マーケターの懐刀。アドテク三種の神器でネット広告のポテンシャル上昇

マーケターの懐刀。アドテク三種の神器でネット広告のポテンシャル上昇

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マーケターの腕の見せ所になる「アドテク」について解説していきます。アドテクは、自社サイトの認知や集客に困っているクライアントに提案するネット広告の仕組みです。

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ネット広告を手動ではコントロールできないレベルで、どのように展開していくのでしょうか?そこで理解をしておきたいのが、クライアントに提案する広告管理システムになります。

この記事は、アドテクノロジーについてビギナー向けの解説です。

アドテクはまだまだ成長する分野として、期待がかかる部分になります。マーケターが「施策の切り札(懐刀)」としてクライアントに提案できるように、アドテクについて徹底的に理解していきましょう。

目次

アドテクとは?

アドテクとは?

マーケターの懐刀になる広告管理システムのことを“アドテク”といいます。アドテクとは、アドテクノロジー(Ad technology)のことです。

アドテクノロジーを略称して“アドテク”と言われていますね。業界では、「アドテク」「アドテック」「アド」と呼ばれています。ひと言でいうと、「インターネット広告技術のこと全般」ですね。

インターネット広告配信の裏で働くシステムは、すべてアドテクと表現されるのです。中でもアドテクは、リスティング広告やディスプレイ広告の配信にも深くかかわっています。

さらにアドテクは、実現不可能な領域で広告配信をシステム化することに力を発揮するでしょう。

企業は、アドテクを取り入れていくことにより、業務の効率化と広告の効果を向上させることができるのです。

  • 広告の配信技術(配信管理)
  • 広告の効果測定技術(分析)

広告の配信技術を活用すれば、広告配信の最適化の追求が可能になります。配信管理によって、届けたい人に広告を見せることができるのです。さらに、効果測定技術により広告配信の工数の調整もできます。

以上のことから、アドテクは、広告主にとって高い広告効果を期待できる取り組みになるでしょう。掲載メディアは、収益の最大化や広告配信の効率化の実現が期待できます。

マーケターは、アドテクを理解して活用始めれば、高いレベルで広告配信ができるようになるわけですね。

ただし、アドテクを理解するには、3種類の広告技術を理解する必要があります。

アドテクの3種の神器

アドテクの3種の神器

アドテクの3種の神器になる「3種類の広告技術」を区別して理解しておきましょう。

  • 掲載メディア関連のアドテク
  • 広告主関連のアドテク
  • ユーザー分析のアドテク

アドテクは、覚えないと途中で挫折してしまうほど専門用語が飛び出てきます。まして、全くわかっていないクライアントに説明するためには、マーケターが基本を知っておく必要があるのです。

そのためには、「メディア関連の技術なのか、広告主関連の技術なのか?」必要に応じて理解しておきましょう。

掲載メディア関連のアドテク

メディアにかかわるアドテクをここでは、アドテクとします。アドテクを活用して「どの媒体(メディア)に広告を出せばいいか?」を解決する技術です。

掲載メディア関連のアドテクでは、アドネットワーク、アドエクスチェンジ、SSPなどが代表格になります。

それぞれ説明していきましょう。

アドネットワーク

アドネットワークは2008年頃から活用されています。

複数のメディア(ウェブサイト・SNSメディア・ブログなど)に掲載される広告管理システムです。アドネットワークを運用できるようになれば、多くのトラフィックを獲得するができます。掲載メディア側もアドネットワークを取り扱う業者に手続きを一任できることが大きなメリットです。

アドネットワークを取り扱う業者を紹介しましょう。ヤフーのYDNやGoogleのGDNをはじめとするディスプレイ広告の国内アドネットワークがあります。

  • YDN(Yahoo! ディスプレイアドネットワーク)/ヤフー!
  • GDN(Googleディスプレイネットワーク)/グーグル
  • nend /ファンコミュニケーションズ
  • AkaNe by GMO/GMOアドパートナーズ
  • 楽天アドネットワーク/楽天

