【ユーザー数25億人の中国SNS】WeChat,QQ,Weiboが世界の頂点に立つ日。

【ユーザー数25億人の中国SNS】WeChat,QQ,Weiboが世界の頂点に立つ日。

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SNSの主要ベンダーといえばTwitter、Facebook、Lineなどを連想しますが、インターネットが政府の監視下にある中国では事情が違います。

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一市民のちょっとした書き込みでも中国政府の意向に合わなければ即刻削除され、ウェブサイトがブロックされるお国柄から、国際ブランドのSNSは中国ではほぼ100%使えないのです。その代わりに中国のSNSベンダーが成長し、今では中国国外からのユーザーも増えています。

中国でのビジネスを成功させようとする企業には、どのSNSに人気が集まっているのかを知ることはとても重要です。中国ではまずSNSで口コミをチェックし、情報交換をした上で優れた製品を見つけるといわれているからです。

今回は中国でのSNS事情を検証してみましょう。

中国では

最近の中国ではSNSが国民の生活の一部になっているといっても言い過ぎではありません。若者だけではなく、幅広い年齢層で利用されていることはすでに周知のことです。

特にチャット(インスタントメッセンジャー)の使用率は高く、2017年の第41回中国インターネット発展状況統計報告でのチャットの使用率はすでに93.3%でしたので、今は中国人の誰もが利用している状況と想定できます。

Line, Twitter, FacebookはNG

日本のチャットツールといえば、疑いなくLINEでしょう。今LINEは東南アジア中心とする海外でもユーザーを増やしています。Facebookのメッセンジャーも日本のみならず世界中でよく利用されていますし、ビジネス向けではSlackも日本に進出してきました。

しかしながら中国ではこれらのチャットツールは政府の強力なファイアウォールでブロックされており、使うことができません。VPNの利用でそのファイアウォールを乗り越えるなどの裏技はありますが、もちろん違法ですしそこまでする人は少ないのです。

中国の代表的なSNS

国際ブラントに変わる存在が、中国発のSNSです。中国のリサーチ会社が2017年に実施した調査結果では、中国本土で使用されている簡体字中国語(北京語)設定のスマートフォンで、週に1回以上利用されているSNSのトップ3は次の通りでした:

  • 1位 WeChat 82%
  • 2位 QQ (Tencent QQ) 36.4%
  • 3位 Weibo 5.9%

このトップ3について詳しくご紹介しましょう。

WeChat

Tencent(テンセント)が運営するSNSで、2011年から提供されています。国際的にはWeChat(ウィーチャット)、中国国内では微信(ウィシン)と呼ばれています。

ユーザー間でボイスチャット、テキストチャット、グループチャットが可能で、写真や動画の共有もできるので、TwitterやFacebook、LINEなどの機能をほぼすべてカバー。

法人アカウントもありますが、プライベートの友人との交流を目的に利用することがメインですので、個人ユーザー向きといえます。

日本語を含めた17カ国の言語に対応しており、2017年では1日の利用者数は9億人を超え前年比17%の成長率を記録。また1日の情報送信件数は380億件、音声送信件数は61億回にのぼりました。2018年3月にはユーザー数が「10億人」の大台を超えました。

QQ

1999年に提供が開始されWeChatより歴史があります。ユーザー数は2018年に「6.4億人」に達しています。

QQもTencentによるメッセンジャータイプのSNSです。つまり、Tencent(テンセント)はWeChatとQQで「約17億人」のユーザー数を抱えています。中国国外ではあまり馴染みがないとはいえ人口の多い中国で大きなシェアを抱えているので、世界有数のSNS企業といえます。(Facebookのユーザー数は26億人と圧倒的)

以前は中国国内で最も利用されたメッセンジャーとして、主にPCで使われていました。現在ではスマホ対応もしていますが、その活用率は弟分のWeChatには及ばずというところです。

Weibo

Weiboは様々な会社で運営されていますが、代表的なのはSINA(シナ)が運営するWeibo(SINA Weibo)です。Twitterに類似した機能を持ち、ミニブログサイトとも呼ばれます。ユーザー数は7億人ほどと言われています。

利用者は大卒者が多くある程度購買力があるグループと見なされ、WeChatと比べて広く情報発信していく場であるといわれているので、公式情報の発信向きです。

中国の俳優やアーティストなどの著名人は必ずと言っていいほどWeiboアカウントを持ち、その影響力は絶大。現在個人アカウントの登録数は7億以上と巨大な規模を誇ります。

中国での特徴的な使い方

中国ではSNSがその範囲を大きく超え、もはや生活インフラといっても過言ではない状況となってきました。中国人のSNSの使い方は時にユニークです。使用例を挙げてみましょう。

WeChatはLINEのように純粋にメッセージをやりとりするチャット機能だけではなく、Facebookのような機能もあります。文章と同時に写真が9枚までアップすることができて、その投稿は自分の友達、もしくは指定した人にしか表示されません。これはタイムライン投稿と呼ばれるものです。

