モバイルマーケティングの過熱と流行と傾向と未来

モバイルマーケティングの過熱と流行と傾向と未来

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モバイルマーケティングの定義

まずはモバイルマーケティングの定義を確認しましょう。モバイルマーケティングとは、次のモバイル端末とマルチチャネルとのリンクで、ユーザーを獲得するマーケティング戦略です

  • モバイル端末:スマートフォンやタブレットなど
  • マルチチャネル:Webサイト、Email、SMS/MMS、SNS(ソーシャルメディア)、モバイルアプリなど

スマートフォン経由というところから、モバイルマーケティングはB2Cがメインと思われがちですが、多くの企業ではB2Bでも重要視しています。

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過去にインターネットを軽視していた企業は、B2B対応で他社に大きな遅れをとりました。B2Bに対するモバイルマーケティングでは同じ過ちを起こさないようにしたいという表れです。

2011年にはモバイル端末全体の出荷台数がPCの出荷台数をを超え、2014年にはモバイルユーザー数がPCユーザー数を超えました。モバイル端末は人にとってオンオフ両方の生活で、切り離せないものとなりました。

モバイルB2Bマーケティング

モバイルB2Bマーケティング

モバイルB2Bマーケティングは、B2Cの対応と比べるといくつか大きく違う点があります。

第一に留意する点

広告などでマーケティングの周知を行うときには、ターゲットを絞り込んでおく必要がある点です。さもなければ無関係な相手に、広告代を無駄に使う結果になる場合があるからです。

第二の点

特に大企業では発注者、支払者そして利用者が一致しないことが多く、それぞれを納得させられるような根拠・理由づけが必須な点です。

モバイル端末の非常にパーソナルな画面で、全員の合意をその小さなモバイル上で取り付けるのは難しいのですが、関係者全ての合意があって初めて商品あるいはサービスを買ってもらえるのです。

話は変わりますが、ある調査からB2Bマーケティングにおけるインフルエンサー(購買に影響を与える人)の半数が、ミレニアル世代であることが明らかになっています。ミレニアル世代とは1980年代から2000年の間に生まれた世代を指します。このことからモバイルB2Bマーケティングがターゲットとする年齢層が、今までの常識よりかなり低いことになります。

次にモバイルマーケティングが広まる前に登場した、モバイルに関する概念を紹介しましょう。

モバイルファースト

モバイルファーストは、2009年にYahooのサイエンティスト兼ヴァイスプレジデントであったMarc Davis氏(http://marcdavis.me/aboutme/intro)が最初に唱えはじめたという説があります。もっともこれは確実な情報ではありませんが、2009年4月にサンフランシスコで開催されたWeb 2.0 Expoにおいて、同氏自身が初めてモバイルファーストについて語ったことは事実です。

PC画面を単に携帯電話の小さな画面に移植するだけでは、もはや十分ではありません。ついにモバイルファーストを開発する時が来ました。モバイルファーストとは、モバイルサイトならではのユニークなものを制作することなのです。

同氏の発言からも分かる通り、2009年のアメリカでモバイルといえばiPhoneではなく、まだBlackberryに代表される、画面の非常に小さい携帯電話の時代でした。ですからこのような表現がされたと考えられます。Davis氏のこの発言により、モバイルファーストという言葉が、多くのIT企業に影響を与えました。

開発手法の方法として提唱されたモバイルファーストでしたが、次第に変化を遂げるようになったのは2013年-2014年のことでした。この頃からWeb制作には、デバイスの画面サイズに依存しない手法である、レスポンシブデザインを前提とすることが一般的になり、モバイルファーストにコンテンツマーケティングの概念が加わるようになりました。

モバイルサイト設計はもはやPCサイトからの移植ではなく、モバイルサイトを優先して制作されることは当然になったために、更にコンテンツの中身が問われるようになりました。欧米でMobile First Content Strategy(モバイルファーストコンテンツ戦略)が一般的に使われるようになってきたのもその頃でした。

モバイルベスト?モバイルファーストじゃなくて?

モバイルベスト?モバイルファーストじゃなくて?

モバイルファーストの次に現れたのが、モバイルベストです。モバイルベストは、ユーザーがアクセスをする端末や配信チャネルを問わず、常にユーザーのニーズに最も合った状態で情報を届ける概念のことです。

つまりモバイルベストでは、チャネルや端末を単体で捉えませんので、優れたモバイルアプリを制作することやモバイルサイトの最適化だけで完結することはあり得ません。

今では1人のユーザーが朝の時間帯には通勤電車の中でスマートフォンからインターネットにアクセスをしてニュースを確認し、昼間の時間帯には勤務先でPCで訪問先のWebサイトを閲覧し、夜には自宅でタブレットからemailを配信するといったケースは珍しくありません。

また同一の端末からのアクセスであっても、Facebook, Instagram, Linkedin, LINEなど複数のSNSプラットフォームを使い分けているケースもごく一般的なことです。これはミレミアム世代だけではなくて、50代以上のユーザーでも複数の端末を使い分けていることがある調査から明らかになっています。

モバイルマーケティングはKPIと作戦が大切

モバイルマーケティングはKPIと作戦が大切

ここで驚くべく調査結果を共有しましょう。アメリカ市場ではモバイルアプリ戦略を持っている企業は、モバイルアプリをリリースしている会社の3分の1というとのことです。つまりほとんどの企業が戦略を持たぬままモバイルアプリを作成しているということなのです。