これらアドネットワーク業者に広告主は、入札をすることで広告配信が可能になるのです。

広告主側にとっては、アドネットワーク業者に一括で任せることで、多くの掲載メディアに広告が配信できます。

さらに広告主にとって「ターゲットにはならない関係のないメディア」には、掲載されない選別配信機能も可能です。このようにアドネットワークの広告管理システムは、複数のジャンルの広告があるため、行動ターゲティング広告が導入されています。

行動ターゲティング広告(BTA)は、ユーザーの行動(検索ブラウザに記録された行動)のCookieデータを参照するのです。そして、ユーザーの検索行動に合わせた広告を配信していくシステムになります。

例えば、ネット検索で「ダイエット」について毎日調べていたら、全く関係のないサイトの広告枠に「ダイエット関連の商品やサービス」が表示されるようなイメージです。

アドエクスチェンジ

アドエクスチェンジは、先ほど説明したアドネットワーク業者を一元管理できる大きな存在になります。

アドネットワークだけだと、GDNやYDN、nendなど個々に広告の出稿を依頼しなければいけません。そこで、アドエクスチェンジを利用することで同時に4つのアドネットワークを併用できるようになるのです。

広告配信を複数のアドネットワークで掲載する場合は、アドエクスチェンジでより効率性が上げられますね。

SSP

SSPは、Supply Side Platformの略称です。SSPの目的は、ウェブ掲載した広告の“収益最大化”になります。

掲載メディア側の話になりますが、SSPとは、SSPを通じて「広告主を選定する設定機能」です。SSPは、掲載メディアが接続中のアドネットワークなどの広告主の中で収益性の高い広告主を自動的に選択して配信していく管理システムになります。

収益を拡大する上でのデータを活用して、効率よく収益化を狙える便利なツールなのです

広告主関連のアドテク

広告主関連のアドテクは、広告主側にとって「コンバージョンしやすいユーザーに広告を見てもらう」ことが最大の要望になりますよね。

そんな広告主の要望に最適な属性のユーザーをターゲットに絞り込んで広告を配信するアド的になるのです。

それでは、広告主関連のアドテクを2つ紹介しましょう。

DSP

DSPとは、Demand-Side Platformの略称になります。掲載メディア関連のアドテクで紹介したSSPと同じ目的になる「広告による収益最大化」のための広告主が設定するツールです。

広告主がDSPを設定する場合、「どのような見た目の広告をいくらの予算で誰に向けて配信するか?」を表示設定できます。

DSPにより、広告主は費用対効果を重視して広告の配信が可能になるのです。

リターゲティング

さらに広告主にとって便利なツールが、リターゲティングになります。過去に広告主のウェブサイトに訪問したユーザーに再度広告を配信できる仕組みです。

リターゲティングにより、一度認知してもらった商品やサービスを「思い出してもらう」効果が期待できます。

ユーザーへ広告を配信する回数を分析してリターゲティングの効果を向上できるでしょう。

ユーザー分析のアドテク

3つ目のアドテクは、ユーザーを分析するための技術になります。ユーザー分析のアドテクは、「その広告を見て一番ニーズを感じる最適な人」を特定するための機能です。

つまり、広告主のためのDSPや掲載メディアにとってのSSPなど、ターゲットユーザー設定の重要なデータになります。

設定内容もクリックデータだけでなく「そのユーザーのサイトを訪れた後の行動」と掲載メディアや広告主の持っている情報を組み合わせてターゲット設定するのです。

ユーザー分析のアドテクは、ユーザーにとっても有益な広告が表示されるため広告主のイメージアップにもつながります。

では、ユーザー分析のアドテクを2つ取り上げてみましょう。

広告効果計測ツール

その名の通り、広告の効果を客観的に計測するツールです。次のツールが、代表的な4種類になります。

それぞれ効果測定の測定項目の違いや特徴があるので、自社の用途に合わせて選ぶことが必要ですね。

次に測定ツールを選ぶ時のポイントを3つ挙げておきます。

  • 自社の把握・実施したい効果を測定できるか?
  • ツールの活用の操作性の簡単さ
  • ツール提供業者のサポート体制

これら3つのポイントで「どの業者のツールを使うか?」参考にしてみてください。

DMP

DMPとは、Data Management Platformの略称です。DMPは、ユーザー分析に特化した「インターネット上にある多種多様な情報データを管理する目的のプラットフォーム」になります。

