デジタルサイネージ方位網。ネットワーク型がカギ。

デジタルサイネージ方位網。ネットワーク型がカギ。

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看板やポスターなどの活字印刷、ラジオ・テレビ、インターネットと進化した情報メディアの第4の波といわれるデジタルサイネージ。今や街を歩けばデジタルサイネージを見かけない日がありません。

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電車ではドアの上にある画面に行き先が示され、地下通路には大画面のディスプレイが並び、イベント情報や企業のCMが流れ、アパレルショップの店頭には一押しのコーディネートが表示されているといった盛況ぶりです。

デジタルサイネージとは

デジタルサイネージとは

一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムの定義によれば、デジタルサイネージは屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ネットワークに接続したディスプレーなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステムであるということ。簡単に言えば電子看板です。

その設置場所やディスプレイのサイズに対して、縛りは何もありません。表示するコンテンツは静止画、動画ともにあり、広告だけではなくビルのフロア案内や、病院などでの受付番号表示など、用途は広いのです。

今やデジタルサイネージがレガシーといえる情報メディア(看板やポスター、テレビなど)に代わり活用されるようになりました。

デジタルサイネージの歴史

デジタルサイネージが初めて登場したのは、1970年代後半から1980年代。アメリカのアパレルショップが店頭に置いたテレビで、ファッションショーの映像を流したことが始まりと言われています。

1999年には米ラスベガスに大規模なデジタルサイネージが設置されましたが、これが都市部での初期の導入例です。2000年頃には今では当たり前となった無線LANが登場し、2007年にアップルからiPhoneが発売され、スマートフォンやタブレットなどの小型のディスプレイが普及したので、デジタルサイネージがより一般的になるベースができあがりました。

日本におけるデジタルサイネージのはじまりは、1950年代のテレビ放送開始に伴う、テレビCMの放映でしょう。 その後1976年に発売されたVHSビデオデッキの登場により、店舗等でのVHS再生による宣伝が行われるようになりました。現在でもそれがDVDやSDカードなどをディスプレイで再生する販促に受け継がれています。

1980年に大型ビジョンの代表格となった「新宿アルタビジョン」が登場しました。もっとも当時の日本には、デジタルサイネージという言葉はなく、ビデオサインなどと呼ばれましたが。

デジタルサイネージの「革命」は、1993年に発明された青色LEDの登場でした。LEDディスプレイの開発が可能になったことが、現在のデジタルサイネージへ大きな影響を与えましたし、USBやHDMIを利用して簡単に発信できるようにもなりました。

デジタルサイネージ本来の意味での初期の事例として有名なのは、JR東日本による「トレインチャンネル」でしょう。2002年の山手線導入を始めとして、2006年の中央線、2007年の京浜東北線へと順調に普及していきました。電車内のドア上部に付いている2つ並んだディスプレイは、今では馴染みすぎて、存在を忘れるほどですね。

デジタルサイネージの仕組み

デジタルサイネージの仕組み

デジタルサイネージがどのように作動しているかを基本的な仕組みについて、お話ししたいと思います。

スタンドアロン型

PCで作成したコンテンツ(静止画・動画)を、ディスプレイに接続した再生装置により表示する方法。作成したコンテンツはSDカードなどに保存し、再生装置に直接接続しますので、ネットワーク不要で、機器があればすぐ稼働できるので、導入しやすいのです。企業のオフィス内でに設置し、社内の情報共有に利用したり、単独のショップなどでの運用に適しています。

ネットワーク型

インターネットや無線LAN経由で、デジタルサイネージにコンテンツを配信して表示させる方法。
複数のデジタルサイネージの表示内容を、遠隔操作で一元管理することが可能です。そのためチェーン展開しているお店での利用に向いています。

インタラクティブ型

インタラクティブ型のデジタルサイネージでは、利用者の操作により表示される内容が切り替えが可能。似通った製品がたくさんあるお店では、それぞれの違いを顧客に理解してもらうために活用するのが便利です。

デジタルサイネージ市場は拡大の一言

デジタルサイネージ市場は拡大の一言

富士キメラ総研の調査によれば、デジタルサイネージ市場は最近の設置数増加や、ニーズの多様化からますます拡大傾向にあります。加えて2020年開催のTOKYO2020 (オリンピック・パラリンピック)を目した、デジタルサイネージの新設、追加、置き換えが増加するとともに、機能面も多言語化・高解像度化が進んでいるのです。

デジタルサイネージの2018年国内市場は、前年の2017年比115.4%の1,659億円に成長しました。そのうちシステム販売/構築が699億円、コンテンツ制作/配信サービスは285億円、デジタルサイネージ広告は675億円を占めています。

中小チェーン店ではクラウド型配信サービスの利用が増え、多言語対応ソリューションや防災・減災ソリューション、行動分析・販促ソリューションなどの関連ソリューションとの連携が加速したので、市場は順調に成長しているのです。

これに連動してサイネージ向けの大型モニターの需要も増加。サイズ別・解像度別にその動向を見ると、2018年の50インチ以上ディスプレイは、2017年比147.2%の51,800台、2018年の4K以上ディスプレイは3.6倍の4,310台に増加しました。