これではパフォーマンスを評価する評価指標(KPI)を持たなければ、効果を測定することさえもできません。

今のマーケターに求められるのはマーケティング活動の「結果」です。つまりポテンシャルの高い顧客にどのくらいリーチでき、それをいかに迅速に営業部門に渡せるかが命題です。投資対効果をにらめ合いながら、数値での貢献度も示さないとなりません。想定を超える成果が期待できるモバイルマーケティングも、効果的な戦略を立てることが必要です。

効果的なモバイルマーケティング戦略を立てるポイント3つ

効果的なモバイルマーケティング戦略を立てるポイント3つ

モバイルマーケティングの戦略を立てる上で、必要なポイントが3つあります。

大局的に考える

ユーザーは様々なチャネルやデバイスを使い分けていますので、各チャネルから別のチャネルへとどのように情報を連携させるかを考えましょう。メッセージを各チャネルと個人に合わせてどう変えるべきかの判断が大切です。

適切なターゲットを定める

ロイヤリティやエンゲージメントの継続的な確保が見込めないユーザーに無駄な労力をつぎ込まないように、ターゲットを定める必要があります。無駄を避けるためにはあらかじめ調査を行い、ターゲットの確実なプロファイルを作成しましょう。

そしてエンゲージメントのレベルを高めていきましょう。ターゲットが間違っていなければ、費用を抑えながらも新規のユーザー獲得ができるはずです。

長期的に取り組む

優れたモバイルマーケティング戦略は、人々が企業のブランドを認知した瞬間から、ユーザーまたは顧客に転換した後まで長期間にわたり、ユーザーのエンゲージメントを維持することを視野に入れたものです。

その戦略には、獲得、エンゲージメント、維持、再活性化(休眠顧客対策)という顧客のライフサイクルの主要なステージが必ず含まれるので、長期的な取り組みになります。

欧米でモバイルマーケティングが進歩したわけ

ニュースになることは滅多にありませんが、モバイルB2Bマーケティングはアメリカでは広く活用されています。

日本では営業マンが顧客先(または見込み客)を訪ねて成約することがいまだにメインプロセスですが、アメリカのように国内でも時差がある広大な国では、移動も簡単ではないので、むしろ自分でインターネット経由で必要な情報を取りに行き、営業マンに会わずとも発注する方法が好まれるからです。

成功しているアメリカのB2Bマーケティング部門では、どのようにモバイルを活用しているのでしょうか?いくつかご紹介します。アメリカのモバイルマーケティングの特徴としては、SMS (ショートメッセージサービス)を頻繁に利用している点です。

  • 祝日やブラックマンデーなどのイベントにちなんだキャンペーン
  • モバイルのロイヤリティプログラムとのタイアップ
  • SMSを介してマルチチャネルで顧客との接点を増やし、DMへの登録を促す
  • リエンゲージメント広告(休眠ユーザーへのモバイルアプリ再利用喚起広告)を出す
  • モバイル端末限定の特典を提供する

日本のモバイルマーケティング事情

日本のモバイルマーケティング事情

存知の通り日本のモバイルマーケティングは、市場の特殊性からかなりの独自進化を遂げています。つまり日本では有効な手法が、海外では利用価値がないことが多いというわけです。

すでにお話しましたが、日本企業がインターネット経由で商品やサービスの情報を収集して、営業マンに会わずして発注し購買することは、いまだマイノリティです。B2B、B2C問わず相手の顔を見ないと信用しないという根強い文化があるからです。

アメリカの活用例の中で日本でも取り組んでいる例としては、まずはモバイルのロイヤリティプログラムの活用です。日本ではポイントシステムといったほうがわかりやすいです。

ベルマークの時代から日本人は何かを収集して得点を得ることが好きなので、ポイントシステムは完全に日本市場にハマりました。リエンゲージメント広告では、LINEが2018年からサービスを始めています。

モバイルマーケティング は今後どうなる?

モバイルマーケティング は今後どうなる?

モバイル端末の普及が飽和点に近づき、企業では次に何が来るかを考え始めています。さらにはUI(ユーザーインタフェース)がまったくゼロになる時代が来るという予測も出ています。

もしその時代が来るとモバイル端末の画面があまり使用されなくなり、現在のスマートフォンを構成する要素は日常のあらゆるデバイスに埋め込まれ、搭載されていくという見方です。

モバイルでのUIゼロ化が実現するシナリオでの最有力ツール候補は音声と言われています。しかしこれは多くのユーザーがGoogle HomeやAmazon Echo などのスマートスピーカーに代表される音声テクノロジーを受け入れられるか否かにかかってきます。

UIがないデバイスでは、音声コマンドによる操作がメインになりますので、音声端末がないことには成立しませんので。

スマートフォンといえば、今はポケットに入れて持ち歩くものですが、将来のスマートフォンは、今とはまったく姿を変えている可能性があることが想定できます。それは、進化したスマート眼鏡のようなものになっているかもしれませんし、現状のモバイルを構成する要素が分散し、体のあちこちに目立たないよう身につける形になるかもしれません。

モバイルマーケティングでは今以上にいかなる端末でもストレスフリーで、情報を配信できることが必要となるでしょう。

 

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