文系脳マーケターこそAIを制すべきである!

文系脳マーケターこそAIを制すべきである!

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AIと聞いてまず思い浮かべることは何でしょうか。特に文系の人はこんなことを思い浮かべるのではないでしょうか。

  • 囲碁や将棋のプロに勝つAI
  • AIスピーカー
  • AIロボット
  • 自動運転車に必要なAI

そこで「AIでマーケティングが変わる」といった記事を目にしたら、文系マーケターはどう感じるでしょう。安堵感?それとも危機感?

マーケターは文系比率が高いので、理系の人よりもAIによる仕事への影響度の捉え方はどちらかといえば抽象的ではないでしょうか。「大量の情報を分析するには便利らしい」とか「AIはまだ生身の人間(マーケター)にはかなわないだろう」という認識では。

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しかしAIはすでにマーケティング業務の第一線に投入され始めていますので、マーケターは自らとAIの位置付けを明確にしておくべきなのです。

マーケターとAIとの共存はもはや避けられないものとなり、「私はテクニカルに詳しくないから無関係」では済まされません。見方を変えて考えるとAIに人的要素を吹き込み、マーケティングで活かすことができるキーマンは、AIエンジニアではなくて想像力が豊富な文系マーケターだと考えられます。

文系マーケターがAIを日々のマーケティング業務の中でどう活用すべきかを考えてみたいと思います。

文系マーケターの苦悩

「分析作業でAIを活用することはよいことだけど、実は夢中にはなれない。でも仕事だから使い方を覚えなければならない」というスタンスの文系マーケターにとって、AIはとっつきにくい以外の何物でもないでしょう。義務感からAIと向き合うので分析作業が大好きという人に比べると、どうしても習得の質とスピードでかなわないのです。

さらにはAIに仕事を取られて自分は失業してしまうのではという、漠然とした危機感も文系マーケターの脳裏から離れることはありません。

まずは仕事の棚卸しから

ある調査の結果からマーケターを雇用する際に、企業が求めているスキルが明らかになりました。回答で上位に来たのは次の通りです。

  • 論理的思考、課題解決能力(32%)
  • クリエイティビティ(26%)
  • 技術力(コーディングやプログラミング)(26%)
  • パターン認識力、戦略立案力(16%)

技術力を文系マーケターに求めるのもいかがなものかと思いますが、そもそもマーケティング部門が最近までなかった企業ばかりだった日本では、ポジショニングがまだブレているのは仕方ありませんね。

ともかくこれらのスキルの中でコーディング・プログラミングやパターン認識といった部分は、AIを活用した方がどう考えても効率が上がるはずです。

AIを活用する前にまずマーケターの仕事を棚卸しして、AIで行える分野と人間でないとできない分野が何かを確認する必要があるでしょう。

AI > 機械学習 > ディープラーニング(深層学習)

文系マーケターにまずおすすめしたいのは、基本的な用語の意味はとりあえず字面で覚え、AI、機械学習、ディープラーニングの関係を明確にすることです。

人間の知能は機械で人工的に再現できるという発想から、1956年にAI(人工知能)という用語が生まれました。限られた分野では一定の成果が出たものの、全ての人間が持つ知識をAIの辞書やルールにすることが不可能であり、人間の知能には程遠いものでした。

そこで特定の分野で大量データ(ビッグデータ)を解析し、人間の知能の規則性や関係性を見つけ出そうとする機械学習が登場しました。しかし規則性や関係性を機械学習が高精度に見つけるため、データを比較する際に着目すべき特徴の組み合せは、人間が見つけ出して設定する必要がありました。

人間の脳の働きについての研究がさらに進んだ結果、機械学習の一つの手法であるディープラーニングがリリースされたのです。ディープラーニングは特徴の選定や組み合せを、データを解析することで自ら作り出すことができます。データ量を増やせば人間に依存せず、規則性や関係性を見つけ出す精度を向上できるようになりました。

つまり3つの位置付けは、AI > 機械学習 > ディープラーニングということでクリアですね。

AIに仕事を奪われる?