日本のデジタルサイネージ市場の2015年から2020年までの年平均成長率は30.9%と予想されています。現在最も注目されているであろうAI市場の成長率が、同じ期間で46.2%なので、それと比べてみても、かなり高い成長率といえます。その先2025年のデジタルサイネージ全体の市場規模はなんと3,186億円にまで達すると推測されるのです。これは驚きですね。

交通広告、ビルボード広告、インストアメディア広告などのデジタルサイネージ広告は、今後も交通広告中心に展開することが考えられますし、家電量販店やショッピングセンターなどの店舗壁面、高速道路や幹線道路沿いではビルボード(屋外ビジョン)の設置が進むでしょう。そしてインストアメディアでは、ターゲティング(広告)メディアとして、デジタルサイネージの新規設置増が見込まれています。TOKYO2020年開催までの期間、情報メディアの変化に目が離せませんね。

こんなところにもデジタルサイネージが

こんなところにもデジタルサイネージが

電車広告の先行で浸透してきたデジタルサイネージですが、もっと身近なところで使われています。何気なく見ていたけど、実はデジタルサイネージという実例をいくつか紹介しましょう。

マンション内の防犯掲示板で情報共有やセキュリティ

マンション内の掲示板のスペースには限りがあり、通知の紙を張る人手もかかります。これを電子化することで手作業をなくすとともに、スペースの制限がなくなりより多くの情報をリアルタイムに発信することが可能になるのです。さらに防犯カメラと連動で、マンションに住む住民の安心感を高めることもできます。

病院待合室の端末にiPad型デジタルサイネージ

iPadを病院内での告知やコミュニケーションの媒体として利用すると共に、検査内容の事前案内や問診などが、待ち時間を利用して行えるようになります。もちろんiPadでインターネット閲覧も可能です。また病院の職員は、訪問者(患者)の閲覧状況については、CMS(コンテンツマネジメントシステム)で常に確認ができるので、活用分析が容易にできるのもメリットです。

デーパートやショッピングモールなどでの、タブレットによるタッチサイネージ

顧客に合った製品をタッチで選択できるデジタルサイネージ。Q&A方式で製品を紹介することや自社で用意したコンテンツの他に、外部データを用いた星占いやニュースなどの配信も可能です。コンテンツ更新にはWi-Fiを使って行います。そしてコンテンツの配信システムは複数台で一括管理をすることができ、画面切り替えやタッチ操作に対応した、表現力豊かなコンテンツを配信できることも魅力的です。

大きな変革があちらこちらに

大きな変革があちらこちらに

屋外広告や交通広告などが代表的なOOH(Out-of-home advertising) は、変革の時を迎えようとしています。もともとOOHといえば、ラッピングバスや、電車の吊り広告で知られています。

OOH市場の大きさにおいては、日本は中国、アメリカに次ぐ世界3位の市場なのですが、OOH市場におけるデジタルサイネージの占める比率を見てみると、実はまだ全体の1割程しかありません。

2019年中には、この比率は2割超まで伸びると予測されていますが、同時期のグローバルでの平均予測が39.7%ですから非常に低い割合です。数字だけ見てもOOH市場において、デジタルサイネージはまだ存在感を増すことが間違いなさそうです。

「あ、雨が降ってきちゃった」というタイミングで「こんな可愛い傘はいかがですか?」とか、「今日は暑いな」と感じたときに、「冷たくて爽やかな新製品が発売されました」など、外部データとリアルタイムに連動するデジタルサイネージで、「欲しいものは今すぐ欲しい」対応がダイナミックにできると、ますます購買意欲がそそられますね。

デジタルサイネージの今後

デジタルサイネージの今後

すでにお話しした通り、デジタルサイネージはTOKYO2020に向け開発が進み、開催時には大々的に活用されること間違いありません。日本政府はTOKYO2020を、日本のICT技術を世界に発信する絶好の機会とし、ICT化促進のために、具体的なアクションプランを策定していることは周知です。

その中でデジタルサイネージに期待されている3つの役割があるので、紹介しましょう。

1. 緊急時における災害情報の一斉送信

災害が起こった際にはデジタルサイネージを通して、多言語による緊急避難情報などの最新情報が得られたら、世界から集まるビジターの不安も和らぎます。インターネット経由により情報更新もリアルタイムに共有されるのは強みです。

2. スマートフォンとの連携による、属性に応じた情報入手

日本を訪れた海外からの観客が、デジタルサイネージにスマホをかざして好きな言語で観光情報などを得られ、どのような場合でも多言語対応ができれば、日本語がわからなくても安心。

3. 公共性の高い場所でのパブリックビューイング

TOKYO2020開催時にさまざまな場所で実施されるパブリックビューイングにも、デジタルサイネージの活用が予定されています。場面の切り替えも瞬時に行えますし、他場面を同時に放映することもできますので、会場に足を運べなかった人でも、TOKYO2020開催に対しての満足度も上がることは間違いありません。

そのほかAIやARなどの先端技術を取り入れるなど、デジタルサイネージは2020年以後も常に変化を続けていきます。それは広告や情報案内のみならず、芸術分野、教育機関などでの活用も推進されると考えられ、その可能性は無限大といえるでしょう。

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