マーケ担当必見!WEBと違う、ラジオ広告の適正CPAって?
ラジオ広告って意外と経験者が少ないので、情報がウェブ上に少ないですよね。だから今回は敢えてラジオ広告にフォーカス!
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広告は出せばいいというものではなく、当然費用対効果を考えなくてはいけません。マーケティングの世界では、コンバージョン1件あたりにかかった広告費用である・CPA(Cost per Acquisition)や、受注1件あたりにかかった広告費用を表す・CPO(Cost per Order)がとても重要。
その先にはKPIがあり・・・。今回は主なメディアの中でも特に一般的なイメージが薄いラジオ広告のCPAとCPOについて説明していきます。
目次
WEB以外のメディアの特徴
マーケティング担当が『CPA!CPO!』と連呼するのは主にネットメディア分野。そもそもこれらの用語はネット広告業界で生まれたようなところがあり、当然、ネット広告はそれらの指標についてとてもコスパが良いです。
ただ、ネット広告担当者は他のメディアに疎い事が多いです。オフラインメディアについクライアントに「WEB以外の広告手法についてはどうなの?」って聞かれた時、「このメディアはこのような特徴と強み弱みがあります」とパッと答えられるようにしたいものです。
そこで、この項目ではネットメディア視点でオフラインメディアについて解説していきます。
ではまず、テレビです。
テレビは4大マスメディアの中で最も影響力が大きい媒体です。インターネットメディアの需要が高まり、テレビの視聴率が下がり、効果が低下しているとは言え、まだまだ主流メディアとしての強い影響力を維持しています。
テレビの広告料は時間枠によっても異なりますが、金額が非常に高く地方局でも数百万円は出さないと厳しいでしょう。
その分、新規顧客の獲得数も多く見込めなければCPO・CPAが赤字になってしまうリスクがあります。ただ、テレビ広告はブランディングの意味合いも大きく、テレビに広告を出せることが一種のステータスとして捉える広告主も多いです。「テレビで話題のこの商品!」みたいな触れ込みはネットメディアでよく見かけるLPですよね。
2つ目、新聞広告です。
新聞の現状、特に若年層への影響力が低下しています。しかし、高い年齢層や比較的富裕層などは新聞購読率が高いので、これらの層にアプローチしたい場合は効果的です。
また、新聞は最も古いメディアとしての権威がありますので、「新聞に掲載された」ということが企業としての信頼につながる場合もあります。
3つ目、雑誌です。
雑誌はそれぞれ読者層が細かくカテゴライズされているため、特定のターゲットにマッチングした広告の場合、高いCPO・CPAとなり、広告として非常に効果的です。
しかし、雑誌は近年とても売上が減少しているメディアで、廃刊も増えているため、継続的な広告効果を期待する場合には雑誌の売上確認を含めたマネジメントをしっかりしていく必要があります。
雑誌広告も雑誌のイメージとコラボレーションしたブランディング広告としての位置付けが強く、CPO・CPAにて広告の費用対効果を考えると割高に感じるはずです。
変な言い方ですが、ラジオ広告を出向する為にラジオ広告を知るべきと言っているんではないんです。その理由はAIに隠されています。
なぜラジオというメディアの特徴を知っておくべきなのか
旧4大マスメディアの最後の一つはラジオです。ラジオは少し前まではオワコンメディアとして認識されていました。
ところが、近年「音声メディア」として見直されているのです。音声メディア再評価の背景には「Google Home」や「Amazonエコー」といったAIスピーカーの存在があります。
一言声をかけるだけで音楽をかけてくれたり、天気やニュースなど調べ物をしてくれるため、何かをしながらの「ながら作業」にはもってこいのメディアとなりました。
音声SNSとして注目されているヴォイシーも音声メディア再評価に一役買っています。そしてヴォイシーに限らず、音声のデジタル配信の幅はどんどんと広がっています。
さらに海外では既に音声デバイスに音声広告が挟まれるようになっており、日本でも遠くない将来音声広告が普及する事でしょう。
出典:株式会社富士経済 「住宅分野、業務分野、エネルギー分野向け AI搭載機器、AI活用サービスの国内市場を調査」
ここまで市場が拡大すれば、企業もメディアの一つとしてAIスピーカーを無視することはできなくなるはずです。
実際、AIスピーカーと相性の良い無料音楽アプリ「Spotify」では音楽の合い間にCMが流れますし、音楽ツールとしての活用もされている「YouTube」で定期的なCMが挟まれています。
これらは現時点では動画CMが主流ですが、音声メディアとしての活用が増えてくると、俄然音声広告の需要が増してきます。
これだけ注目されている音声メディアの原点ともいえる存在がラジオなのです。音声広告はアプリやWEBツール、AIスピーカーと共に普及していくことが考えられるので、出稿に関してはWEB広告担当が受け持つ領域になることは当然の流れ。
となると、WEB広告担当者はラジオ広告の効果や特徴を知っておかなければ、適正なCPOを測ることができなくなってしまいます。
音声広告がメジャーになってからでは遅い!その前にラジオ広告について学んでおく方が得策ではないでしょうか。
ラジオだけに限らず広い意味で音声広告のノウハウを持っておけば、重宝される時が来る!はず。です。ただ、ラジオ広告を使っている人は居るのか?実際の状況はどうなのか?次の項目で解説していきます。
そもそもラジオって今も広告活況なの?
