銀行系スマホ決済が殴り込み。PayPayに追いつくことはできるのか

銀行系スマホ決済が殴り込み。PayPayに追いつくことはできるのか

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2004年に初めて登場したおサイフケータイは、日本独特の携帯電話(ガラケー)に埋め込まれたFeliCaチップ(ICチップ)を使った、キャシュレス決済サービスの先駆けでした。

小銭が増えないくて便利ということである程度普及しましたが、iPhoneに代表されるスマホが普及し、iPhoneにその機能が搭載されていなかったことからも、おサイフケータイは過去のものになりました。

そのコンセプトがスマホ決済として、今日本でも復活し始めたのです。

スマホ決済のしくみ

スマホ決済のしくみ

現金やクレジットカードを持ち歩かなくても、スマホがあれば支払いができてしまうのがスマホ決済です。スマホ決済のしくみについておさらいしましょう。

スマホ決済には2種類

スマホ決済の仕様は2種類あります。1992年に自動車部品メーカーのデンソー開発部門が発明した、マトリックス型二次元コードであるQRコードを用いた決済が急速に普及しています。

NFC(Near Field Communication=近距離無線通信規格)決済

  • Suica
  • Edy
  • Apple Pay
  • Google Pay,
  • WAON
  • nanaco

おサイフケータイなど、スマホをカードリーダーにかざすことで決済できる方法です。FeliCaもNFCに含まれます。スマホの決済アプリに電子マネーやクレジットカードを登録して利用しますが、スマホの機種によっては利用できないことも。

QRコード決済

  • PayPay
  • LINE Pay
  • 楽天Pay

など、店に置かれたQRコードをユーザーが読み込むか、スマホ決済サービスで発行されたQRコードをお店に読み取ってもらうことで、支払いが完了するものです。

3タイプあるスマホ決済の支払い方法

スマホ決済の支払い方法としては3タイプです。

前払い(プリペードチャージ)

クレジットカードと連携させたオートチャージ機能もありますが、基本は事前に入金しておかないと利用できないもの

  • Suica
  • WAON,
  • Edy

などがその代表です。

後払い(ポストペイ)

iDやQUICPAYなど1ヶ月分の利用額をクレジットカード代金と一緒に、毎月決められた期日にまとめて支払う方式です。スマホにクレジットカード情報を登録しておけば、いつでも簡単に決済可能です。

即時支払い(リアルタイムペイメント)

決済と同時に登録してある銀行口座の残高からすぐに支払われる仕組みで、ゆうちょPayなどです。

キャッシュレス決済は普及しているのか

キャッシュレス決済は普及しているのか

各国のキャッシュレス決済の比率です。

  • 日本:約20%
  • 中国:60%
  • アメリカ:46%
  • オーストラリア:59%
  • イギリス:68%
  • 韓国:90%

世界のキャッシュレス決済比率と比べると、実は日本はキャッシュレス後進国なのです。

世界ではすでに次の取り組みが始まっています。それはキャッシュレス決済の中心にあるQRコード決済サービス規格の統一です。

キャッシュレス決済の中でQRコード決済は種類が多いためにどれを利用すべきかの決断がむずかしいのですが、シンガポールでは昨年9月に世界初の統一規格である「シンガポールQRコード(SGQR)」の導入を発表。これによりシンガポールで使われているQRコードが、統一規格にまとめられました。

インドネシアも規格統一の動きが高まっており、インドネシア中央銀行は、QRコード決済の規格統一を進めるため3段階の試験を実施し、その結果を踏まえて規則を作成すると発表しています。

日本の根強い現金主義

日本では現在も現金払いが優勢で、キャッシュレス決済が普及しにくい背景があります。偽札が蔓延することもない日本では現金への信頼が厚いのです。

ATMも安全に設置されているので、キャッシュレスの必要性を加盟店、消費者双方ともあまり感じていないというわけです。

日本で使われているスマホ決済は

日本では1千円以上3千円未満の少額決済でスマホ決済が多く、まさに以前のおサイフケイタイのニーズと一致しています。

以前はSuicaやnanacoなどをスマホアプリに連携させたNFC決済だけでしたが、中国のQRコードブレイクに勝算を見出したIT企業がQRコード決済ビジネスに乗り出したので、QRコード決済が若者中心に急激に広まってきました。

楽天Pay、Paypay、 Line Payが日本でのスマホ決済のビッグ3ですが、いずれも金融関連企業ではありません。

銀行系の殴り込み:後発だけど差別化図れる

銀行系の殴り込み:後発だけど差別化図れる

いよいよ銀行系が立ち上がりました。まるで示し合わせたかのように、銀行系のスマホ決済サービスが相次いで3つ生まれたのです。

J-Coin Pay

みずほ銀行が約60の金融機関と協働し銀行系デジタル通貨のプラットフォームとして、QRコードを活用したJ-Coin Payの提供を2019年3月に開始しました。

J-Coin Payは普段使っている銀行口座からチャージできるだけではなく、手数料なしでいつでも口座に残高を戻せるので、現金やATMにより近い感覚で利用できます。またJ-Coin PayではQRコード、SMS(電話番号)、LINEを利用して個人間送金ができるのです。