DMPのセグメント内容は、自社が保持する「問い合わせ」のデータや特別な外部ツールを使った「FAQページ」や「問い合わせページ」の過去ログなどです。

DMPの活用により、ターゲットの絞り込みや、リターゲティング効果も期待できます。

DMPでは、従来のマーケティング施策を効率化することが可能になるのです。ジタルマーケティングの真骨頂的な存在ですね。

なぜ?アドテクなのか

なぜ?アドテクなのか

次に、なぜ、アドテクを活用するのでしょうか?アドテクを活用する目的から考えてみましょう。

目的:広告主と掲載メディアの双方向の広告収益の最大化を目指す

  • 広告主にとって最適な人に広告を配信すること
  • 掲載メディアにとって最適な人に広告枠を買ってもらうこと

つまり、無駄な広告を表示しないためのシステムになるのです。

例えば、広告看板があるとします。自分の所有する建物の壁に商用の看板を設置した場合、その看板を見て反応した顧客が商品を購入すれば、広告主の利益が増えますよね。

売上が見込めるのなら、土地所有者は看板設置料金を多く請求できます。広告主は、看板の宣伝効果により売上が上がることを確信できれば、高い看板設置料金でも支払ってくれるでしょう。

このようなウィンウィンの関係が維持できるわけです。アドテクによって、「届けたいユーザーに届いてほしい広告が訴求できる」ことになります。

以上のことから、アドテクによって得られるメリットを上げてみましょう。

アドテクによるメリット

  • 消費者の趣味や嗜好に合った情報を広告で提供する
  • 消費者が興味を持って行動を起こす
  • 消費者にとって自分のニーズに合った広告を手に入れられる

「どこの誰にどんな情報をどのタイミングで届けるのか」を実現できる広告技術がアドテクになるのです。

アドテクで見えてくる未来

デジタルマーケティングの業界では、アドテクを活用できなければ広告効果を上げることができないくらい強い必要性があります。

今後の技術の進化に大きな期待がかかるアドテクですが、機能面では、動画コンテンツでの広告も多くなるでしょう。さらにSNSの個人情報データにより、さらにターゲット特定された個人向けの広告配信に期待がかかります。