WEB業界にいる人にとって、オールドメディアであるラジオは身近ではない存在かもしれません。たぶん、自分自身もラジオを聞かないし、ラジオについて知らないし、実際オワコンなんじゃないかと考えるのも無理はありません。
実際、WEB広告が右肩上がりに成長していた10年前の広告業界では4大メディアの中でラジオが最も低い広告売上のラインでした。
しかし、ラジオというメディアがオワコンなのかと言われれば、それは「NO」です。ラジオでは今この瞬間も広告が流れています。
テレビと比較してもチャンネル数は圧倒的に多く、テレビ局や新聞社など他のメディアと資本関係にあったり提携していたりするため、今も重要なメディアポジションに置かれています。
ラジオ広告の特徴として、1回あたりの広告媒体費が安いということが挙げられます。ここが今回の肝です。思っているよりとにかく安い!!
ひと枠おおよそ5万円からという他メディアからすると破格の価格です。地域に特化したコミュニティラジオの場合、数千円で出稿も可能です。
更に、コミュニティラジオといえども、インターネットを通して全国に配信されていたりするので広告効果は侮れません。
広告費が安い上に特定のターゲットに対して届けることが可能なためコンバージョンや受注に繋がりやすく、ラジオはWEBよりも費用対効果が高い場合があります。
広告費が安いということは、儲けの小さな案件になるため、大手広告代理店が狙ってこない領域になるため、中小広告代理店にとってはチャンスとなる市場です。
実際、ラジオの広告を月に数千万円ほど取り扱っている中小広告代理店もあるほどです。
最盛期と比較すればラジオ広告は下火になっているかもしれませんが、まだまだ活況であると言えるでしょう。そしてこれからも伸びていく可能性も秘めています。
ラジオの週間接触者率の推移
「全国個人視聴率調査」NHK文化放送研究所」NHK文化放送研究所
出典:https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20180301_5.pdf
次の項目ではラジオがどういう場面で効果を発揮するかについて考えていきましょう。
ラジオ(音声)広告ってどういうときに効果を発揮するの?
ラジオは唯一の「耳だけで判断する」広告メディアです。テレビやWEB動画広告も音声は大切ですが、何よりも目から入る情報の方が重要です。動画広告と音声広告は映画と小説の違いと似ているかもしれません。
“百聞は一見にしかず”ということわざがあるように、ビジュアルがあると、商品のイメージやサービスが非常にわかりやすいのですが、どうしてもイメージがそのビジュアルありきになってしまいます。
一方で音声のみの場合は具体的に伝わりにくい反面、ビジュアルがない分「想像や期待が増幅」されるという特徴があります。
また、ラジオはどんなメディアよりも感情を揺さぶるメディアだと言われています。音のみの情報は想像力を掻き立てるため、自分の最も都合の良いイメージを思い浮かばせます。
それは自分の好みの情景だったり、過去の記憶とマッチングしたりするので、自分自身の感情と結びつきやすくなります。つまり、広告がいつの間にか自分ごとになってしまうのです。
ラジオのリスナーの特徴として、聞く人は毎日習慣のように聞くという点が挙げられます。
- 家事をしながら
- 車の運転をしながら
- 勉強しながら
特定の好きな番組を毎週だったり、BGMがわりにとりあえず流していたり。ラジオだけに集中して聞くというよりも、何か他のことをしながら聞いているという人が多いかもしれません。
そんな日常のシチュエーションに、自分ごととしてイメージを膨らまされた広告を毎日繰り返し耳にしていたらどうでしょうか?
