」「できるだけ800万円で」など、相手企業との関係性も加味してフレキシブルに記載しましょう。
RFPはシステム開発をスムーズにそして順調に進めるために必要なコミュニケーションツールです。意図を伝えることで、相手は先回りしてくれます。
実現したいことを伝えればその範囲で最大限の効果を期待することができます。つまり、相手のポテンシャルを最大化するためにもとっても便利なのです。
架空のお手本RFPでシミュレーションしていきましょう
では実際にRFPの具体的な例を作ってみましたので一緒に見ていきましょう。
現状(与件の整理)
ここに記載するのは以下の要件です。
- 社名(事業内容なども記載してイメージしやすくする)
- 現状(実績/体制/規模感など)
- プロジェクトの背景
- 自社の立場(業界・シェアなど)
もっと具体的に書いていくと、このようになります。
社名:株式会社ABC通販
カラフルな文具のEC販売が主業。楽天・YAHOOショッピング、自社ECサイトで販売中。
現状
- 年間売上:70億円
- メーカーと共有の受発注システムと基幹システムを連携し、在庫管理など行う。
- 販売管理は「EC売上コントロール」という販売管理ASPを利用している。
プロジェクトの背景
販売額の増加にともなって、現運営体制に無理が生じてきている。基幹システムや、受発注システム、商品DBなどを網羅するシステム開発が必要かも。
自社の立場(業界・シェアなど)
業界No.1は「満足ステーショナリー」というサイトで、商品のカブリ率40%ほど。商品点数・商品バイイング力では弊社が勝るものの、ロジスティック部門が強固なため次点になっている状況。
趣旨(どういう意図で)
次にRFPに必要となるのは発注する趣旨についてです。ここでは次の3つが必要になります。
- 実現したいこと
- そのために必要なもの
- ゴール
「実現したいこと」では希望している状態・状況を提示します。「そのために必要なもの」では技術/仕様/受託会社の規模など具体的に書いていきます。「ゴール」では途中ゴール・最終ゴールなど中間目標などを刻む方法も良いでしょう。
では具体的な例を使って見ていきましょう。
実現したいこと
いかに「発送スケジュールを短くするか」を重視したい
そのために必要なもの
- 物流では、アウトソース会社を変えることで発送短縮。
- 「注文から発送」のタームを縮めたい。
- 在庫数をリアルタイムでサイトに連携表示させたい。
基幹システム、ECシステム、商品DBなどを連携させるため、それにともなう技術をもつ開発会社に依頼したい。※「フロントエンジニア部分」は別会社に依頼する。
ゴール
- ★2019年中に「在庫システム」は3サイトで連携したい。
- ♥2020年10月までに基幹システムをリニューアルし、「商品在庫・発注・販売」をほぼ自動化したい。
予算
「ここまでならいくら」「ここまでできたらいくら」など金額の幅があるとBESTです。もしくは、「◯円で可能ですか?」など投げかけても良いでしょう。
2の趣旨で例示したゴールを引用すると、下記のように表現できます。
- ★部分:800万円ほどの予算感
- ♥部分:まだ想定ができていませんが、2,500万円までを考えています。
スケジュール
「必須」なのか「希望」なのかをはっきりと記載しましょう。これは受注者にどの程度守るべき期限なのかを認識してもらうためです。
同じく2の趣旨で例を引用します。
- ★部分:多少の前後アリ
- ♥部分:必須
特記事項
最後に特記事項を付け加えます。例えば、「日付はマストではありませんが、仕様はマストです」など、相手が優先順位つけやすいことを記載します。
最後に
RFPについて参考になりましたでしょうか?RFPは多くのメリットがあり、スムーズな業務進行には不可欠な書類です。
項目を網羅していることが大切で、もし難しい、わからないということがあれば受注先やプロの人たちと相談しながら進めても問題ありません。
まずはRFPをフォーマット化し、分かる部分から記載してみましょう!
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