メディアも広告主も、特定したユーザーに対して「濃いコンテンツ」を提供できるシステムになることでしょう。

わかりやすいアドテク各種用語解説

わかりやすいアドテク各種用語解説

アドテクを理解するには、各種専門用語を理解する必要があるのです。ここでは、アドテクの説明などに登場する専門用語を解説します。

広告全般の用語

CV

コンバージョンの略称。ウェブサイトで言う「顧客行動のゴール」になります。

CPA

コンバージョン1件の獲得に要したコスト。

CPI

Cost Per Inquiryの略称。コストの効率を表した指数のことです。

CPM

広告を掲載する上での料金の費用対効果を表した掲載回数1,000インプレッション当たりの料金のこと。

CPC

クリック課金型広告(リスティング広告やディスプレイ広告)などの効果を計測する評価指標。

CTR

クリック率のこと指します。

VTR

テレビの「VTR」ではありません。ビュー・スルー・レイトの略称のことで、コンバージョン数を広告の表示回数で割って求めた数値のこと。

ROI

Return on investmentの略称。投資した広告掲載費に対して得た収益のこと。

Imps

広告の表示回数(インプレッション数)のこと。impとも表現されます。

UU

ユニークユーザーのことです。基準になる集計期間の中で、ウェブサイトに訪問したユーザーの数。

MAU

SNSメディアなどを利用するユーザーの適切な数の指標のこと。

LTV

Life Time Valueの略称。顧客生涯価値のことです。

PMP

Private Market Placeの略称。限定されたメディアと広告主が取引できる広告取引市場のことです。

Unreserved Fixed Rate

PMPの取引方式の1つ。入札で競わない固定された単価方式の広告取引になります。

Automated Guaranteed

PMPの取引方式の1つ。在庫予約ができる固定された単価方式の広告取引です。

オーディエンスターゲティング

Cookieを基準にしたデータによるターゲティング手法。

プライベートエクスチェンジ

Unreserved Fixed RateとAutomated Guaranteedを含む固定単価の取引方式を扱う取引市場です。

Invitation Only Auction

PMPの取引方式の1つ。参加者限定のクローズドな取引になります。

アドベリフィケーション

DSPなどで配信された広告の品質を検査する管理ツールのことです。

アトリビューション分析

広告の成果への貢献度を計測する分析方法になります。

アトリビューションモデル

広告のコンバージョン達成までの経路を貢献度に応じて評価するルールのことです。

オンラインアトリビューション分析

オンラインでのアトリビューションスコアを算出するアトリビューション分析のこと。

統合アトリビューション分析

オンラインもオフラインも合わせたアトリビューションスコアを算出するアトリビューション分析のことです。

アトリビューションマネジメント

アトリビューション分析による適正な広告に投下する予算を算出すること。

インバナーサーベイ

ディスプレイ広告の計測手段の1つ。広告未配信のユーザーと広告配信を受けたユーザーの行動を比較する方法です。

リードバナーアンケート

ディスプレイ広告の計測手段の1つ。インバナーサーベイと同じですが、アンケート回答用のバナーを配信して回答を求める方法になります。

フリークエンシー

ネット広告へのユーザーの接触回数のこと。

リーセンシー

広告とユーザーの広告に接触してからの間隔のことです。

シーケンス配信

ターゲット1人の接触回数を管理して、配信を段階的に切り替える手法になります。

シナリオ配信

ターゲット1人の接客回数を管理して、決められたタイミングで自動配信する手法になります。

ピギーバック(PiggyBack)

PTD(Publisher Trading Desk)

アドテクで言うピギーバックは、タグのデータ転送方式のことです。

AOP(Alliance of Online Publisher)

複数のメディアのオンラインパブリッシャー連合のことを言います。

アドフラウド

不正広告のこと。無効なインプレッションやクリックにより広告効果に対する不正行為のことです。

エコシステム

広告主とパブリッシャー(ユーザー)までの広告配信の流れで関連するサービスが繋がりを持っていくこと。その繋がりにより、新しい付加価値が生まれる構造を指します。

メディア関連のアドテク用語

メディアレップ

掲載メディアと広告代理店や広告主を仲介する業種のこと。

広告主向けのアドテク用語

RTB(リアルタイム入札)

アドエクスチェンジを主とした広告取引市場のリアルタイム入札方式のこと。

フロアプライス

RTBの入札方式の最低落札額を指します。

Dynamic Retargeting

ウェブサイトの訪問履歴を基にしてリピートしてもらうことを促進する広告自動生成のリターゲティング方法です。

Reward

成功報酬型広告のこと。

Dynamic Recommend

動的なリターゲティング広告のことです。

3PAS(第3者配信)

Third Party Ad Servingの略称。第三者が提供するアドサーバを通して配信する広告管理システムになります。

トレーディングデスク

DSPなどのオペレーションを実施する組織の呼称。

ターゲットに関するアドテク用語

SDK

Software Development Kitの略称。ソフトウェア開発のために必要とするテクニカル文章やツール一式。

プライベートDMP

自社の保有する情報資産(プライベートデータ)をビジネスに活用するプラットフォームのこと。

Tracking

消費者などユーザーの購買行動を追跡してデータを集める行為。

CDP

Career Development Programの略称。社員それぞれのキャリア構築に対して、中長期目線で支援していくシステムのことです。

まとめ

まとめ

アドテクについて、広告配信の効率化を考えているビギナー向けの解説でした。いかがだったでしょうか?

アドテクは、掲載メディアも広告主も効果の向上が目指せる有効な管理システムだということが理解できたことでしょう。

さらにユーザーにとっても自分に合った広告を見ることができるため、配信側も受ける側も有益な関係が築けることになります。

ぜひ、マーケターの懐刀として磨きをかけてみてくださいね。

 

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