きっと無意識のうちに脳裏に刷り込まれていることでしょう。CMソングやキャッチコピーをつい鼻歌で口ずさんでしまうかもしれません。
ラジオは日常生活の中で毎日流れてくるため、繰り返しの効果が高いメディアであるとも言えます。繰り返し耳にすることによって、刷り込みの効果やブランディングへの効果も高いため、企業イメージや商品イメージを固めていきたいときに有効です。
そして、広告費は高額ではないため、起業したての会社でも零細企業でも検討の余地は十分にあるはずです。
ラジオへの期待感はそれだけだはありません。ネットでラジオを聴くという新しい層も生まれています。
ラジコやラジオクラウドといったサービスが出てきており、スマートフォンで音声メディアに接する機会も増えてきています。
ラジコのユーザー数はここ2年間で2倍に伸びており、若年層のユーザーのみならず、50代以上のユーザーも増加しています。
直近2年間のradikoアプリユーザー数推移
出典:radiko、2年間でユーザー数倍増の軌跡
https://www.valuesccg.com/knowledge/report/marketing/043/
ラジオという概念が変わってきているんですね。
少し、ラジオ広告に前向きな気持ちになりませんか?次の項目ではラジオとWEBの比較をCPOを軸に解説していきます。
ラジオとWEBの比較。CPOはどれくらいなの?
ラジオに向いている商材がある
写真や映像で商品が分からなくても、言葉で分かる商品に関してはスキップされる率が低いこともあり高い効果を発揮します。
例えば単品リピート通販では、商品が絞られていてかつ以前も買ったことがあるリスナー層をメインターゲットにしているので、ビジュアルが分からなくても商品を認識することができ、効果を発揮します。
また、リスナー層の年齢層が高いこともあり、シニア向けの健康食品でも活用されるケースが多いです。シニア層はまだまだWeb媒体に接しない人も多いので、ラジオ広告の方が効果が高いことすらあるのです。
CPOを比較すると、商材によってはWeb広告では10.000円前後の商品はラジオ広告だと7,000円前後に引き下がるケースもあります。
媒体費が安い
ラジオ広告は媒体費が比較的安いメディアの一つです。関東圏であれば1枠5万円程度が目安になります。地方であれば1枠2~3万のケースもあります。
ですから、「数打ちゃ当たる」と大量出稿されるケースも多くみられます。媒体費が安いので、リスナー層にうまく刺されば大きな効果を安く得ることができます。
ラジオの大量出稿は手間がかかる
一方でラジオの大量出稿はなかなか手間がかかるものでもあります。ターゲット層を想定して、CMを制作し、ラジオ局や番組を選定して放送局へ時間取りの発注を掛けなければなりません。
また、反響の集計も手作業でやらなければならないことも多いのでWebより手間がかかります。ですから、通販広告だと、効果が販売単価や労力に見合わない可能性もあります。
ラジオ広告の良さを活かすなら刷り込み・ブランディング
ラジオは刷り込み効果が高いメディアです。ラジオ広告の良さを一番活かすのは刷り込み効果、またそれを利用したブランディングなのではないでしょうか。
AIスピーカーやラジオアプリの広まりに応じて、音声広告によるブランディングの価値を考える時期に来ていると言えます。
まとめ
WEB広告は今後ますます重要性が高まっていくことでしょう。その一方で、一度は下降気味であった音声広告も新しい媒体やソフトの登場によって見直され、注目されてきています。
広告は目的に見合った広告手法の選択が重要です。ブランディング効果はCPAやCPOだけでは考えられません。
WEBではない別な選択肢や広告手法を知っていることで、クライアントへの提案の幅もきっと広がります。この記事があなたのアイディアのちょっとプラスになれば幸いです。
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