日本人は写真を選んで共有しますが、中国人はそういった手順を踏まず、全ての写真をそのまま共有します。それだとかなりプライベートな写真も投稿され、本人以外どうでもいいものが多く共有されることになるのですが、周りの目を気にしない中国人のメンタリティと、自己主張が尊重される中国文化に起因するというべきでしょうか。

WeChatPay

中国では屋台でも導入されている電子マネー。現金の信用度が低い中国でWeChatの電子マネーであるWeChatPayは皆の財布がわりです。

外部サービスとの提携も進み、タクシー配車、公共料金支払い、チケット購入などでも利用できるようなり、中国人はもう財布を持ち歩かなくなりました。

WeChat上で買い物

WeChatにはオフィシャルECサイトの入口となる、オフィシャルプレミアムショップもあります。

ユーザーはオフィシャルプレアムショップで直接買い物ができ、WeChatPay以外の、Alipayや着払いといった複数の決済方法が利用可能です。またユーザーが出店者の担当者へ直接問い合わせることもできます。

ユーザーがブランド名をキーワードにして検索すると、オフィシャルプレミアムショップの他に、ブランド名を付けた友人のモーメンツ投稿(ユーザー同士の情報共有のことを「モーメンツ」と呼ぶ)や、ブランドの公式アカウントや、その他の関連情報の閲覧が可能です。この機能から製品や情報を検索することがユーザーに定着しています。

出店者は中高級ブランドがメインで、WeChatの検索機能を通じて、社名やブランド名を広めてユーザーの購買につなげようとしています。

WeChatがめざすのは一般的なECプラットフォームと競合するのではなく、ユーザー向けの高級品の正確的なターゲティングと情報配信を行うことで、ブランド価値を向上させることです。

名刺・身分証・証明書代わりに

中国はQRコード利用の先駆者ともいえますが、最近中国のビジネスマンの間では名刺よりもWeChat IDを交換することが多くなりました。WeChatIDはQRコードで、それをスキャンしあうのです。

日本でも最近はEight など名刺アプリでデータを交換し合うことも馴染みつつありますが、WeChat IDの交換はこれに近いといえます。名刺は無くしてしまったらおしまいですが、WeChat IDでつながっていればチャットで連絡もできるので便利です。

日本企業の取り組み

日本のアパレル企業、電気メーカーや自治体がWeiboにアカウントを持ち、Weiboを使って中国人向けのプロモーションを行うことが増えています。中国進出を考えている場合、公式アカウント開設は必須であると言えるでしょう。

2015年にSINA Weiboの日本法人が設立され、越境ECに活用するのはもちろん、インバウンド戦略のひとつとして利用している日本企業もあります。

中国では口コミ情報が購買に大きな影響を与えるため、WeChatで日本企業の製品を良しとする口コミが広がれば、中国市場でのビジネス勝算も上がるというものです。WeChatには法人に対し企業公式アカウント登録制度があるので、日本企業の参加が増えています。

インバウンドが増大している日本では、その中心である中国人旅行者を取り込む上で中国のSNSを日本でどう活用していくかを考えざるを得ません。以前日本全国で見られた中国旅行者の爆買い現象は、中国国内での日本製品への口コミの高評価によるものと分析されています。

中国人が旅行に行くような都市には必然的に彼らのお財布がわりであるWeChatPayを導入する店舗が増えていきますので、日本でWeChatが浸透する日が、すぐそこまできているのです。

日本の芸能人のユーザーが多いわけ

2018年12月にWeiboが東京都内で「WEIBO Account Festival in Japan2018」を開催しました。歌手のGACKT (フォロワー数14万人)、赤西仁 (233万人)、乃木坂46 (48万人)らが出席し、元SMAPの木村拓哉もそのタイミングでWeibo公式アカウントを開設したところ、その5日後にはフォロワーは46万人を突破しました。

日本のSNSは積極的に利用していないのにも関わらず、Weiboの公式アカウントを開設し頻繁に更新する芸能人が増えています。その目的は中国ファンの獲得です。

7億人のWeiboユーザーのうち、ほんの1%でも興味を持ってもらうだけで700万人のファン獲得になる計算になるので、その巨大市場は誰にとっても魅力的なのです。

今後はどうなる

今後はどうなる

米中貿易戦争は長期化し、アメリカでは中国製品の締め出し戦略を続けています。中国も対抗して制裁の手を緩めずに、アメリカのみならず、日本のYahoo Japan!も含む海外のSNSはほぼ100%利用できない状況ですが、今後もさらなる規制強化が想定されています。

一方で中国のSNSは今後も進化を続け、いずれ中国のインターネット関連ビジネスの頂点に立つかもしれません。今後もウォッチしていきたいと思います。

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