他のスマホ決済サービスにも個人間送金機能はありましたが、日頃使っている銀行口座を登録して利用するJ-Coin Payならより利用しやすいですし、J-Coin Payに参画している銀行であれば異なる銀行間でも手数料無料で送金できるので、振込手数料の節約にもなります。

大手メガバンクであるみずほ銀行が主幹で提供しているサービスであれば、安心と考えるユーザーが多いことが考えられますね。

Bank Pay

デビットカードサービスのJ-Debitを運営する団体である日本電子決済推進機構が、2019年秋にスマホ決済サービスのBank Payの開始を発表しました。

Bank Payにはデビットカード同様の「銀行口座から直接引き落とし」という機能があるのが最大の特徴であり、同機構に加盟する3大メガバンク、全国の地銀、信用金庫、農協系金融機関など最大1,000の金融機関との口座連携に対応する予定です。

支払い方法はPayPayと同じような仕組みで、QRコード、バーコードの表示機能を備え、QR読み取りにも対応します。大型店舗ではPOSシステムに組み込み、バーコードを読み取る形で決済し、小型店舗ではユーザーが表示したコードを店舗がスキャンするか、消費者が店頭のQRコードを読み取るかで決済できるようになります。

銀行Pay OEM システム

銀行PayはGMOペイメントゲートウェイが提供する独自のスマホ決済サービスの基盤システムのことです。そしてOEM(ASP型)提供された銀行Payを使用した各金融機関が独自のQR決済用アプリをリリースし、自らのユーザーに提供する仕組みが銀行Pay OEMシステムです。

現在銀行Payを導入しているのは、横浜銀行、福岡銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行など9行です。これらの銀行に口座があれば、事前にスマホアプリのダウンロードが必要ですが、スマホアプリから即時に口座引き落としが可能となり、銀行Payを導入する銀行間での相互連携にも対応しているので銀行や地域を越えた支払いが可能となるのが特徴です。またAlipayでの支払いにも対応しています。

GMOペイメントゲートウェイでは東京急行電鉄、横浜銀行、ゆうちょ銀行と共同で、東急線の駅券売機から銀行預金の引き出しができるキャッシュアウト・サービスを、2019年5月から東急電鉄のほぼ全駅で開始しました。

横浜銀行の「はまPay」あるいはゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」で引き出し金額を指定し、表示されたQRコードを駅券売機の読み取り機にかざすことで、現金の引き出しが可能となり、これは日本初の取り組みです。

もちろんボトルネックも

2002年と2011年に発生したみずほ銀行のシステムダウンや、最近では10連休明けの楽天銀行にログインできなくなったトラブルがありましたが、銀行システムに障害が生じるとATMが利用不可だったり、二重引き落としが起きるなど大きな混乱を招く恐れがあります。

運営会社の管理システムやセキュリティ対策、ネットワーク技術に強く依存するので、金融機関独自のサポートでは不安が残ります。

また全国銀行データシステムの存在も微妙です。これには日本の預金取扱金融機関のほとんどが参加しています。このシステムを利用する限り取引毎に手数料がかかるため、原則として送金手数料やATM手数料がユーザーに課金されるので、この仕組みが存在する限り、現金が引き続き優位となってしまうのです。

スマホ決済が当たり前になる日が来るのか

スマホ決済が当たり前になる日が来るのか

2019年10月からの消費税10%対応策として、キャッシュレス決済した場合にはポイント還元する経済政策を日本政府が検討中と聞きますが、高齢者にも使える環境整備や、QRコードの規格統一化など、さまざまな問題も残されています。しかしキャッシュレス化への大きな流れは、もう後戻りできない状況です。

政府は2025年にはキャッシュレス決済比率40%、その先には80%という目標を掲げキャッシュレスの推進しています。スマホがPCに変わるインターネットの標準インフラとなった現代では、キャッシュレスの推進=スマホ決済の推進なのです。

近年の訪日外国人の急増に加え、今年のラグビーワールドカップや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催で、訪日外国人がますます増加する見込みです。訪日外国人のインバウンド消費を最大限取り込むにも、諸外国で一般的であるスマホ決済の普及は急務ともいえるでしょう。

銀行系スマホサービスはまだ始まったばかりで、まだ利用者数は少ないですが、日本政府の強い後ろ盾もありますし、何よりも日本人にとってもっとも現金決済に近い感覚で利用できる点からも、今後はPayPayなどと肩を並べる急速な成長をするのではないでしょうか。

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