データドリブンマーケティングは、マーケティング活動の革命でした。カスタマーエクスペリエンスを向上させる方法でパーソナライズを可能にすることは、マーケターの仕事を驚くほど変えたのです。

今やマーケターには、データサイエンティストの知見が求められているともいえます。つまりスプレッドシートの式やピボットテーブルに長け、データに深く入り込む能力を持ち、分析とレポートを提供する能力が必要となるのです。

文系マーケターにとってツールを駆使する仕事はあまり好まないものですが、AIを活用することでマクロが書けなくても、正しい結果が得られてデータ分析はできるようになります。不得意分野を勉強する必要がなくなるのは良いことですが、AIがもっと賢くなると自分の立場はどうなるか不安な気持ちになります。

調査報告によれば今後10年間で38%(The Daily Mailより)から50%(CNBCより)の仕事が、AIに取って代わられるとされていますが、果たしてロボットがマーケティング業務をすべて行う日が来るのでしょうか。

WILL ROBOTS TAKE MY JOB?(ロボットが私の仕事を奪う?)」ではオックスフォード大学の調査を基にしているものですが、その中に「マーケティングマネジャーの仕事がAIに置き換えられる確率はわずか1.4%」とありました。つまりAIによってマーケターの作業内容に変化がもたらされるにしても、AIと共に働くマーケターが必要であることには変わりないのです。ちょっと安心しましたね。

AIが人間に勝てないこと

クリエイティビティ、これこそがAIが人間にはかなわないスキルです。自社製品やサービスに感情移入ができ、周りとコミュニケーションを取りながら新しいものを創造する能力は、人間の本質であり、未来でも心を持たないAIへは引き継ぐことができません。

さらに言えばAIにシステムの本領が発揮できる作業を割り当てることで、クリエイティブな時間をもっと作ることができれば、AIを活用することで、マーケターには新しいスキルを獲得できる可能性も生まれるのです。マーケターとAIの完璧な共存関係が確立したのであれば、もっとすごいことができることは間違いありません。

では何をAIにさせるか

最適なマーケティングキャンペーンを行うために、様々なデータを分析して解釈することが必要です。AIを活用してビッグデータを収集、クリーンアップしてから分析・解釈を行えば効率的に進められます。

機械学習のアルゴリズムは、人間には検出できないビッグデータの微妙なパターンを分析、理解、識別することができますので、マーケティングキャンペーンのために最適な結果を提供するのです。

一昔前のキャンペーンはマーケターの勘や経験から進めることが多かったので、数字的根拠を示すことが困難でした。しかし根拠のある形で結果を予測できるようになれば、マーケティング部門の信用度も上がるというもの。

それは重々承知しているのだけど、数字の作業が苦手な文系マーケターにとって、数字を見ているだけで疲れてしまうし、ヒューマンエラーの発生も否めませんでしたが、AIの活用で多くの作業時間を短縮でき、計算違いはなくなりますので、正しい判断が迅速にできるようになるのです。

マーケティングキャンペーンを通してAIはさらに学習を継続しますので、時間が経てば作業はよりスピードアップすることができます。

そのほかAIの活用に適したタスクは次の通り。

●DM

AIが搭載されたDMは顧客にあった製品を選択し、顧客ごとの内容になるため、通常DMよりヒット率がアップ

●広告

AIが搭載された広告運用ツールは広告アカウントとレポーティングデータを一元管理ができるので、効果的な運用方法が明確に

●アクセス解析

AIが搭載されたアクセス解析は、Googleアナリティクスの運用を自動的に行い、自動的に抽出されたデータから今後ポテンシャルとなることが予測できる

●SEO

AIが搭載されたSEOツールは24時間365日サイトを監視でき、ランキングが低下した場合は、瞬時にSEO対策が実施できる

●Web接客

AIが搭載されたWeb接客ツールは、オンラインショップで店員の役割を果たすため、オンラインショップ上でのユーザーの質問にタイムリーに回答し、最適な製品を提案が可能に

●チャット

AIが搭載されたチャットは、パーソナライズした接客が可能に

●マーケティングオートメーション (MA)

AIが搭載されたMAでは的確なスコアリングが行え、過去のカスタマーエクスペリエンスからデータを集計・分析し購買の傾向を機械学習によって予測できる

マーケティング活動におけるAIの指揮官はあくまでもマーケターであって、マーケターなしではAIは何も生み出せません。「AIを制するものがマーケティングを制す」という考え方が原則になる日は近いと考えられます。

今後の文系マーケター像

マーケティングとは人の心を先読みし、トレンドを先駆けする仕事です。AIがどんなに進歩しても最終的には人間がマーケティング戦略をまとめることは変わりませんが、今後はAIの提案にマーケターが耳を貸す場面が増えるでしょう。

すでにお話した通り今の世の中マーケティング業務にサイエンスの要素が多くなりました。定量的かつ具体的にマーケティング戦略を立てるようになった事で、マーケティング部門が単なる「企画屋/リサーチ屋/分析屋」から、方向性を生み出すセントラル機能へと変化する時期が到来してきたのです。

文系だからといって気後れする必要はありません。AIというテクニカルスタッフを得て自ら手を動かさなくても、AIが提供してくれる的確なデータを駆使して、マーケティングを最適化し続けるのが文系マーケターのこれからの姿でしょう。

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